滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)
2016.09.10 (土)

議員外交

みなさま、いつもお世話になっています。

さて、参議院選挙が終わり、その後片付けやら、しばらく選挙で取り組めていなかった地元関係の予算や政策の詰めをやっています。また、臨時国会の召集も決まり、院の委員会やら党の部会やら、それに向けた準備を進めています。

その合間を縫って、韓国に議員外交に行ってきました。行先は、忠清南道です。

忠清南道は、実は静岡県議時代からの付き合いで、10年近くになります。静岡県が忠清南道と友好提携を結んでいるからです。しかしいま、滋賀県に帰り国会議員になって、あらためて考えてみると、静岡県よりも滋賀県のほうが忠清南道との付き合いは深いんですね。というのも、忠清南道は、昔の国名で言うと、「百済(くだら)」だからです。

ご存知の通り、日本と百済との関係は紀元600年代にさかのぼります。歴史の教科書であった、白村江の戦い(はくすきのえのたたかい)は、唐と新羅の連合軍に攻められて滅ぼされてしまった百済の再興をめざして、日本と百済がともに戦った戦いです。ざんねんながら、日本・百済連合軍は敗れてしまい、百済は完全に滅ぼされてしまうことになります。

その時に、朝鮮半島に5万人の兵を送ったのが、天智天皇です。滋賀県の人はご存知の通り、近江宮(大津京)を作った方ですね。戦いに負け、多くの日本人が死にましたが、同時に多くの百済の人たちが日本に亡命してきました。それを受け入れ、日本の技術や文化の発展に貢献してもらったのです。技術や文化の発展は、国ごとにゆらぎのようなものがあり、時期によってある国が進んだり、また別の国が進んだりします。今では韓国よりも日本のほうが技術も進んでいますが、当時は百済のほうが進んでたんでしょうね。当時の渡来人は高い地位で迎えられ、日本人に多くのことを教えたようです。また、この白村江の戦いに負けて、外交の怖さを知り、国を守ることの危機感を知り、当時飛鳥にあった都を大津に移したといわれています。大津は、四方を山に囲まれ、目の前には大水源の琵琶湖を抱え、防衛には適した地だったのでしょう。今はそれが、他の都市にはない素晴らしい「景観」として、住むにもよし、訪ねるにもよしの都市となっています。

今回は、忠清南道で行われた「地域外交」のシンポジウムに出席し、百済(忠清南道)と日本および滋賀県の特別な関係についてお話ししました。いま、韓国との関係は、徐々に良くなりつつあるとはいえ、良好とは言えない状況ですので、日本から来た国会議員の発言は注目されたのですが、「1350年前にさかのぼって、古くからの同盟国の友人として来た」、と話し始めてからは、皆さんが食い入るように聞いてくださいました。

その後、忠清南道の副知事との懇談、道選出の韓国国会議員との懇談、経済人との懇談、日本大使館やJETROへの訪問など、ぎっしり詰まった日程をこなして帰国しました。あらためて感じたのは、忠清南道は韓国の中でも最も親日的な地域であり、非常に過ごしやすかったことです。おそらくこれは、ビジネスの環境としても良いと思われ、日本から韓国への海外展開をするときの重要な選択肢になると思います。

あわせて、地域外交や議員外交の重要性を認識しました。なにやら国会議員が海外に行くと、贅沢な外遊などけしからんという論調で書かれがちですが、実際には決してそんなことはありません。むしろ、先方の方と三枚肉やサンゲタンを一緒に食べて、いろいろな情報交換をすることは、議員としても、ビジネスマンや国民としても、外交に大きなプラスになります。

日本も韓国も民主主義国家で、政治は国民の意向を聞かなければなりません。だとすると、国民の中に相手国に対する嫌な気持ちがあると、どうしてもそれに引っ張られてしまいます。私たち議員がしっかりと交流する土俵を作り、安全で快適に訪問できる環境を作ることで、ビジネスや観光で相互訪問が増え、それが強い外交関係につながるようにしなければなりません。

まして、いま、北朝鮮がミサイルやら核実験やら、極めて活発に挑発を仕掛けてきています。慰安婦だのなんだのということで、日本と韓国の外交関係や相互協力、それぞれの国益を損なうべきではありません。マスコミも冷静に、お互いの国益は何かということを真剣に議論していただきたいと思っています。おそらく、両国の国民は、国民の感情をあおったり、人気欲しさに相手国をたたいたり、問題を炎上させようとする軽率な議員ではなく、しっかりと国益を考え、冷静に外交や防衛環境の整備を進める議員を望んでいるはずです。少なくとも私は国民を信じて、きっと国民のためになっていると思って、これまで行動してきています。

外交はいまや、国会議員の固有業務ではなくなりました。昔は確かに国会議員とか、政府のトップとか、限られた方が外交関係を決めていましたが、いまや民間人の旅行やビジネスマンの商取引も、外交の重要な要素となっています。一方で、冷静で具体的な外交的な話し合いを行い、有効な政策やプロジェクトを進めたり、交流環境を作ったりすることは、今なお国会議員が中心になってやらなければならない重要な仕事です。これを間違えると、外交関係は大きく影響を受け、良くもなりますし、悪くもなります。日本や諸外国の政治家の行動が、外交に与える影響が大きいことは、皆さんよくご存じのことです。私たちはこのことをよくわきまえて、冷静に判断し、準備をして行動しなければなりません。

外交には、どうしても時間がかかります。これからも、しっかりとした認識を持って議員外交を展開し、国民の望む成果を出せるよう、一生懸命に働きます。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

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