滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)

2012年11月の記事一覧

2012.11.30 (金)

社会保障について

今日は、社会保障について書きたいと思います。

その前に、それにしても政界の離合集散が激しいですね。一晩寝ると党の政策が変わり、もう一晩寝ると候補者が変わり、もう一晩寝ると党の名前が変わっている。これ・・・会社だったらどうなるんでしょうか?

一晩寝ると、商品が変わり、昨日までとは逆のことを言っている。

もう一晩寝ると、前の担当者が辞めて新しい担当者がはじめましてとやってくる。

さらにもう一晩寝ると、会社の名前が変わっている。

会社だったら完全にブラック企業ですね。

そんな中で、嘉田知事が小沢さんたちと合流して、党首になられたと言うのも驚きです。政策は小沢さんたちの主張そのままで、脱原発、子ども手当て、消費増税反対が目玉のようです。私は今でも、嘉田さんは「優しい保守」のようなものを目指しておられると思っていて、その点で今回の行動はどういう狙いがあるのか、よく分からない部分があります。

このような状況だからこそ、いよいよ自民党が頑張らなければならない、と思いました。私たち自民党は、確かに派手さはないし、そういうパフォーマンスは苦手なのですが、「ブレない政策」「まじめにひとつずつ実現する力」「今の心地よい言葉より、将来の日本を考える」という点は自信を持っていますので、これからも丁寧な政策活動を続けたいと思います。

さて、話を本題に戻すと、社会保障と言ってもいろいろあって、年金、医療、生活保護、障害者福祉、子育て支援など、あらゆる分野にわたっています。分野ごと、現場ごとに課題は様々なのですが、私はこれまで市議会議員、県議会議員をやってきたので、それぞれの現場に伺い、直接声を聞いてきました。これは、今後国政に挑戦する上で、大変な強みだと思っています。

まず年金については、かつて民主党は「消えた年金」とか言って大騒ぎしました。そして、全ての年金の名寄せをするとか宣言しましたが、結局1500億円もの経費を使ったあげく失敗しました。しかしこれは最初からわかりきったことで、私は絶対に無理だと確信していました。それは、私が市議会議員であった時代は市役所に年金課があって、担当者からいろんな話を聞いていたからです。たとえば、流れ流れて寮付きの警備員の仕事をしているおじさんがいる。名前は本名かどうかわからないが、いろいろ事情があるのだろうから、申請通りの名前で寮の住所で、とりあえず社会保険料を払っている。そういうことなんです。だから、完全な名寄せなんてできっこない。でも市議会も経験せず、○○ブームという風に乗って突然国会議員になったら、そんなことは知らない。理想論だけぶって、政権取って、やっぱりやれない。すると、「そもそも放置した自民党が悪い。」と言い訳する。この3年間は、そういう事の繰り返しでした。

私たちは、今回増税をお願いした消費税を財源として、国庫からの支援を安定させ、何としても年金制度を維持します。もちろん簡単な事ではないし、つねに微修正を重ねながらになりますが、老後の安心を守るために絶対に必要な制度だと思っているので、年金制度は今の仕組みをベースに堅持してまいります。あわせて、後ほど書きますが、一部地域では生活保護費と年金が逆転しています。これは縦割りによる制度的矛盾ですので、年金が生活保護を下回ることがないよう、制度改正を進めます。

医療はもっと難しいですね。私もそれなりに勉強してきましたが、医療改革について体系的に説明できるほど、理論武装がしっかりと出来てはいません。しかし、いくつか課題は明らかになっています。①勤務医の偏在対策と処遇の改善、②看護師不足対策と看護師の処遇の改善、③安易な病院通いをどう抑制するか、④保険の対象をどうするか(延命治療の在り方を含む)、⑤病院と診療所の役割分担と効率化、⑥救命救急体制の合理化、高機能化、⑦医療費にかかる消費税をどうするか、などです。それぞれのテーマごとに、しっかりと対策を打ち出してゆきたいと思っています。

生活保護は、早急に改善を進めなければなりません。最近やっと、不正受給について報道がなされるようになり、多くの方が憤りを感じておられる事でしょう。特に、民主党政権になってから生活保護は40万人ほど増加し、金額では7000億円ほど増加しました。一方で、子どもに関する扶養控除などを廃止していますので、「サラリーマンから集めた税金を、生活保護に投入している」という批判もあながち間違っていません。ある労働組合の方からは、「働く人の味方なんてウソばっかりだ。働く人から税金を取って、生活保護に大盤振る舞いをしているので、民主党は働かない人の味方だ。目が覚めた。もう自民党に期待するしかない。」という激励(?)をいただきました。

実際に、正しく生活保護を受けている人の一方で、とんでもない連中がいるのが実態です。「毎月5日は給料日」とサラっと言ってのけて、指導が必要とされているので市役所に並んで取りに行く。送り迎えは内縁の夫の高級車。なんて、ザラにある話です。こうした不正受給は、徹底して取り締まってゆかなければなりません。私が地方議員をしてきた感覚からは、本当にしっかりやれば半分近くは保護費を減らせると見ています。それだけ、不正あるいは安易な需給が多いと言う事です。

私はこの生活保護の改善は、ドイツの例が良いモデルになると思っています。高齢者や病気の人は仕方ないとして、働ける世代が生活保護に陥る最大の原因は失業です。ドイツでは、失業直後から生活保護を支給します。これは、「資産がゼロになるまで支給しない」という姿勢で、数カ月も無職で「朝寝て、昼寝て、夜寝てる。」という生活をさせる日本の制度とは大きな違いです。ドイツでは支給と同時に就職あっせんや技術向上のための研修などをスタートします。一方で、指導に従わなければ、支給を減らすなどペナルティがあります。数カ月もぐうたら生活をさせ、ペナルティもない日本とは違いますね。

また面白いのは、ドイツでは、就職あっせんをして働き始めても、すぐには支給を打ち切らない事です。給料を少しもらい始めても支給を続け、自立できると見たらスパッと打ち切る。日本では働いたら給料の分だけ削減されて、制度がまるで働いた方が損のようになっているのとは、大きな違いです。

ドイツでは、失業直後から支援をして、早く生活保護から脱出することを狙っているのに対し、日本の制度では要件を厳しく運用するあまり、結果としてぐうたらを定着させてしまい、外観上要件のみは通っていると言う不正を横行させることにつながっています。これは、本当に抜本的に見直してゆかなければなりません。

また、生活保護の連鎖、いわば遺伝のように何世代も生活保護に陥ってゆくことも問題です。これも、今の制度が生んだ負の側面です。親がだらしなくて、子どもを養育させてもロクな事がないと判断されたら、ただちに子どもを施設で預かり、まともな大人になるよう教育してゆかなければなりません。これをしなければ、生活保護の連鎖は止まりません。これは、貧困の連鎖ではなく、道徳や規範意識がないことが連鎖しているのです。

障害者福祉は、全ての分野で力を入れてゆかなければなりませんが、私の経験上、とりわけ知的障害者と精神障害者の対応が大きな課題だと思っています。身体障害者の方々は、もちろん重い方は大変ですししっかりとした支援が必要ですが、それでも話したり思いを伝えたり交渉したりは健常者と同等以上にできますので、本人の意向も含めて必要な支援をすればよいと思います。しかし知的障害者あるいは精神障害者の場合は、なかなかそうもいかない。しかも精神障害者は差別もある。

知的障害者は、どう育ち、どう学び、どう働き、どう家族を持ち、どう死んでいくのかという、人生のサイクル全体を見通しての連続的な支援の在り方を構築したいと思っています。精神障害者については、症状が様々ですので、差別をなくして自己申告、自己受け入れを進めながら、精神障害者が決して事件の加害者にならないよう、予防的な措置が必要だと思っています。正しい意識が持てないときに、犯罪者になるのは避けるべきだし、それ以上に、何の罪もない被害者を絶対に増やしてはならないと思っています。したがって、少し踏み込んででも予防的措置ができるよう、仕組みを構築してまいります。

子育て支援は、私の経験上、地域の政策の工夫が一番活かせる分野ではないでしょうか。地域の市長や市議会議員の知恵次第で、いろんな効果が出せています。また、地域ごとの特性(都市か田舎か、持ち家比率がどうか、一軒家かマンションか)が大きく影響するため、まさに地域の特徴を分析し、人材や場所などにどういう強みがあるのかを分析し、地域ごとに効果的な仕組みを構築するのがベストです。そのためにも、地域に権限と財源を移譲し、地域同士の知恵比べ、政策比べをして、より良いものを波及してゆく、という政策を進めたいと思っています。

すべての社会保障について、共通する重要な視点は、「公平・公正であること」「思いやりがあること」「安定的であること」です。特に生活保護などでは、公平・公正であらなければなりません。障害者福祉には特に思いやりが必要です。また、全ての制度について、安定的でなければ、各家庭が安心して中期的な計画を立てることができません。

社会保障を安定的に確保する事は、各家庭に計画をうながし、それは将来の安心となって、自己投資が増える、消費が増える、それは経済を押し上げる、という効果もあります。また、自分がどのような状況になっても、また、どんな子どもが生まれても、安心感を持って寿命を全うできると言うことは、言わば安全保障です。だから、自分は関係ないと思うのではなく、いつ自分がそうなるかわからない、すべての人が当事者の立場になって考えることが重要です。私たちは、そういうことを広く呼び掛けてゆかなければなりません。

多くの政党が乱立し、迷走している今だからこそ、私たち自民党が信頼される、安定した政党にならなければなりません。世代交代を進めて、過去の悪い部分を洗い落とし、原点である「広く国民の声を基盤とする、確かな国民政党」を目指してゆきます。政治家だけが考えるのではなく、多くの国民に呼びかけ、いろんな立場の国民の声を広く聞いてゆく。これこそ、まことの「国民政党」を目指す、自民党の本来の姿だと思っています。

2012.11.25 (日)

外交・防衛について

今日は、外交・防衛・安全保障政策について書きたいと思います。

皆様もご存じの通り、政権交代されてからというもの、政治主導と言いながら、実際はトップの思いつきやら臆病やらで、外交では迷走し、防衛では領土を奪われかねない深刻な事態となってしまいました。

とりわけ多くの国民が驚き、憤慨したのが、尖閣諸島をめぐる中国の圧力と、それに屈する民主党政権の情けない姿です。一回目の尖閣事件では、日本の巡視船にぶつかってきた中国人の船長を逮捕しておきながら、中国から「即時・無条件で解放せよ」と言われ、最後は裁判所のせいにして、中国の言いなりになりました。

この情けない姿勢に、諸外国からも非難や失笑がでてしまい、日本は信用を失ったのです。しかしこの時の中国の姿勢はひどいもので、あろうことか言いがかりをつけて、中国に進出しているフジタの社員4人を逮捕してしまいました。こういうやり方をするのか、と私も驚き、同時に当時は静岡県議でしたので、県庁と協議し、中国に進出している県内企業に連絡して、社員の安否確認、県庁と各企業の情報交換をお願いしたのです。国がまったく頼りにならないので、地方自治体でできることをやろう!と考えての行動でした。

それから、今年の8月には、中国人の活動家が尖閣諸島に上陸します。これは、また上陸を阻止して船がぶつかったらまずい、という政治主導の判断から、あろうことか安易に上陸を許してしまったのです。私はこれもまた、ひどい判断をしたものだと思います。本来、主権国家と言うのは、自国の領土に許可なく上陸させない、というのは基礎の基礎です。それを政治主導で簡単に認めてしまいました。現場の海上保安庁の職員は、沿岸の守りを担ってきただけに、さぞかし悔しい思いをした事でしょう。こうやっているうちに、だんだんと領土は取られてゆくのだ・・・ということを痛感した事件です。

その後も中国は、日本の政府は国を守る気持ちが薄い、と判断したのか、反日暴動を黙認します。多くの企業が焼かれ、中国に住む日本人はいつ襲われるか分からないと言う不安な日々を数ヶ月間もおくりました。私の友人も中国にいますが、一歩も家から出られなくなってしまいました。滋賀県に関わる企業も、平和堂やパナソニックが焼き討ちにあい、日本企業の被害は100億円を超えています。にもかかわらず、今の政府は口で「遺憾です」というだけで、日本人を守る気概も、日本企業を守る気概もないというのが実態です。

私は、なぜ民主党が中国の言いなりになるのか、中国におびえているのか、本当の理由はよくわかりません。しかし結果として、中国に対し卑屈な対応をしつづけて、日本人を不安にさせ、多くの国益を失っています。また今度の選挙を経て民主党が政権に入ってきて、同じような対応をした場合、また中国の言いなりになって、本当に領土を失いかねない、国益を大きく損ないかねないと、強い危機感を感じます。

私たち自民党は、自主憲法の制定と言う大きな目標をもち、憲法草案をつくりました。そのなかに、「主権と独立を守るために、領土・領海・領空を守り、資源を守る」こと、そして、「緊急事態において、在外国民を守る」ことを明記しました。これは言わば当たり前の事ですが、当たり前のことすらできない民主党政権とは大きな違いであり、今回の選挙の争点の一つだと思っています。

また、集団的自衛権の問題についても書いておきたいと思います。私たち自民党は、集団的自衛権には賛成です。一方で民主党は、賛成の人もいれば反対の人もいて、バラバラです。野田総理は前向きですが、元・社民党の辻元さんや横路さんは、いつの間にか民主党に鞍替えされていて、これらの方は思いっきり左翼ですから、大反対です。

最近も沖縄において、米兵が事件を起こしています。そのたびに議題になるのが「日米地位協定」ですが、なぜこれが不平等かというと、そもそも日米安保が不平等だからです。「アメリカ人は日本人を守るために血を流すが、日本人はアメリカ人を守らない。」という条約だからです。私は今や世界の責任を大きな部分を担うまでに成長した日本として、やはり双務的な条約に、本当の意味での同盟関係をつくってゆかなければならないと考えています。もちろん「専守防衛」の理念は守りながら、アメリカや東南アジア、インドなど、日本に親近感を持つ国々にとって、本当に頼りになる国家として自立すべきだと思っています。そのために避けて通れないのが、集団的自衛権です。これは、「自分からは抜かない。しかし、自分の体を挺してでも、仲間を守る。」という、最も日本人的な武士道の姿勢が表れたものだと思っています。

また、増え続けている中国の軍事費にも警戒をしなければなりません。今、日本の軍事費は4兆5000億円程度ですが、中国は9兆円ほどあります。じつに日本の倍の軍事費を使っているのです。当たり前の事ですが、9兆円もの軍事費を使い、しかも何をしてくるかわからない、何を考えているかわからないような国が近くにある場合、しっかりとした備えが必要です。「平和を望むなら、戦いに備えよ」とは先人の言葉ですが、全くその通りです。平和を創り出すためには、軍事的なバランスを取ってゆかなければなりません。

しかし、では日本の軍事費を9兆円にする、ということができるでしょうか。福祉にも医療にも年金にも支出しなければならないときに、軍事費を倍に増やすことなどできません。だとすれば、同盟関係、連携関係をつかって、9兆円の軍事費に対抗できるような、防衛連携を進めることが必要です。かつて鉄人宰相と呼ばれたドイツのビスマルクは、まさにこうした同盟関係を巧みに構築して、ヨーロッパのパワーバランスを取り、戦争に明け暮れていたドイツに平和な時期を創り出しました。片方が強くなると、戦争になります。しかし力のバランスが取れると平和になる。アメリカとソビエトがしのぎを削った冷戦時代に大きな戦争が起きなかったのは、その仕組みによります。私ももちろん、理想とするのは地球上の全ての国が武器を捨て、戦争のない世の中をつくる事ですが、それを実現するには遠く、現実的には軍事バランスを取ることが最善の答えでもあるのです。

外交・防衛・安全保障をどうするのか、というのは、今の民主党政権がひどすぎることもあり、重要な政策テーマの一つです。何やら「自民党が国防軍と言った」とかをあげつらっている人もいるようですが、私としては、名前には関心はありません。自衛隊のままで良いと思っています。それより、中身です。

「頼りになる国家として、専守防衛に徹しながら、仲間が襲われた時には真っ先に駆けつけ、自分の身を顧みずに仲間を守る。」これこそ、私たち日本が目指す、誇り高い東洋の島国の姿ではないでしょうか。凛としたサムライの国、気は優しくて力持ちの国、そんな日本を目指したいと思っています。私自身もまた、そういう人物になりたいと思っています。

2012.11.23 (金)

原子力政策について

今日は原子力政策について、私の考え方を書こうと思います。

実は、この分野に関しての私の意見は「脱原発ではない」ということで固まっているのですが、支援者の中には「原発を争点にすべきではない。脱原発と言っても、脱原発ではないといっても、自民党支持者を二分する。」という声がけっこうありました。

確かに、民主党はバラバラで、一部候補はオモテでは30年代に脱原発と言いながら、支援団体には「選挙が終わったらうまくやります」と二枚舌を使っているようですし、維新の会は脱原発だの容認だのとブレています。その点では、共産党ははっきりしていますね。

そんな中、あるスタッフが、「ひとつひとつの案件に関する考え方を伝えることは、政治家になるっていうときの一番大事な部分だから、選挙を気にして、支持者の心配を気にして、発言を遠慮する必要はないよ。選挙は選挙で、俺たちがしっかり組み立てるから。」と何気なく言ってくれたので、少し安心して、今の自分の考え方をはっきりと書かせていただきます。

私は「脱原発」ではありません。確かに、福島第一の事故を見れば、誰だって心配になりますし、「原発を全部廃炉処理しても十分やっていける。今ある原子力ゴミも全部処分できる。」と言えるのなら、それに越したことはありません。誰だってそう言いたい。しかし現実はそうではないのです。この理想と現実のすき間を埋めるのが、まさに政治家の仕事だと思います。

私はまず、「原発仕分け」をするべきだと思っています。今回の原発事故の分析を進め、新しい基準、しかも最新の知見を集めての基準をつくって、そして「危ない原発は止める。安全な原発は回す。」という作業を粛々と進めるべきだと思っています。いま、点検を終えて、燃料棒を入れた状態で止まっている原発がたくさんありますが、新基準に照らして安全であれば回せばいいと思います。新基準に満たないのなら燃料棒も抜いて廃炉処理に進めば良い。きわめてシンプルな事です。

一方で、民主党政権が「電力不足の危険」をタテに、新基準もつくらず、規制委員会もつくらずに大飯原発を再稼働させたやり方には、明確に反対です。これは「安全だから」回したのではなく、「電力が足りないから」回したことになります。そうなら、電力が足りているいま、すぐに止めなければならないと言う理屈になります。原発事故が発生した時から、「新たな基準が必要」と言われ続けてきたのに何の仕事もしないで、夏をまえにして急に「電力危機だから、停電か再稼働か選べ」なんていうのは、単なる「出たとこ勝負」で、政府のやることではありません。本当にひどいやり方でした。私たちなら、早急に新基準を策定し、それに照らして合格なら、大飯だろうが泊だろうが回せばいいし、不合格なら回させない。それが、本来のやり方だと思います。

私はそもそも、みなさんが「脱原発」になるか、「脱原発ではない」になるかの分かれ目がどこで出るのかと言うと、三つのポイントだと思っています。

一つ目は、「科学技術の進歩や未来を信じられるかどうか。」 二つ目は、「経済の重要性をどの程度重くとらえているか。」 三つ目は「外交・防衛・安全保障とエネルギー資源の関係をどうとらえているか。」です。

一つ目はわかりやすいですね。「科学技術の進歩によって今の原子力を制御できる技術を持てる、あるいはより安全な発電方法が見つけられる」、と思えば、原子力研究を進めるべきですし、それは無理だと思えば、脱原発となります。しかしここで忘れてはならないのは、すでにある原子力ゴミの処分です。この処分のために、さらに進んだ技術も、処分のための費用も必要です。いま原子力をやめれば、ただちに技術はすたれ、財源も確保できず、原子力ゴミの処理はとん挫します。仮にもんじゅなどの再処理に成功できれば、今の原子力ゴミの半減期24,000年が、100年に短縮されるのです。やっと、今の世代で責任の負える年月になるのです。そうした責任を全うするためにも、原子力研究は続けなければなりません。そのためには稼働できるものは稼働させなければなりません。なぜなら、商業化することこそ、技術の進歩にとってもっとも重要な要素だからです。自動車がなぜここまで進歩したか、それは商業化されているからです。携帯電話の進歩を20年前にここまで予想できたか。目覚ましい進歩は、商業化されているからです。利益が生まれ、競争が生まれ、投資が生まれ、人材が投下されるから、技術が進歩する。これは、あらゆる分野の技術について、私たちが経験してきた「進歩の摂理」です。

ここで、「ゴミの処理方法も決まっていないのに、生産を始めたのはけしからん」という方がいるかもしれません。しかし、実は考えてみれば、あらゆる商品はそうなんです。ごみ処理の方法なんて考えないままに、商品はつくられてきました。クルマも、今は100%リサイクルしていますが、昔は適当にバラバラにして、多くをそのまま捨てていました。エアコンも冷蔵庫もテレビも、リサイクルの態勢が出来たのは最近です。その他のもの、家具とか、スポーツ用品とか、食器など、いまでもそのまま埋めています。残念ながらそういうもんなんですね。自動車や家電4品目が経験してきたように、商業化が進み、技術が進み、財源負担の仕組みが出来たら、やっとリサイクルできる。モノをつくる技術よりも、モノを最終処理する技術の方が、高度なものが必要だと言う事なのかもしれません。

二つ目は、多くのことが論じられています。私は、とりわけ今の日本にとっては、経済的な側面は重要だと思っています。1,000年に一度とか、10,000年に一度の地震をおそれ、マグニチュード10が来るかもしれない、11が来るかもしれないといって、今の経済を犠牲にするのは、意味があることなのでしょうか。経済は暮らしに直結しています。それこそ、経済がどんどんダメになれば、教育も福祉も医療も削減せざるを得なくなります。原発で死ななくても、経済や福祉のダメージで死ぬかもしれません。そこまでして、さらに想像を超える大災害を恐れて、安全性が確認され、活用可能なのに使わない、これこそムダです。安定した安価な電気、質の高い電気をしっかりと供給して、日本の産業、日本でしかできないような、高度なモノづくりを支えるべきだと思います。

三つ目は、これも重要な観点ですが、外交・防衛・安全保障上、本当に日本のエネルギーを石油・ガスに大きく依存して良いのか、と言う視点です。

振り返ると、いったいいつから国はエネルギー問題を抱えるようになったのか・・・それは、当たり前ですが、産業革命からです。産業革命は、エネルギー革命でした。最初のエネルギーは何かと言うと、石炭でした。このころは、日本は資源大国だったのです。日本のいろんなところを掘れば、良質の石炭がどんどん出た。船はよく走った。資源の事を気にせずに、どんどん石炭を使えたのです。これで日本海海戦に勝ったと言う説もあるほどです。

しかしその後、石油が石炭にとって代わりました。これは衝撃的だったのです。船は早く走る。クルマや飛行機にも使える。石炭で飛行機は飛ばせませんが、石油なら飛ばせる、ということですね。この瞬間、石油が出ない日本は、資源のない国に転落し、その後石油やくず鉄を止められて、悲しい戦争に走ってゆくことになります。ことほど左様に、エネルギーと外交・防衛は密接にかかわっています。

そして戦後登場したのが、原子力です。石油を持たない日本は、これに飛びつきました。これは過去の経験があったからです。原子力なら純国産エネルギーとして活用できる。石油やガスのように、中東の政治情勢に依存し、ホルムズ海峡からインド洋を数珠つなぎになって日本に運搬し、備蓄しなければならない・・・どこかで何かがあると、日本はたちまち干上がってしまう・・・これは戦争を経験した方々だからこそもった危機感なのでしょう。実際に、いまの石油やガスの備蓄は、国家備蓄と民間備蓄を合わせて、ガスで3カ月、石油で6カ月です。たったそれだけの期間しか、日本は持ちこたえられないと言う事なのです。

以上のような考え方から、私は「脱原発ではない」という結論になりました。ただし、徹底した安全確保を前提としています。まさにこれは、日本が一番得意とする部分だと思っています。

私はかつて、原子力規制庁をつくるとか、規制委員会をつくるとか言いながら、なんにも前に進まない時から、「原子力において世界トップの国は、日本、アメリカ、フランスだ。すでに日本の閉鎖的な原子力ムラに対する国民の信頼は失墜した。だから今回、アメリカとフランスから最高の技術者を招へいし、日本のトップ技術者も入れて、日米仏の英知を結集した世界最高の原子力機関を作り、そこでの議論を経て最新の基準をつくるべきだ。原子力事故を経験し、それを乗り越えようとした日本の基準が世界の基準になる。」と言い続けていました。

いまでもその考え方は変わっていません。世界の人口が増え、貧しかった国が豊かになり始めると、世界的にエネルギーが不足することは明らかです。たしかに風力とか太陽光とか太陽熱とか、積極的に開発は進めるものの、大容量、高品質、安定性など高度な産業で利用できるものは、現時点では、原子力に頼らざるを得ないのが事実です。だとすれば、日本の最高の英知が原子力に挑戦をつづけ、原子力を克服する事は、世界の希望でもあります。

私は、日本人ならきっとやれる!と信じています。

2012.11.18 (日)

労働者か、社員か。

やはり解散になりました。おかげで選挙に向けた準備を急ピッチで進めることになりました。

幸い、ある程度は覚悟していたし、それなりに準備していたので、比較的スムーズに立ちあがったのではないかと思っています。16日金曜日に解散しましたが、前日には選挙事務所を確定しましたし、月曜日には事務所セットが運び込まれます。電話も数日のうちにひかれるので、あっという間に選挙に向けて稼働が可能な状態になります。こうした点は、私自身が自分の選挙を何度もやってきているし、友人の選挙でも立ち上げから支援してきているので・・・経験値をそれなりに蓄えてきたことが活きました。うちのスタッフもまた、経験者ですから、手慣れたものです。

ということで、この土日から積極的に活動を展開し始めましたが、同じように、報道関係の記者さんたちの動きも、にわかに活発化してきました。どうやら報道機関にとっても電撃解散・電撃選挙だったようで・・・みなさん泡を食って取材内容の整理やら、アンケートの用意やらに追われているようです。

それと同時に、インタビューの回数も一気に増えてきました。そうしたなかで一番回答が難しいのが、「○○対策はどのように考えているのですか?」と言う質問です。例えば、「無党派対策は?」とか、「維新以外の小政党対策は?」などなんですが・・・その中でも、答弁が難しいな、と思ったのは「労働組合対策は?」という質問です。

というのも、そもそも労働組合と言うのは、組合の一形態ですね。私は中小企業診断士ですから、いろんな事業組合の支援の経験もあり、商工業の現場では「組合」といえば、事業組合であったり、LLPであったりなんです。しかし、政治の世界では、組合=労働組合=民主党の実体部分、と言う扱いになっています。しかし、本来は労働組合と言うのは、労働者の福利厚生を向上させることが本来の目的であって、いつしか一部の政治家がうまいこと言って政治利用した、というのが正しい実態です。

ですから、労働組合対策、と聞かれても、私は人事労務担当者ではないので、ある企業の労働者の福利厚生については方針を持ち合わせていないんですね。したがって、「民主党の支持組織と一体化している労働組合の幹部対策」という意味でお答えするようにしています。

ご存じの通り、滋賀1区は労働組合が極めて強固な組織をつくりあげています。これは、労働組合が強いから、民主党の川端さんのように、8期も議員を続け、もう企業では定年をとっくに超えているのに、これから9選目をめざせるほどの実力のある議員が作れたのか、それとも川端さんがいるから労働組合が強いのか、卵が先か鶏が先か、そういうことはよくわかりません。しかしいずれにしても、政治的、選挙的な労働組合の存在感と実力はケタはずれです。

しかし一方で、本来の業務である、労働者を守る、ということについては、何をやっているのかよくわかりません。実際に、大津とかかわりが深いものだけを見ても、サンヨー電機はなくなってしまいましたが、旧サンヨーの社員は整理されたり中国企業ハイアールに移籍させられたりという、非常に残念な結果になりました。ルネサスは政府系再生ファンドから全体で5000人規模の人員整理を指示されていますし、パナソニックは本年度1年間で10000人規模の整理を発表しました。こうした実績を見ても、労働組合の本来の業務は手薄となっています。むしろ、一部の政治家が選挙利用ばかりやってきて、本来の仕事はなおざりになっているのかもしれません。

私はこれは、労働組合が悪いと言うより、政治が労働組合を利用しすぎたのだと思います。騙されたのは労働組合の方ではないでしょうか。政治家に、選挙をやれば労働者の待遇が良くなる、選挙を手伝えば給料が増える、と持ちかけられれば、そうなってしまうのも仕方ありません。しかし実態は、民主党政権の間に、子どもたちの扶養控除が廃止され、すべてのサラリーマンの手取りは減ってしまいました。さらに、中小企業も倒産が増え、政府系ファンドも人員整理を指示するに至り、解雇者・失業者が増え続けてきました。つまり、労働者の働く場所も、給料もなくなってゆくなか、党あるいは政府が必死で守るということもなく、見て見ぬふりを決め込んできたのです。

それと連動して、増えたのは、生活保護です。ある方は、「働く者の味方とか言っているが、ウソだ。働く人からどんどん税金を取って、生活保護をバラまいている。これでは、働かないものの味方だ。」として憤慨していました。まったくその通りだと思います。

私はこうした実態に多くのサラリーマンの方は気づいていると思っています。ユニオンショップ制を敷いている企業では、全員が労働組合に加入しなければならないわけですが、かといってみんなが労働組合の方針に共感しているとは思いません。労働組合の役員さんでさえ、おかしいと思っている人は多数おられると思います。

そういう考えから、サラリーマン、とりわけ大企業の従業員の方々が民主党を支持するか、自民党を支持するかは、それぞれのサラリーマンの方が自分の事をどう規定しているかによる、と思っています。それは、「自分は労働者である」と思っているか、「自分は社員である」と思っているかによる、ということです。

自分自身を「労働者」であると規定し、労働者は団結し闘争すべきだと思っている人は、労働組合の方針通り民主党を支持すると思います。しかしそういう思いが強ければ強いほど、いまの民主党政権には失望しておられる事でしょう。

自分自身を「社員」であると規定し、会社の発展のために働くという姿勢、そのためのマネージメントの発想をもっておられる方は、自民党を支持してくださるのではないかと思っています。とりわけ管理職の方、あるいは管理職を目指す方はそういう考え方の方が多いです。私たち自民党は、経済を活性化し、企業の利益を増大することで、社員の雇用と給料を高めてゆこうと言うアプローチを進めるからです。

以上のようなことから・・・上記の質問の答えはつまり、「労働組合対策はない」し、「できない」ということです。私たちから何らかの対策をするというよりは、自民党らしいマネージメントの発想での経済政策をはっきりと提案することで、支持するかしないかは、それぞれの従業員の方の内面で決まると言う事です。「労働者」と思っていれば民主党、「社員」と思っていれば自民党に、なりやすいと思います。

私たち自民党は、いまの日本の経済を危機的なものととらえていて、最重要政策として経済・産業・雇用対策を挙げています。金融緩和と成長戦略を連動して進めることで、成長分野に集中的に資金が回るようにします。また、とりわけ防災対策について、公共事業を積み増して、将来のリスク回避と景気の底上げを狙います。さらには、投資効果の高い事業を官民連動して進めることで、デフレから脱却し、力強い日本経済をつくりあげてまいります。

選挙の日程も決まりました。12月4日公示、12月16日の投票という事になりました。あと1カ月を切りましたが、組織で強制するとか、泣いてでもお願いするとかいう選挙ではなく、判断材料を提供し、有権者から選んでもらう選挙を展開したいと思っています。そのためにも、できるだけ多くの方に私たちの政策を説明してゆきたいと思っています。そして、基本的な考え方、政策をつくる力、政策を実現する力、政策を理解する力で選択していただけるよう、全力を尽くしてまいります。

しばらく世の中が選挙で騒がしくなりますが、どうかご理解いただき、ご協力賜わりますよう、よろしくお願いいたします。

2012.11.15 (木)

衆議院解散?

今日の党首討論で、野田総理が16日の衆議院解散を明言したようです。

私も今日は忙しく回っていて、事務所から連絡があって初めて知りました。どうやら、0増5減を先行して成立させ、その上で衆議院解散に踏み切るようですね。私としては、そもそも国政選挙を戦うために静岡県議を辞職して滋賀県に帰ってきたわけですし、当初は延長した通常国会の再終盤で解散するのではないかと思っていたので、そんなに驚きはありません。逆に今までのあいだ、3ヶ月間も何も決められずに、何の政策も進められずに空転してきた国会のしくみ、さらにはつい先日のむなしい予算委員会などのあり方について、「これではダメだ!こんなことでは、経済のスピードについてゆけないし、諸外国のスピードにもついてゆけない!」と感じました。多くの国民が、国会改革の必要性を、実体験を持って見せられたのではないでしょうか?

おそらく来年の通常国会を迎えられないだろう・・・ということは、多くの報道や解説者が予想していましたし、私もそう感じていました。それはひとえに、先日の内閣改造です。当初から「ダブル田中が爆発する。そのあげく、野田総理は決断を余儀なくされる。」と予想されていましたが、その通りになりました。

一人目の田中さん、暴力団との癒着が指摘されて辞任した田中法務大臣は、ひたすら「思い出づくり」「元大臣の量産」に走る民主党の断末魔のようでした。民主党政権になって、確か67人目の「元大臣」として、何の仕事もせずに、国会をひとつも経験せずに辞職されました。2人目の田中さん、田中文部科学大臣は、思いつきで迷走し、人のせいにして言い訳する、というよくわからない行動で、民主党の議員からも「だからああいう元自民党の議員を使うなと言ったのに!」という、どうも自民党のせいにされているような発言まで飛び出す始末。しかしこの件の本当の事は、田中真紀子さんは風向きを感じることには敏感な方で、離党予備軍と言われていました。田中さんを離党させると、それはそれは民主党をひどく罵ってくるので・・・それを避けるために内閣に飲みこんだら、おなかの中で爆発した、ということです。結果から見ると、どっちが良かったのかわかりませんね。

しかし一方で、この3年間の民主党ほどひどくはないとは言え、かつての自民党も、言わば同じような事をしてきました。もちろん今は自民党は野党ですから政権の問題を指摘することが仕事ではあり、そこはしっかり仕事をしなければなりませんが、あまりひどく批判する権利はありません。むしろ私たち若手は、「他人のふり見て、わがふり直せ」で、民主党政権の迷走や失望の原因はどこにあるのかを、しっかりと分析して、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしなければなりません。

いくつか大きな問題があるのですが、そのうちの一つが「選挙至上主義」です。「選挙は勝たなければ意味がない。勝てればあとから何とでもなる。」と言う言葉は、当時の民主党の幹部がしきりと口にしていました。確かに一面ではそうなのかもしれませんが、それを言ったらおしまいです。「マニフェスト」という言葉を道具として使いながら、耳目を引くような思いつき、キレイ事、利益供与などのデタラメ政策を並べまくって、政治や選挙を軽薄で胡散臭いものにしてしまいました。子ども手当てを配ります、高速道路はタダにします、ガソリン税も安くします、消費税は上げません・・・これらは何ひとつ実現できずに終わってしまいました。子ども手当ては1年ほど約束の半額である1万3千円を配りましたが、今は廃止されました。一方でこの間に経済は低迷し、失業者は増え続け、サラリーマンの給料は下がり続けましたので、「子ども手当てをもらって喜んでいたら、旦那様の会社がつぶれて給料が全部なくなった」という、元も子もないような状況になってしまいました。

高校無償化もバラマキの一つです。これだけは実現した!と民主党は大宣伝しているようですが、私は機会があれば費用対効果について聞いてみたいと思っています。「高校無償化で1000人ほど高校中退が減った!」と言っていますが、これは高校中退者を減らすためにやったのでしょうか?そうだとすれば、5000億円使って1000人減った。中退者を一人減らすために5億円使ったことになります。これはまさに税金のムダ遣いなのではないですか?しかもこの財源は子どもたちの扶養控除をカットした分を当てているわけですから、「広く取って、狭くバラまく」というタイプのバラマキです。私はむしろ、子どもたちの学力向上、道徳教育の推進、奨学金の拡充、留学や専門分野への可能性を開くなど、子どもたちの未来を大きなものにしてゆける政策に資金を投入するべきだと思っています。

ちょっと踏み込み過ぎたので戻すと、その「選挙至上主義」を見直さなければ、また同じことの繰り返しになってしまいます。既に今でも、聞こえが良いこと、利益供与のようなもの、威勢の良いこと、国民のルサンチマンを煽ることなど、政策とも呼べないようなものまで氾濫しています。これは、私たち自民党ももちろん、しっかりと戒めて、そろそろ「大人の政治」を目指してゆかなければなりません。これは、いまの実直な野田代表と、実直な安倍総裁となら、合意できることだと思いますので、マスコミも含めて、「もう騒ぐだけの政治、流行りものに飛びつく政治、ばらまく政治はやめましょう。現実的で、戦略的で、長期的なビジョンをもった大人の政治を目指しましょう」というコンセンサスを取ってもらいたいと思っています。

その上で、民主党のようにマニフェストと言っても、私たち自民党のように政権公約と言ってもいいのですが、国民に本当のことを伝える、本当にやりたい事を伝える、一方でそのための国民の負担も伝える、国民に我慢してもらう事や給付の引き下げも伝える・・・そういうまじめなもの、煽りや過大宣伝ではなく、学術的にも正しい、読み物としてもしっかりとビジョンが分かる、そういう「さすが!」と言えるものを作ってゆきたいと思います。民主党も「これまでの事を反省し、国民の声を集めてマニフェストをつくる」などと言っていますが、そういうのは「アンケート」と言います。そうではなくて、大所高所から、また専門家としての目、現場に入ってどうしても必要だと感じたこと、議員として仕事をしてきた以上、普通に暮らしている人よりも多くを見、多く汗を流して蓄えてきた知見を、将来を見据えた政策として書きあげるものこそ、マニフェストであろうし政権公約であろうと思います。今回の自民党のものがどうなっているかは、新人ですからまだ知り得ませんが、少なくとも私はそういう政権公約を目指してゆきます。その姿勢こそ、私たちが目指す、謙虚で実直な政治だと思っています。

いよいよ選挙が始まります。まして今回は、急に二日後に解散が降ってきて、しかも解散から投票までがたった1カ月と言う電撃戦です。電撃戦では、各陣営の事務処理能力が試されます。選挙を経験した人なら分かるのですが、選挙の半分以上は事務作業です。ポスターやチラシ、ハガキなどを作り、貼りだしなどの段取りを決め、選挙カーや事務所を用意し、日程計画を立てて、マスコミ各社のアンケートに答え・・・本当に膨大な事務量をこなさなければなりません。そうなると、与野党問わず、現職が有利、組織をバックにした候補者が有利です。多くの公設秘書を抱え、多くの動員人数が可能で、多額の資金を持っています。私たち新人は、資金も事務員も少ない中、少数精鋭でやりこなしてゆかなければなりません。もちろん候補者である私自身も、事務処理の一部を担わなければ追いつきません。

私の相手は労働組合の大物、しかも鳩山政権、野田政権を大臣として支えた、かつての民主社会党、友愛ゼンセンのトップです。本当に厳しい戦い、気力も体力も使い果たすような試練になると思いますが、相手は大物ですから、思い切ってぶつかってゆこうと思っています。組織や資金、人員で勝てない以上、私自身が前線に立ち続け、野戦の指揮官として、とにかく表に出つづける選挙、有権者に政策を伝え、思いを伝え続ける選挙を目指したいと思います。

まじめに政策を語り、有権者のご意見を伺い、反論すべきは反論し、説明すべきは説明する。そういう、本来の選挙、政治の原点を見つめなおすような選挙をやれば、かならず有権者の信頼は回復できると信じています。また私自身への戒めとして、また、これまでだらしなくて政権を失ってしまった自民党としての反省として、「政治のスタート、民主主義の原点である選挙をまじめにしっかりとやれば、次の展望が見える。逆に軽薄で子どもじみた政策・選挙をやれば、たちまちダメになる。つまづくのも選挙から。良くなるのも選挙から。」ということを肝に銘じて、明日からの1ヶ月間、全力で走り抜けたいと思います。

皆さまからの支援を信じて、日本のため、日本人のために頑張り抜きますので、どうかご支援をよろしくお願い申し上げます。

2012.11.01 (木)

外国人参政権

みなさん、こんにちは。近いうちに解散とか言われて・・・準備をしているのですが、いまだにパドックにも入っていない感じです。そうしたなか、民主党は離党者が止まらず、マジック6が点灯しました。衆議院の解散が早いか、民主党の解散が早いかの勝負になってきましたね。

それはさておき、先日、外国人参政権についてどう考えるのか書いてほしいというご要望をいただきましたので、少し書かせていただきます。

私はこの「外国人参政権」問題は、次の衆議院選挙の争点の一つだと思っています。というのも、この問題は賛否がはっきり分かれていて、判断しやすい項目だからです。民主党はずっと「外国人参政権賛成」の立場で、マニフェストにも明記していますし、大阪維新の会も外国人参政権に理解を示しています。一方で、私自身は、外国人参政権には反対です。

理由は、外国人に選挙権、被選挙権を認めるような切迫性もなければ、明確な理由が見当たらないからです。よく、外国人に参政権がないので、外国人の権利をないがしろにしているという論説があります。しかし、実際には日本ほど、外国人の権利を広く認め、外国人に配慮している国はありません。

その第一が、外国人にも生活保護を広く認めていることです。こんな国はほかにありません。むしろ、いま生活保護が増え続けていることが問題となっていますが、このうち大きく伸びているのが外国人への支給と、若者への支給です。私は以前、日本一ブラジル人の多い町である浜松市に住んでいましたが、そのとき聞いていたのが、「日本での生活保護の申請方法がポルトガル語でインターネットに公開されていて、日本に入国してすぐに生活保護を申請しに来る外国人が後を絶たない」ということです。生活保護は本来「国民」に対して政府が行うものであって、憲法にも生活保護法にも「国民」と書かれています。とすると、外国人に支給のは憲法違反の可能性すらあるのです。しかし今に至るまで、外国人にも生活保護を支給するようになったのは、当時の厚生省の通知によるものです。

ことほど左様に、いま外国人に参政権がないにもかかわらず、日本ほど外国人を日本人同様に処遇している国はないので、外国人参政権を認める理由は見当たりません。むしろ、マニフェストに明記してきた民主党さんに、いったい何のために外国人に参政権を認めるのか、その狙いを聞いてみたいと思っています。

一方で、教育の分野における外国人への対応は遅れています。浜松にいた時に、私は地元企業が中心になってつくった外国人学校の評議員をしていました。この学校の設立の動機は、浜松には多くのブラジル人がいるのですが、その子どもたちの教育状況があまりにひどい状態だったからです。突然ブラジルから日本に連れてこられた子どもたちは、ポルトガル語も日本語も中途半端なまま大人になってしまいます。母語を失った子どもは、心の柱と言うか、行動規範・道徳観の柱を自分の中に立てられないまま、体だけが大きくなってしまいます。その結果、暴力団の手先になったり、そうでなくても日本人に危害を加えたり、挙句に生活保護に陥ったりと、ひどい有様でした。そのした中、私財をなげうってでもブラジルやペルーの子どもたちの教育をしたい、というすごい校長先生がおられて、その思いに多くの企業が共鳴して、市や県も応援して学校の設立に至りました。

私はこの学校での経験のなかで、結果として外国人であっても母語を失わなくてよい教育、それでいて日の丸・君が代を含め、日本で生きてゆくために日本のことを教え、日本を愛し、日本を尊敬する教育を進めることが、日本社会にとってもいかに重要か、いかに有益かを感じました。この学校の様子を、東京や大阪の、日の丸を掲げず君が代を歌わない先生方に見せたいくらいです。ブラジルやペルーの子供たちが、日本語もままならないのに、あらゆる行事では日の丸を掲げ、みんなで最初に君が代を歌います。その目は生き生きとしています。そうして母語は母語として学びながら、日本を学び、日本で生きてゆく覚悟と愛着心を育ててゆくのです。

これからの時代、日本はさらに国際化が進むことでしょう。多くの日本人が海外で働くようになり、一方で多くの外国人が日本で働き、日本で暮らし、日本人に帰化する時代がやってくると思います。私は、日本を愛し、日本で晩年を迎えたいという外国人に対し、帰化の道はしっかりと用意したいと思います。日本人として暮らし、日本人として社会に貢献してゆく覚悟をもった外国人には、ぜひ来ていただきたいと思います。一方で、外国人に参政権をあたえる必要性は感じません。

外国人政策については、レッテルをはられやすい分野でありますが、私はこれまでの経験も踏まえて、冷静に議論し、冷静に説明してゆきたいと思っています。

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