滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)

2015年05月の記事一覧

2015.05.27 (水)

中国を訪問

先週の土日を利用して、二階代議士を団長とした3000人を超える訪中団に参加しました。

国会の日程の関係で、土日しか時間が取れなかったため、弾丸ツアーとなってしまいました。土曜日の朝の7時に羽田をたち、日曜日の夜8時に羽田に戻ってくるという日程です。

北京にはお昼に到着して、いきなり大使館に直行しました。大使館では「ようこそ日本」のキャンペーンをやっていて、日本のバイク、日本の化粧品、日本のカップラーメン、日本のお酒、日本のヤクルト・・・中国の国民から見てクールと思われる日本の様々な商品を展示していました。バイクのコーナーでは、日本メーカー4社が出展していて、私のスズキ時代の先輩が北京の社長としてお見えになっていました。また、ホンダ、ヤマハ、カワサキの皆様からもお話を伺いました。化粧品のコーナーでは、資生堂やカネボウといったブランドは中国でもかなり浸透しているらしく、中国の女性たちの人だかりができていました。

例えば日本のバイクは、第二の外交官とも言われていて、全世界で活用され、日本の高品質のモノづくりを先進国から途上国まで確実に伝えてくれています。化粧品も、日本にあこがれ、日本のファッションをまねようとする女性たちを世界中に増やしています。日本の外交官だけではなく、日本の民間人が、日本らしい礼儀正しさ、日本の高品質の製品とともに世界に出てゆくことで、日本の良いイメージが広がり、日本の国益にかなうものだと思います。とりわけ中国のように、過去の歴史において難しさのある国、また政治体制が違い、その政府や報道が必ずしも今の日本の姿勢を正確に伝えていないとすれば、こうした民間レベルの外交活動によって、中国の国民が日本に対して感じる思い、良い印象というものを確実に浸透させてゆかなければなりませんね。

それからは、要人との面会、10月に行われる予定のNHK交響楽団の北京公演の契約式などを済ませ、夜の日中交流の晩さん会に参加しました。

晩さん会では、「ひょっとしたら?」と思っていたのですが、期待通り習近平国家主席が出席され、演説をされました。さすがに歴史認識についてはチクチクと言っておられましたが、全体としては友好的な感じで、日本との対話を進めようとする姿勢が見て取れました。それにしても・・・大きいですし、大きく見えます。15億人の国民、広い国土、長い歴史を背負っているという自信と責任感に満ちているからでしょう。実際の大きさよりも、ずっと存在感がありました。さすがに私は言葉を交わすことはありませんでしたが、いつか実力をつけて、こうした立場の方とも忌憚なく、腹を割って、言うべきことを言い、しっかりと話し合えるようになりたいと思いました。

その日は疲れ果ててコロンと寝て、翌日は朝7時から故宮を見学しました。早朝の故宮は人が少なくて、ガイドさんもいたので、ゆっくり落ち着いて見て回ることができました。

日曜日のお昼も要人との会談があり、私も中国の自動車政策、二輪車政策について意見を申し上げ、先方からは検討を指示するとの返事をいただきました。それが終わったら空港に直行し、そのまま羽田に帰ってきました。日本についたら、ほっとしたのと、北京に比べて空気がおいしいのと、ご飯がおいしいのと・・・疲れも出て、スカッと寝てしまいました。

一泊二日の強行軍でしたが、いろいろ考える機会になりました。現在も、日中関係は必ずしも良好とは言えません。経済のやりとり、政治のやり取りの間に、どうしても過去の歴史の問題が顔を出してきます。経済の問題は経済人が、政治の問題、政策の問題、民間や経済活動のプラットフォームの問題などは政治家が、過去の歴史の問題は歴史家がそれぞれ担うべきだと思いますが、現状ではそうなっていないのが日中関係です。しかし習近平氏も言っていた通り、隣人は変えられるが、隣国は変えられません。それに、大きな国です。また、長い歴史を持ち、私たち日本も多くを学ばせていただいた国です。それが80年ほど前に日中の間には悲しい歴史があり、もちろん私たちの世代には記憶も何もありませんが、それがいまだに両国の間に横たわっています。戦争はそれぞれの国の指導者の、何らかの判断の誤りや驕り、すれ違いなどがあって発生するものなのでしょうが、一般の人たちは、妻を思い、両親を思い、子供を思い、まっすぐな思いで死んでいった方々も多くいらっしゃいます。そうした点から、あの戦争を「悪い戦争をした」というわけにはいきません。守ってもらった私たちが、悪い戦争をやらかしてくれた、なんて言ったら、私たちを思って亡くなった方は浮かばれません。当時の指導者には、歴史家の評価があり、賛否もあると思いますが、亡くなった多くの国民、先人たちには手を合わせるというのが日本人として、後進としての姿勢だと思っています。もちろん、先方の立場も理解しなければなりません。祖父や祖母を日本人に殺されたという中国の方は多いでしょう。その人たちの思いは、私たち以上に強いものがあるということは、必ず理解しようとしなければなりません。

残念ながら、今の私たちに、過去は変えられません。変えられるものなら変えたいけど、出来ないのです。だとすれば、今できることは、お互いを理解しようとする姿勢であり、これからのことを語る熱意であり、さらに若い青年たちの世代に託す希望なんだと思います。毎回毎回、何十年も何百年も謝りつづけることでは、ないのではないかと思います。先方も本音ではそんなことはわかっていると思います。ただ、まだ友好的とは言えない状況の中で、そう言ってしまう、そうなってしまう、ということも、私たちは理解しなければならないのではないでしょうか。

これは、人間同士の関係と同じで、友好的になれば、そんなことは言わなくなるのではないでしょうか。まだ友好的と言えないから、相手のちょっとした行動も悪く取ってしまったり、言っても何もならないこと言ってしまったり・・・こうしたことは、私もしばしば「はっ」として反省することがあります。それと同じなのかもしれません。

ある程度時間が必要なこともあるでしょうが、日中関係の改善、歴史問題うんぬんで政治も経済も影響を受ける状態の改善は、私たちの世代に課せられた使命であり、責任だと思っています。政治家が未来のことを語り、経済人がウインウインの関係を作り、歴史の真実については歴史家の議論に任せるという、そんな関係を築けるよう、私は日本人らしい姿勢、徳と分別をもって、実直さと誠実さをもって、矜持と謙譲をもって、中国と向き合ってゆきたいと思います。日本人がそうした日本人らしい姿勢で接することで、中国の国民に対しても、何かを伝え、何かの変化を促し、それがともすれば行儀が悪いと思われている中国の国の姿勢を変えることにつながるかもしれません。

日本人として、日本人らしく、諸外国に向き合う外交ができるよう、さらに人間力を磨きたいと思いました。

2015.05.25 (月)

派遣法を審議

今期から私が配属されることになった厚生労働委員会で、派遣法の審議が始まりました。

その初日に、トップバッターで質問に立つことになりました。派遣法はこれまで2度、廃案になっています。今回が三度目の正直になるのか、二度あることは三度あるのか、色々な意味で注目されています。

この派遣法、私はこれまでは直接審議に加わっていなかったので、一から勉強しなおして、今回の審議に臨みました。今回の派遣法改正の特長は、大きく4つです。

一つは、すべての職種について、派遣期間の制限を設け、それを3年とすること。

二つめは、派遣会社の事業許可について、すべての派遣会社を許可制にすること。

三つめは、派遣労働者について、無償・有給の教育(スキルアップ、労働の付加価値アップ)を義務付けること。

四つめは、派遣期間が終了したら、そのまま継続雇用を依頼するなど、雇用を安定させる取り組みを義務づけること。

です。

残念ながら民主党をはじめとする野党の議員さんは反発しておられますが、特に低スキル・低賃金・不安定が問題とされている派遣労働者の皆様にとっては、その課題を一つずつ克服できるような法の中身になっています。

一方で、この改正によりメリットを受けにくい方もおられます。

振り返ると、派遣法が制定され、世の中に「派遣という働き方」が出始めた当時、とりわけ女性、特に結婚をしてもう一度社会に出ようとする年代の方にとっては、当時はパートしかないような時代でした。そこに、学生時代にしっかり勉強して、あるいは社会人になってから特殊な経験を積んで、その腕を買われて派遣という仕事につければ、自由度は高く、高収入でしたので、ある意味で憧れの働き方でした。

今でもそうやって、通訳ができる秘書や、問題発生の対処ができるプログラマーなど、多くの方々が高スキル・高収入の仕事をしています。こういう方々にとっては、派遣期間を制限されることなどはマイナスになる可能性もあります。メリットとしては、教育訓練ですが、これも高スキルの場合は会社側で用意することは難しく、労働者の自主性を重視した取り組みが必要となります。

あらゆる立場の人にとってパーフェクトな法律は難しいのが現実です。しかし新しい派遣法(案)は、昨今問題となってきた、なかなか労働単価が上がらない方々、景気の波に左右され雇用が不安定になりがちな方々にとっては、現状の派遣法よりはだいぶ前進するものとなります。そういう意味で、確かに全員に完璧ではないかもしれないけど、特に問題とされた点について一歩前進させることが重要です。また課題が見つかれば、あるいは派遣労働者、派遣会社の両方に力がついてくれば、それに合わせて継続的に議論し、継続的に改善してゆく取り組みこそ、国会に求められている活動だと思っています。

また、野党の先生方からは、「この法律では実効性がない、実現の担保がない」という意見も多く聞かれます。「もっと細かく書かなければ、具体的にどうするのかわからない」という意見もあります。確かにそのように見えるかもしれませんが、そもそも法律のみで100%の実効性を担保することはできません。また、法律に、すべてのケースに対する処理の仕方を書き込むことはできません。

法律に「人を殺してはなりません」と書いても殺人はなくならないし、「スピードを出したら罰金です」と書いたら抑止されるかというと、確かに効果は出ても100%ではありません。そんなことは、多くの国民が知っています。国会で決めた法律に基づいて、私たちの政権、そして各県、各市町村で行政活動を進め、問題が見つかれば、個別の企業、個別の労働者に合わせて行政指導をし、あるいは罰則を適用し、法の目指すものに近づける努力を続けなければなりません。

そういう意味で、民主主義の政治体制をとる日本では、あらゆる課題、あらゆる政治・行政の行為について、二つの視点から議論し、国民に決めてもらう必要があります。それは、「どういう法律を定めるのか」、「法律のどこが問題なのか」という法律の中身の視点から。もう一つは、その法律を基本として、「どの政権に任せるのか」、「どの党に判断させるのか」、という政権選択・行政委任という視点。これらを一回の選挙で判断するのが、議院内閣制をとる日本の国政の特徴です。(例えばアメリカの場合は、立法の視点からの選択(議会の選挙)と、行政執行の視点からの選択(大統領の選挙)を別々に行います。)

これからも、私たちの日常活動において、法律の内容について国民の皆様からご意見をいただき、それに耳を傾けるとともに、政権として、行政執行を任される立場として、「自民党・公明党連立政権、あるいは大岡君に、行政判断を任せておけば大丈夫だ」、と言ってもらえるような信頼づくりを進めてゆきたいと思います。

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