滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)
2017年09月22日 (金)

大きな政治家の引退

今回の選挙では、各党の大物政治家が引退を決められています。
自民党からは谷垣禎一先生、民進党では川端達夫先生がご引退を決断されたと報道がありました。
民進党の川端先生は、私がこれまで二回、胸を借りて選挙を戦わせていただきました。民進党の幹部であり、現在は会派を離れて議会全体をまとめる副議長をお勤めいただいています。選挙で戦った相手だけに、前回の副議長選挙の時には、激戦だった選挙の直後に「川端達夫」と書くのは・・・なにか変な感じでした。そのことをご本人にお話したら・・・「そうだろうね。よくわかるよ。でも一票ありがとう!」と言われたことは、よく覚えています。
民主党政権時代には、文部科学大臣2回、そして総務大臣を歴任され、つまり鳩山、菅、野田すべての内閣で大臣をお勤めでした。当時の内閣が無理筋の政策を進めようとしたときには、いつも正論で諫めておられたと聞いています。民主党時代の大臣にはいろいろな方がおられましたが、そうした中では実に堅実に仕事をしておられたと思います。高校授業料無償化など、多くの実績も残されました。
また、私に対しても、折に触れて政策の考え方や問題点を指摘していただきました。政治の何たるかを熟知し、他党ながら若い政治家を育てるような思いでいてくださったのだと思います。このような大きな政治家と同じ時期に仕事ができたことは、私にとって貴重な経験となりました。
滋賀で育った私は、子供のころにポスターを見たことがある政治家と、この年になって選挙を戦い、そしてご引退を決断されたときに居合わせたことは、ひとつのご縁だと感じます。これからも、大所高所からご指導いただきたいと思っています。
自民党の谷垣禎一先生は、私が自民党から出馬を決めた時の総裁でした。まだ私が県議だったときにお目にかかる機会があって、当時は自民党が大量落選で政権を失い、揺れていた時代、党名を変えるとか離党者が出るとかそんな頃でした。率直に意見を言ってくれと言われた私はストレートに、「正直言って私たち若い議員には、これまでの自民党は魅力に欠けます。表面では若いけどよくわからないのがふわふわやっていて、少し中に入ると旧態依然とした既得権の岩盤。これでは広く候補者を募り、国民との対話を行うような国民政党からはほど遠く感じます。」という趣旨のことを申し上げました。すると、谷垣先生は「ひとつだけはっきり約束しますよ。私は今までの自民党をそのまま再生するつもりはない。戻すつもりはありませんから。あなたのように若くて気概のある人が活躍できる自民党にしますから。」と言われたのです。私はこれを聞いて、よし、もう一度自民党に賭けてみよう、という気持ちを強く持ちました。そのときは、私は2度も自民党の公募に落選していて、縁がないのかな、向いてないのかなと思っていたのですが、三度目の挑戦をするきっかけになったのは、谷垣先生との会話でした。
その後、谷垣総裁から滋賀1区の支部長に任命していただき、選挙を迎えましたが、谷垣先生には2度もお越しいただきました。そのたびに力強く応援演説をしていただき、勝利に向けて大きく弾みがついたと思います。
また、法務大臣にご就任になり、大津市が抱えていた「所在不明土地問題(地図混乱問題)」の解決をお願いしました。これは大津市の住民や関係者が長年苦しんでこられた問題で、谷垣大臣の強いご指導のおかげで法務省が動いてくれ、いまではこれまでとうってかわって、加速的に解決に向かうことになりました。
本当に残念なことに、昨年自転車の事故で入院され、政治の第一線からは外れて療養を続けておられました。こうしたこともあって、ご引退のご決断に至ったものと思います。
お二人とも、一つの時代を作ってこられた大きな政治家です。身近な政治家が引退されるのを見ると、こうして世代交代がなされていくのだと思いました。私もいずれ、引退し後進に道を譲るときが来ます。そのときはどうするんだろうな、とぼんやり考えました。同時に、政治家の退き際は本当に難しいものだと感じました。
これから20年の日本の政治は、私たちの世代が中心になって作ってゆかなければなりません。改革しなければならないことは、山ほどあります。世界を相手に勝負しなければならないことも、たくさんあります。あらためて身の引き締まる思いをした一日でした。
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2017年09月20日 (水)

インド訪問

先日、インドにおけるODAの目玉案件である新幹線の起工式と、私の出身企業であるスズキの新工場の開所式のために、インド・アーメダバードを訪問してきました。
インドは日本にとって、過去もこれからも非常に重要なパートナーです。今から70年前、日本が第二次世界大戦に敗れ、まさに四面楚歌になっていた時に支えてくれたのはインドでした。パール判事が戦勝国による事後的・一方的な裁判を批判したことは有名ですが(これは、日本に戦争責任がないといったわけではなく、正論を通したということです。あしからず)、日本に対する賠償賦課を最初に放棄してくれたのはインドです。その後、第一次大戦の巨額賠償がナチスの台頭を生んだという分析から、戦勝国が次々と賠償放棄を決める流れとなりました。もし賠償放棄がなかったら・・・戦後当分の間は、日本人が頑張っても頑張っても賠償に持っていかれて、戦後の復興は大幅に遅れたかもしれません。今のような先進国の日本はなかったかもしれません。
さらにさかのぼっても、インドは仏教の発祥の地であり、西遊記で夏目雅子さんがガンダーラを目指して旅をする話はみんな知っていますね。滋賀県には比叡山、三井寺、石山寺など歴史のある寺社仏閣が多く、色黒のお坊さん(当時、遠くインドから招いていた)が中心になって式典を行う様子が残っています。日本人の心根に深く息づいている仏教とその関連文化は、例えば琵琶湖の名前(琵琶)もインドのビナ(という楽器)からきていますし、七福神も日本人はえびす様だけで、弁天様も大黒様もインド人のようです。
そんな心のふるさとであるインドで、日本との関係をさらに深くする事業が数多く立ち上がっていることに、強い因縁を感じながら訪問し、要人との会談もさせていただきました。アーメダバートの街は歓迎ムード一色で、いろいろ考えてくれたのだと思いますが、不思議な鳥居までお目見えしていました。
まず新幹線は、まさに日本とインドの関係を示すフラッグシッププロジェクトとして、何としても成功させなければなりません。政府はもとより、JR東日本、建設企業の皆様と協力し、インド国民に喜んでもらえる事業としたいと思います。式典ではモディ首相、起点と終点の各州知事につづいて安倍総理からも祝辞があり、日本とインドを特別な二国間関係として、経済発展や地域平和のためにやってゆく趣旨の発言がありました。
そして、スズキの新工場は、インド政府からも大きな期待がかけられており、安倍総理、モディ首相のお二人から祝福のメッセージがありました。ここはメイクインインディアとエクスポートフロムインディアという二つの政府方針に沿ったもので、インド国内のみならず、インド製の車を世界に向けて輸出するとのことです。
インドは、産業構造として製造業が非常に弱く、これが長年問題となっていました。サービス業のみでは雇用も外貨獲得も不十分だからです。当面は、資本収支は赤字となりますが、それを貿易収支でカバーする形で経済運営を進める戦略のようです。そこに、35年にわたってインドの自動車産業を引っ張ってきたスズキが協力するというもので、国を挙げた期待を感じました。
スズキの鈴木修会長によると、品質についても日本製に追いつきつつあるということで、これからのインド製造業の発展が楽しみになります。
一方で、課題もたくさんあります。一つは電力です。今回のグジャラート州は電力が安定していることが強みの一つですが、国全体で見ると非常に脆弱です。電力がないと、産業面はおろか、生活面、衛生面でも環境が劣悪となり、子供たちの死亡率も下がりません。にほんの最高の技術で協力して、電力のサポートをする必要があります。もうひとつはインフラです。道路はひどい状態で、これではいくら最新鋭の工場を作っても、そこへの資材の搬入や、製品の搬出で不具合が生じます。広い国土に、日本のようなレベルの高い道路を敷き詰めることは不可能です。維持管理で国がつぶれてしまうでしょう。だとすると、物流面を高度化・効率化する高速の鉄道貨物を整備しなければなりません。
インドを訪ね、現場を見て、いろいろな方のお話を聞くと、本当に政治がやらなければならないことがいっぱいで、わくわくしますね。成熟国家である日本では感じられない感覚で、少しうらやましいと思いました。
あわせて、先ほど書いた電力も、鉄道も、道路も、通信も、農業も、ものづくりも、日本のあらゆる分野にチャンスがあります。インド人はみな、日本の技術や人材にあこがれ、期待しています。我が国の政治も、経済も、少し内側を見すぎてきました。外には大きなチャンスが広がっている、日本に対する魅力やあこがれも一定程度浸透している、そのチャンスを多くの国民や企業がつかみ取れるよう、これからも政策を進めてゆきたいと考えています。
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2017年08月28日 (月)

臨時国会に向けて

暑い夏も終わりに近づいてきました。皆さまそれぞれどのように過ごされたでしょうか?

今年の1月から始まった通常国会は・・・振り返るとちょっと残念な国会でした。日本経済も若干踊り場にさしかかった感がある中で、国民の働き方を改革し、国民の生産性を高めるための議論が必要な国会でした。また、北朝鮮がミサイルを連続的に発射し、軍事技術を蓄積する中で、これまでの防衛に対する考え方では国民を守りきれなくなる恐れがある中、憲法はこれでいいのか、防衛の方針はこれでいいのかということの議論が必要な国会でした。

しかしながら、通常国会の前半は衆議院でも参議院でも森友学園の話に終始し(わたしたちはもちろん別の議論もしていたのですが、マスコミとりわけテレビはこの手の議論にひたすら注目していました。新聞はさすがに、他の議題についても取り上げていた気がします。)、本来議論すべき予算の内容や見通しなどはほとんど国民の知るところとなりませんでした。後半は加計学園がどうのこうのという話ばかりが報道され、本当に国家の方針として議論されるべきことがこれだけなのかな、と残念な思いをしながら、私は地道に財政や経済政策や社会保障、働き方改革などを議論しておりました。もちろん報道からは何の注目もされませんでしたが。

その後東京都議会議員選挙の手伝いに汗を流すことになりました。全体としては負けてしまったのですが、幸い私が応援に入った候補者は皆当選し、私個人としてはうれしい結果となった都議選でした。都議選の結果について、報道関係者や地元の皆さま、地方議員の仲間から尋ねられることが多いのですが、まず、他の地域の国会議員が都道府県議会議員の選挙に奔走するなどということは、今まで聞いたこともないし、私も市議、県議をやってきましたが、経験したこともありません。それだけ党本部は危機感を持ち、やれることを全部やった選挙だったのだと思います。

選挙も勝負のひとつですが、不思議と勝つことはあっても、「負けに不思議の負けなし」と言われます。おそらく敗因はそれぞれで、負けた候補者本人が一番よくわかっているのだと思いますが、一部で「自民党の二期生の不祥事・不始末のせいで負けた」などと言っている人がいることには、違和感があります。私も県会議員をやっていたのでわかりますが、そもそも他の地域の国会議員が不祥事を起こしたところで、それぞれの都議の信頼を損ねたり支援者が離れたりはしません。県会議員や、市会議員は、住民に身近な存在で、その人が4年間何をやっていたのかは、地域の人や支援者は一番よく知っています。4年間現職として仕事をしてきて、最後の2週間に自分と無縁の国会議員が不祥事を起こして、一気に票が減ると言うことは考えられません。実際に、そんな中で当選された都議の先生方がいらっしゃいます。負けた方は、おそらくほかに理由があるのだと思います。負けることは悪いことではありませんので、次に向けて敗因をしっかりと分析し、4年後もう一度チャレンジしていただきたいと思います。

一方で、新人の候補者の皆さまには、申し訳ないことになったと思っています。新人は実績を訴えようもないし、期待を集めることで当選に届くわけですから、その期待値を下げてしまったことは事実だと思います。自民党への期待はおろか、若手の議員への期待値を下げてしまいました。これは、私たちがしっかりと反省し、若手らしく思い切った議論、党内営業や党内接待なしの本音の議論を展開することで、国民の期待にこたえてゆきたいと思っています。

さて、そんな思いで夏を迎えましたが、夏は私たちにとって「仕込み」の時期です。仕込むのは、「政策」と「支持率」です。とりわけ政策は、夏の間に地元を回ったり、いろいろな方の相談に乗ったり、国会開会中には行きにくい関西拠点の企業を訪問したりして、現場の声を集めます。そうするとさまざまな課題が見えてきます。それを次の臨時国会や通常国会の材料として、しっかりと仕込んでいきます。支持率のほうは、地元の有権者の支持率と合わせて、家族の支持率もアップするチャンスです。地元については、政策の仕込みと表裏いったいですが、いろいろなところに出かけ、いろいろな話を聞きました。家族のほうは・・・子どもの送り迎えをしたり、仕事をオフにしてプールに行ったり、料理やお菓子で(はずかしいほど簡単なものですが)釣ってみたり、いろいろやりました。成果は・・・ちょっとよくわかりません。支持率が上がっていればしめたものですが・・・。

いよいよ来月には、臨時国会の召集が予想されます。今週から自民党の部会の活動も活発になってきました。各議員がそれぞれ、この夏に仕込んだものを、どう仕立てて臨時国会に持ち込むか、自民党の各部会でしっかりと議論を重ねたいと思います。

私としては、3つの小分野と、外交防衛国家戦略と言う大きなテーマについて、この臨時国会で議論をしたいと思っています。3つの分野とは、①働き方改革の具体策・とりわけ中小企業の生産性向上について設備や金融分野からの取り組み、②医療・介護の報酬改定に伴って、いかにITやロボットの活用を進めるか、③年末の税制改正議論において、税の合理化効率化と、税から成長を引き出す方策について、それぞれ勉強を進めて議論を深めたいと思っています。

また大きなテーマである外交防衛と国家戦略については、簡単に答えの出るテーマではありませんが、北朝鮮の問題、そして日本の競争力が相対的に低下している問題について、大きくどのように取り組むかを議論したいと思っています。もちろんその目的を達成する重要な方策として、憲法の改正も避けられないと考えています。

先の国会では、獣医学部をひとつ新設すると言うことが日本の国家戦略だなどとして議論されましたが、私はちょっと恥ずかしく思いました。この程度のことが国家戦略だとか、国会をあげて何ヶ月も議論することとは思えないからです。やってもよし、やらなくてもよし、大臣の判断で進めればいいことだと思っています。隣の中国では、一帯一路とAIIBが重要な国家戦略として進められています。アメリカも、ロシアも、ヨーロッパ各国もそれぞれ重要な国家戦略を持っていると思います。それに比べて・・・獣医学部を一つ作るか作らないかが国家戦略とは・・・ちょっと違うのではないでしょうか。日本の獣医さんは世界トップクラスですし、とりわけ途上国では日本の獣医教育や十位分野の支援には大きな期待と感謝があることは承知していますが、国家戦略とは少し違うと思っています。そうではなくて、日本がこれからも世界のトップでありつづけるために、また日本人が豊かな暮らしを保ち、世界中の人々からあこがれられるような文化レベルも社会レベルも高い状態を作り上げるためにはどのような国家戦略が必要なのか、国民の皆様とともにしっかりと議論してまいりたいと思っています。

日本の国会は、恥ずかしながら生産性はきわめて低い状態です。その国会が、自分たちよりもずっと高い生産性を持っている民間企業に「さらに生産性向上を!」と呼びかけるなど、まるで漫才のようですが、わたしたち議員一人ひとりの努力で、これは改善すると思っています。ポピュリズムやおべんちゃら、耳にあたりのいいことだけを宣伝するのではなく、本当のこと、事実をベースに、本音の議論をする国会にしたいと思っています。揚げ足取りはもうたくさんです。国民はそんなことを聞きたいのではなく、本当のことを聞きたいのだと思います。私一人の力はまだまだ小さいのですが、それでも粘り強く、生産性の高い国会を目指して努力を重ねたいと思います。

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2017年01月02日 (月)

新しい年を迎えて

平成29年の元旦を迎えました。

新しい年を迎えて、皆様それぞれ新しい抱負や目標を定められたことと思います。私も今年一年、皆様の期待に応えてしっかりと働くこと、課題となっている政策について、一気にはできませんが、一つずつ着実に前に進めてゆくことを誓いました。

昨年は、おかげさまで、日本の国政は非常に安定した中で終えることができました。イギリスのEU離脱、アメリカの大統領選挙、韓国政治の大混乱など、外国では大きな政治的な不安定がありました。ほかにも、ミャンマーで新政権ができたり、フィリピンでは個性的な大統領が生まれたり、タイのプミポン国王がなくなったり、アフリカで動乱があったりと、政治が揺れていましたが、日本においては安定した中でこれらへの対応を打つことができましたし、国内政策も着実に進めることができました。これらもすべて、皆様それぞれのご支援やご理解があったからです。本当にありがとうございました。

さて今年はどうでしょうか。昨年ほど安定した状態を保てるかどうかは、非常に難しい課題だと思っています。というのも、まず今月、トランプ大統領が就任します。いまだにアメリカはどのような政策を打ってくるかわからない状況ですので、早く情報を収集し、適切な対応を取らなければなりません。アメリカの動きは為替だけではなく、経済のあらゆる面に影響を与えます。アメリカは日本の同盟国、つまりは防衛の上でも経済活動の上でも協調して取り組むべき国であり、人口は約3倍、GDPはそれ以上の開きがあるため、アメリカが寝返りをうつと、日本はその影響を避けられないからです。そういう点で、安倍政権が機転を利かせてトランプ予定者に真っ先に面談を仕掛けたのは、正しい判断だと思います。大河ドラマでも同じようなことが起きていますが、変化の時、危機の時の瞬発力が運命を分けるということは、歴史が証明していることです。私たち政治家は特に、決して平和ボケにならないように、普段から感覚を磨いておかなければなりません。

また、ヨーロッパを見ても、今年はドイツとフランスという2大国で選挙があります。それぞれ現政権を批判する勢力が台頭しており、どういう結果になるか、まったくわかりません。それぞれの結果について、日本には大きな影響を与えることになるでしょう。 これらのことからもわかりますが、「グローバル化」によって世界は近くなり、国民同士の交流、普遍的な価値、貧困や人権への協調しての対応など、良い面がたくさん出てきました。一方で、まるでトランポリンかベッドの上に、アメリカのような巨体の人から、オランダやギリシャなど小柄の人まで一緒に乗っているような状態が「今の世界」であり、誰かが大きく飛び跳ねたり、不安定な動きをすると、それはすべてに影響する時代となりました。特に巨体の国が自己中心的な動きをすると、収拾がつかなくなる可能性もあります。政治でも経済でも、世界がつながっており、それらの情報をしっかりと分析し、手をつなぐべきはつなぎ、リーダーシップを発揮して対応するということが最も重要です。私もその一助になれるように、今年もしっかりと取り組みたいと思います。

国内については、今年はもう少し国民の皆様が実感できるような経済成長を目指したいと思います。正直に申し上げて、昨年の経済は、私たちが目標としたものには届かなかったと思っています。過去に比べればましなものの、もう少し実感できるものにしないと、経済が上向きで安定したとは評価してもらえないだろうと思っています。そういう意味で、今年の予算の執行については、これまで以上にチャレンジをしてゆかなければならないと思っています。

その予算案ですが、昨年の暮れに自民党・公明党として承認し、閣議決定をしました。この予算案も、「変わりばえしない」などの厳しい評価もありますが、私から見ると、いろんなところに苦労の跡が見えます。社会保障費は増えるけど消費税は上げられない、また景気も読み切れない、そんな中で税収をどうするのか、社会保障をどうするのか、昨年以上に難しい査定だったと思います。余力が少ない中で、いろんな課題をちりばめてあります。これを執行段階においてしっかりと実にしてゆくことができるかが、今年の自民党・公明党政権の腕が問われる部分だと思います。

暮らしにかかわる部分だけ少し紹介すると...保育や介護の世界では仕事がハードな割に給料が安いことが課題となっていました。今回はひとりあたりの月給でおおむね10,000円程度アップするとともに、経験のある介護士には40,000円程度のアップを実現するものとなっています。日本では資産の6割を高齢者が保有しており、介護や医療はまさに、高齢者から働く若者にお金が移動する大事な仕事です。また、少子高齢化が進んでおり、男女ともに活躍してもらわないと日本が沈没してしまいますが、保育の仕事は非常に重要な要素です。これらの面にしっかりと光を当てる予算となっています。

また、教育についても取り組みを強化します。給付型奨学金についてマスコミなどでも話題になっていますが、まず奨学金については、所得などで評価した対象者全員が受け取れるように改革します。また、金利についても0.01%まで引き下げることとしました。事実上ゼロ金利で学びたい人全員に資金を提供することとします。また、給付型については、限定的ではありますがスタートします。これについて、「お金がないから」「かわいそうだから」給付型奨学金という意見も見られますが、そうではありません。いろいろな理由でご両親あるいは片親が低所得の家の子供の中に、意欲もあるし能力も高い「星」のようなこともがいるのも事実です。今回の制度でこの「星」を見つけ出し、多くの子供たちの目標となるように頑張ってもらおうということです。決してかわいそうだから出すのではありません。ここを間違うと、子供たちの間で差別や批判になってしまいます。いずれ返すお金であれば問題は出にくいですが、もらえる人ともらえない人がいる場合、その境目の落差は大きなものになりますので。福祉ではなく、あくまで教育目的として、子供たちの中で頑張っている「星」を見つけ、みんなの目標となり、学力全体を押し上げてゆくというのが狙いです。貧しい人にただお金を渡しても、豊かにはなりません。豊かになるためには一生懸命勉強する、手に職をつける、目標をもって働く、これは世界共通の鉄則です。日本の教育はこれまで粘り強くそれを子供たちに教えてきたはずですが、最近はどうなっているのか、心配になるときもあります。今回の奨学金も、あくまで教育のため、この原則を忘れてはならないと思っています。

ほかにも、人工知能、IoT、科学技術、観光、働き方改革やインターバル規制などについて、新しい取り組みをスタートします。予算は金額だけの問題ではなく、使い方が重要です。うまく使って効果を最大化してゆきたいと思います。

今年一年も、国民のため、地域のためにしっかりと働きますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

(公職選挙法で、政治家は「年賀状」などの「時候の挨拶」は、「自筆以外は禁止」となっています。ホームページも自筆以外と考えられるので、この点に注意した書きぶりとしています。ご了承いただければと思います。)

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2016年09月10日 (土)

議員外交

みなさま、いつもお世話になっています。

さて、参議院選挙が終わり、その後片付けやら、しばらく選挙で取り組めていなかった地元関係の予算や政策の詰めをやっています。また、臨時国会の召集も決まり、院の委員会やら党の部会やら、それに向けた準備を進めています。

その合間を縫って、韓国に議員外交に行ってきました。行先は、忠清南道です。

忠清南道は、実は静岡県議時代からの付き合いで、10年近くになります。静岡県が忠清南道と友好提携を結んでいるからです。しかしいま、滋賀県に帰り国会議員になって、あらためて考えてみると、静岡県よりも滋賀県のほうが忠清南道との付き合いは深いんですね。というのも、忠清南道は、昔の国名で言うと、「百済(くだら)」だからです。

ご存知の通り、日本と百済との関係は紀元600年代にさかのぼります。歴史の教科書であった、白村江の戦い(はくすきのえのたたかい)は、唐と新羅の連合軍に攻められて滅ぼされてしまった百済の再興をめざして、日本と百済がともに戦った戦いです。ざんねんながら、日本・百済連合軍は敗れてしまい、百済は完全に滅ぼされてしまうことになります。

その時に、朝鮮半島に5万人の兵を送ったのが、天智天皇です。滋賀県の人はご存知の通り、近江宮(大津京)を作った方ですね。戦いに負け、多くの日本人が死にましたが、同時に多くの百済の人たちが日本に亡命してきました。それを受け入れ、日本の技術や文化の発展に貢献してもらったのです。技術や文化の発展は、国ごとにゆらぎのようなものがあり、時期によってある国が進んだり、また別の国が進んだりします。今では韓国よりも日本のほうが技術も進んでいますが、当時は百済のほうが進んでたんでしょうね。当時の渡来人は高い地位で迎えられ、日本人に多くのことを教えたようです。また、この白村江の戦いに負けて、外交の怖さを知り、国を守ることの危機感を知り、当時飛鳥にあった都を大津に移したといわれています。大津は、四方を山に囲まれ、目の前には大水源の琵琶湖を抱え、防衛には適した地だったのでしょう。今はそれが、他の都市にはない素晴らしい「景観」として、住むにもよし、訪ねるにもよしの都市となっています。

今回は、忠清南道で行われた「地域外交」のシンポジウムに出席し、百済(忠清南道)と日本および滋賀県の特別な関係についてお話ししました。いま、韓国との関係は、徐々に良くなりつつあるとはいえ、良好とは言えない状況ですので、日本から来た国会議員の発言は注目されたのですが、「1350年前にさかのぼって、古くからの同盟国の友人として来た」、と話し始めてからは、皆さんが食い入るように聞いてくださいました。

その後、忠清南道の副知事との懇談、道選出の韓国国会議員との懇談、経済人との懇談、日本大使館やJETROへの訪問など、ぎっしり詰まった日程をこなして帰国しました。あらためて感じたのは、忠清南道は韓国の中でも最も親日的な地域であり、非常に過ごしやすかったことです。おそらくこれは、ビジネスの環境としても良いと思われ、日本から韓国への海外展開をするときの重要な選択肢になると思います。

あわせて、地域外交や議員外交の重要性を認識しました。なにやら国会議員が海外に行くと、贅沢な外遊などけしからんという論調で書かれがちですが、実際には決してそんなことはありません。むしろ、先方の方と三枚肉やサンゲタンを一緒に食べて、いろいろな情報交換をすることは、議員としても、ビジネスマンや国民としても、外交に大きなプラスになります。

日本も韓国も民主主義国家で、政治は国民の意向を聞かなければなりません。だとすると、国民の中に相手国に対する嫌な気持ちがあると、どうしてもそれに引っ張られてしまいます。私たち議員がしっかりと交流する土俵を作り、安全で快適に訪問できる環境を作ることで、ビジネスや観光で相互訪問が増え、それが強い外交関係につながるようにしなければなりません。

まして、いま、北朝鮮がミサイルやら核実験やら、極めて活発に挑発を仕掛けてきています。慰安婦だのなんだのということで、日本と韓国の外交関係や相互協力、それぞれの国益を損なうべきではありません。マスコミも冷静に、お互いの国益は何かということを真剣に議論していただきたいと思っています。おそらく、両国の国民は、国民の感情をあおったり、人気欲しさに相手国をたたいたり、問題を炎上させようとする軽率な議員ではなく、しっかりと国益を考え、冷静に外交や防衛環境の整備を進める議員を望んでいるはずです。少なくとも私は国民を信じて、きっと国民のためになっていると思って、これまで行動してきています。

外交はいまや、国会議員の固有業務ではなくなりました。昔は確かに国会議員とか、政府のトップとか、限られた方が外交関係を決めていましたが、いまや民間人の旅行やビジネスマンの商取引も、外交の重要な要素となっています。一方で、冷静で具体的な外交的な話し合いを行い、有効な政策やプロジェクトを進めたり、交流環境を作ったりすることは、今なお国会議員が中心になってやらなければならない重要な仕事です。これを間違えると、外交関係は大きく影響を受け、良くもなりますし、悪くもなります。日本や諸外国の政治家の行動が、外交に与える影響が大きいことは、皆さんよくご存じのことです。私たちはこのことをよくわきまえて、冷静に判断し、準備をして行動しなければなりません。

外交には、どうしても時間がかかります。これからも、しっかりとした認識を持って議員外交を展開し、国民の望む成果を出せるよう、一生懸命に働きます。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。

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2016年07月19日 (火)

参議院選挙を終えて

忙しさにかまけて、しばらくブログをご無沙汰しておりました。失礼しました。

さて、参議院選挙が終わりました。私たち自民党が満を持して公認した「こやり隆史」さんが、多くの県民のご支持をいただいて、当選することができました。これから、衆議院議員と参議院議員、そして私たちと連携してくださっている県議会議員、市議会議員の皆様の力を借りて、選挙期間に皆様とお約束したことをひとつずつ実現できるよう、全力で働いてまいります。

こやりさんは、前に落選した県知事選挙から2年、よく頑張りぬかれたと思います。県内の各地域との関係を保ちながら、落選期間を耐え抜かれたことで、2年間で一回りも二回りも大きくなられたと感じました。また、選挙期間が近づくと、私たちが組んだ激務の日程をよくこなしていただきました。参議院は衆議院と違って、選挙の下準備から考えると期間が長く、また全県が選挙区と移動範囲が広いため、体力がものをいいます。こやりさんは、ヘトヘトになりながらも、ゴールを目指して全力疾走されました。この集中力はものすごいと感じました。

今回の選挙では、私が支部長を務めている大津市・高島市ともに、素晴らしい得票でした。大津市では1万2000票ほどの差をつけていただきましたし、高島市は県内で最高の得票率でした。これらの結果は、市議会議員、県議会議員の皆様をはじめ、地域の代表者や団体の皆様、各企業でご支援いただいている皆様に、本当に多くの応援をしていただいたことによります。また、普段は、自民党支持とも言い切れない、あるいは安倍政権支持と言い切れない方々にも応援に入っていただきました。そういう点では、私たちの支持層に広がりが出てきたということであり、オール滋賀県での応援体制に近づいたのではないかと思っています。私は、政治は常に、多くの国民を受け止める姿勢から始めなければならないと思っています。あまり、排除の論理や思想や組織の純化路線はとらないほうが良いというのが私の考えです。そういう点では、今回は一歩前進して、支持の広がりのきっかけをつかめたのではないかと思っています。

一方で、林久美子さんも、よく頑張られたと思います。最終日には声が出ないほどになっておられ、全力で頑張られたことがうかがえました。特に、教育や子育ての政策を熱心に訴えておられたようで、お母さま方から非常にわかりやすくて、具体的で、良かったという声を聞きました。街頭などで自分の思いを国民に伝える、これが選挙の原点です。選挙戦が、ともすれば国民に関係のない、陣営の内部の都合や自己満足に陥りがちな中、原点である国民に思いを伝えることを重視して活動されたことは、私たちも見習わなければならないと思いました。これまで現職の参議院議員として、教育や子育て支援には熱心に取り組んでこられました。私も教育や子育て、子供政策に関する超党派の議員連盟ではご一緒することが多く、よく現場を知っていると感じました。これからも、これまでのご経験からのご意見を聞かせていただきたいと思っています。

この選挙に入る前、私たちは大きな危機感を持っていました。それは、民進党と共産党が選挙で協力することを表明したからです。私の選挙区で考えても、前の衆議院選挙で仮に民主・共産が一本化していたら・・・私は1万3000票もの差で負けることになります。それが今回、1万2000票差で勝つことができたので、少なくとも私の選挙区については、民進党・共産党の一本化効果は限定的だったのかな、と思います。

一方で、全国的にみると、東北では6県のうち5県で民進党・共産党に負けてしまいました。他にも、新潟、山梨、長野、三重、大分という、もともと激戦が予想されていたところでは、競り負けてしまいました。したがって、日本全体として見たときには、民進党・共産党の一本化は、大きな効果を出したということだと思います。今後、この流れが続くのかどうかはわかりませんが、次の衆議院選挙に向けてしっかりと脇を締めてゆかなければならないと思っています。

国民の支持を確かなものにするためには、特に与党である私たちは、しっかりと仕事をすることだと思っています。国の様々な改革を前に進め、時には国民の耳に心地よくない事でも、言うべきことをしっかりと説明する。負担をお願いするべきはお願いしてゆく。また、地元については、市議会や市長、県議会や県知事の意見を良く聞いて、力を合わせて街づくりや教育、福祉や安全対策をすすめてゆく。政治家の仕事は、国民の皆様、地域の皆様は良く見ておられてると思っています。しっかりと評価をされる仕事をして、政治への信頼を取り戻して参りたいと思います。

選挙のあとのお礼は、法律で禁止されておりますので、感謝と共に活動報告させていただくことで、ご理解と引き続きのご支援をお願いしたいと思います。

また、皆様の参考になればと思い、今回の参議院選挙の結果表を添付しておきます。

2016_参議院選挙_結果

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2016年01月24日 (日)

27補正予算成立 28当初予算提出

1月4日から始まった国会が、一つ目の区切りを迎えました。先週の1月20日に、今年度の補正予算が成立しました。

これは、好調な経済を背景として、今年度の税収が増えることが見込まれるので(法人税の増加、所得税の増加、それに連動して地方税の増加)、それを政策として国民に還元しようとするものです。規模は3.3兆円としています。

その中身は、①保育や介護の充実を中心とした「一億総活躍」に約4000億円、②ものづくり補助金など中小企業の経営強化に1500億円、③TPPなどを見越しての農業の生産性向上などに3100億円、④地方創生のさらなる加速に1000億円、⑤経済政策の果実を、経済活動をやっていないお年寄りにも実感してもらうための年金上乗せに3600億円、⑥災害からの復旧や予防に5200億円などで、いずれも早く執行し、国民に安心していただくためのものです。これからは、地方自治体とも連携して、早く正確に予算を使って、狙った通りの効果が出せるように頑張ります。

そして、先週の金曜日には、いよいよ来年度の当初予算を提出しました。昨年の暮れから、財務省の担当者がお正月を返上して、また連日の残業で仕上げてくれた予算です。まさに、財務省の知恵と汗が詰まっています。財務政務官としての私の責任は、これを確実に年度内に成立させて、4月からの確実な執行を進めることです。与党の国会議員と連携し、また野党の議員の方々にも丁寧に説明し、国会での審議を進めてゆきたいと思っています。

予算編成で最も重要なことは、予算のメリハリを付けて、どうすれば高い政策効果が出せるかをしっかり考えることです。今回の予算については、私はその過程で財務政務官を拝命したので、つぶさに知っているわけではありませんが、折に触れて担当者と話し、議論してきました。もちろん時折、費用対効果の観点から、予算の要望を断ることもありました。今回の予算が完ぺきかと聞かれると、そうは言い切れないと思います。完ぺきを期すのは非常に難しいのですが、それを目指してゆくことで、予算のムダをなくし、国民の生活向上と財政再建の両方を実現できるのだと思います。1月22日の予算提出と同時に、29年度予算編成に向けての反省や工夫は始まっていると考えて、私なりの意見を反映させてゆきたいと思っています。前の年よりも次の年は良くなる、だんだん確実に良くなるよう、頑張ります。

中身を少し話すと、予算の総額は96兆7000億円で、先日成立した補正予算3兆3000億円と合わせて、合計100兆円です。税収は3兆円の伸びを見込んでいます。見込み通りだとすれば、平成24年度(民主党政権)から比べて、実に15兆円の税収増を実現したことになります。もちろん大きいものは消費税の5%→8%への増税で、これだけで6兆円(地方は2兆円)あります。とはいえ、消費税を除くとやっとリーマンショック前に戻ったというレベルであり、決して喜んではいられません。この間に、高齢化は進み、社会保障費は増え続けているわけですから。

その社会保障は、平成27年度より4400億円増えました。公共事業は、27年度よりもほんの少しプラスにしています。総理が力を入れている外交・防衛もプラスです。じゃあ何がマイナスなのか、となりますが、これは地方交付税です。経済が好調なことから、地方の税収も増えているので、その分国からの支給金は減額させていただくこととなりました。必要な部分にはしっかりと予算をつけて、国民の暮らしの充実と、経済再生の継続を狙っています。一方で、借金への依存は1兆5000億減らして、子どもたちの世代へのつけ回しを、少しではありますが軽減しています。

その他、分野ごとのポイントや、全体のフレーム、最近の推移などを分かりやすくまとめましたので、以下のファイルを参照していただければと思います。

平成28年度予算のポイント

22日に、予算提出と合わせて総理の所信表明、また私がお仕えしている麻生財務大臣の財政演説などを行いました。それを受けて、来週の本会議では、各党からの質疑が行われます。いよいよ国会最大のヤマである、来年度予算の審議のスタートです。私も財務省の一員として、このフォローや対応に全力を尽くすことになります。地元のことも対応しながら、しっかりとこの役目を果たしたいと思います。

これから連日、新聞各紙の1面から5面、あるいは7面あたりまで、私たちの仕事が報道されることになります。地元の皆様から選んでいただいたという「感謝」と、地元を代表して国会で仕事をしているという「誇り」を忘れないようにしながら、「滋賀県の議員は良くやっている!」という評価を頂けるように働きますので、どうか引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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2016年01月07日 (木)

新しい年を迎えて

平成28年の新春を迎えました。皆様それぞれ、今年の目標を立てられたことだと思います。時間は連続的に流れていますが、お正月という良い節目を作って、リセットしたりリフレッシュしたり、昨年の失敗を反省して新しい目標を立てるのは、日本人の知恵だと思います。

私はこの平成28年は、昨年10月に拝命した「財務大臣政務官」という仕事をきっちりとやり抜く一年にしたいと思います。財務省は政府全体の中では背骨にあたる仕事を担当しています。日本全体の予算、さまざまな税金、TPPで注目された関税、国有財産、為替や経済協力などの国際部門、そして皆様に身近で重要な各税務署など、どれも重要で、今後政治家として歩を進めるうえで知識を蓄え自分の力に変えてゆかなければならない分野ばかりです。

「国のため、国民のため」と自分に言い聞かせながら政務官の仕事に打ち込んでいる間は、なかなか地元にも帰ることができず、地元の皆様にはご心配やご負担をおかけしますが、どうかご理解いただき、あたたかくお支え頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

さて、今年は1月4日から国会が始まりました。この国会を通じて、政務官の努力が試されます。初日に補正予算案を提出しました。この審議に始まり、平成28年度の当初予算、税制改正、TPPに関する関税法など、国会での説明や調整に奔走して、スムーズで深さのある審議と期限内での成立をめざして全力を尽くします。

6日には各党の代表質問がありました。選挙の年だからか、国会の冒頭からなにやら戦闘モードで、各党の幹部と総理の議論は白熱したものとなりました。マスコミなどでも賛否両論、いろいろな評価があるようですが、私は棒読み質問・棒読み答弁よりも、政治家が自分の言葉で議論することは、衆議院本会議にも必要なことだと思っています。時にエキサイトするにしても、生の言葉で、生の意見や主張をぶつけ合う、言論の武道のようなやりとりこそ、本音のわかる、国民にとって見ごたえのある国会だと思いますので、良かったと思いました。

また今年は、参議院選挙の年です。滋賀県では、一昨年の知事選挙でお世話になり、惜しくも三日月知事に敗れてしまった「こやり隆史」さんを公認しました。こやりさんは、経済産業省の出身で、中小企業政策やエネルギー問題、輸出入や貿易にも精通しておられ、滋賀県にとっても、国にとっても最重要の人材です。さらに滋賀県の力を増し、滋賀県から国政を動かしてゆくためにも、「こやり隆史」さんに皆様のお力を与えていただきたいと思います。

正月早々に始まった国会、そしてそのまま参議院選挙と、息つく暇もない今年の前半ですが、まずは参議院選挙まではぶっ通しで走り抜きたいと思いますので、引き続きのご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。

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2015年10月11日 (日)

財務大臣政務官に就任

このたびの第三次安倍改造内閣におきまして、麻生財務大臣を補佐する「財務大臣政務官」に就任することになりました。これもすべて、二度にわたる衆議院選挙で応援し投票してくださったすべての皆様、選挙区外からも期待し応援してくださった皆様のおかげと、深く感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

また、これまで国のため、地元のためと思い、自分なりに必死で頑張ってきたつもりですが、そのことを評価してくださった先輩議員がいてくださったのだと思っています。

この政務官という仕事は、大臣、副大臣の下で各省の仕事を進める立場で、若手議員が最初に試される場でもあります。

私のこれまでの財務省に関する仕事としては、財政再建や行財政改革、税のあり方について、特に関心を持って勉強し議論してきました。この財政と税の分野については、これまで以上に踏み込んでしっかりと研究し、取り組みを進めたいと考えています。

具体的には、財政も税も、「経済最優先」を掲げる今回の改造内閣の方針に沿わなければなりません。

財政では、経済成長につながる予算編成・予算執行のあり方はどうか、無駄を削減し財政の健全性・安定性を確保するにはどうするか、子供や孫の世代にこれ以上負債を残さないためにはどうすればいいか、思い切って議論し、結果を出してゆきたいと考えています。

税では、企業活動の活性化と税収確保のための法人税のあり方、結婚や子育ての価値を評価しながら働き方が制約を受けないような個人所得税のあり方、消費税の複数税率(いわゆる軽減税率)について本来議論のスタートであった「低所得者への優遇・高所得者への制約」「消費冷え込みへの対応」「民間部門に負担や迷惑をかけない」という目的達成のため(増え続ける社会保障に充当できる財源を確保するという大前提のもとに)どうすればいいか、ということを中心に、議論と制度設計を進めたいと考えています。

ほかにも、TPPで注目されている関税の分野、国際化の要請とともに注目を集めている為替、経済協力、海外投融資の分野、国有財産のマネジメントや財政投融資、日本銀行に関する分野など、財務省が担っているのは「日本の政治の背骨」に当たる部分が多く、しっかりと勉強し、多くの関係者の皆様の意見をよく聞いて、議論を深め、大臣が方向性を示してゆくお手伝いをしたいと思っています。

「日本の財政を立て直し、子供や孫の時代に負担を残さない」ということは、「日本の経済産業力と国民の人間力を高め、世界の人々が憧れる国を作る」こととあわせて、政治家になりたいと志したきっかけ、私の原点です。今回、この原点につながる仕事を与えていただいたことは、何よりの喜びです。

いただいたチャンスを最大限に生かし、この一年間は財務政務官としての仕事に全力投球をしたいと思います。地元に帰る時間が減り、地元で支えてくださっている皆様、期待してくださっている皆様にはご負担をおかけすることになりますが、どうかご理解いただき、同じ思いを共有していただき、引き続きお支えいただければと思います。家族、とりわけ子供たちには寂しい思いをさせますが、週末にはしっかりとお父さんをしたいと思っています。

国のため、地域のため、お一人お一人の国民のために汗を流し、期待に応えられる政治家として成長したいと思いますので、どうか温かいご支援とご指導を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

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2015年09月17日 (木)

国会最終盤の安全保障法案について

国会は、テレビや新聞の報道にある通り、緊迫と混乱の度合いを増してきました。

終盤国会は多かれ少なかれ、こうなるものなのでしょうが、私も地方議員から政治の世界に入って15年になりますけれども、いろんな意味でここまで混乱したのは、見た記憶がありません。いろんな意味で、というのは、国民の間にもデマやら事実ではないことが流布されて、正しく法案をとらえて、あるいは本質をとらえての審議や批評ができない、ということも含めて、です。これは、私たちの説明不足もあるのでしょうが、全体としてのマスコミの報道の姿にも課題があるのではないでしょうか?記者の方ひとりひとり、あるいは編集や論説にかかわっている方一人一人は、それぞれ冷静で、事態をまっすぐにとらえておられるのに、なぜ全体となるとあのような姿になってしまうのか、私もわかりません。それは実は、私たち政治も同じで、議員一人一人はまともな意見なのに、党となると意味不明な姿、あるいはめちゃくちゃな行動になってしまう、ということは、自民党を含めてどこの党にもありえることです。これは、何なのかな?と思います。経済の世界のほうが、それは少ないように見えます。会社のほうが、危機感があり、危機管理がしっかりしていて、取締役会や労使の協議も含めて、団体意思の形成や確認がしっかりしているということでしょう。これは、政治としては情けないことであり、これからの政治を担う私たちに課せられた課題だと認識しています。

さて、今日は夜の10時から本会議が開かれ、私も11時ごろに、いったん宿舎に帰ってきました。参議院では、昨日から委員会運営や採決が混乱し、今日まで持ち越しました。そして今日は、野党からの問責決議案の連発で、今も参議院議員さんたちは、国会におられるようです。私たちも、夜中の1時まで衆議院本会議が延期されているので、国会は出ましたが宿舎で待機となっています。何やら非効率な気もしますが、民主主義という仕組み、議論と決議をする会議体の仕組みというのは、手続きをしっかりと踏んでいくことが大原則ですので、仕方のないことだと思っています。

国会周辺では、夜11時ごろ確認した限り、デモが続いていました。参議院が徹夜になると思うので、おそらくデモ隊も徹夜でやる考えなのでしょう。意見を表明するのは自由なので、それはやっていただければいいのですが、意見を聞いてみると、誤解されている点も多いと感じます。また、中には、安保法案の内容をほとんど知らない方もいらっしゃいます。今回のデモの動きが、法案への反対意見の表明、ということからだいぶ離れてきて、流行のようなものや、うさばらしのようなもの、60年代安保、70年代安保を思い出しながら高齢者が自分の出番を感じるようなもの、になっているのかも知れません。ただ一つ、残念に思っているのは、いま国会見学に来ている子供たちが多いのですが、その子供たちに対し不適切な声掛けをするデモ隊の大人が目立つことです。マイクを使って、「みんなー、安倍という悪い悪い総理大臣は、戦争をしたくって、戦争法案を通そうとしてるんだよ。」「戦争やって、人殺しして、お金儲けしようとしてるんだよ。」「人殺しする悪い安倍総理や悪い自民党を、許していいと思う?」「俺たちが悪い安倍を追い出して、悪い自民党を倒して、平和な日本を作るからね。」という感じで、呼びかけているのですが、これはやめてもらいたいと思います。さすがに、大人としての冷静さを欠いています。子供たちは、社会見学に来ているのであって、政治闘争に巻き込む対象ではありません。デモも意見も自由にやってもらっていいのですが、最低限のルール、常識的な節度というものは、持っていただきたいと思います。

さて、そうした流れで、いよいよ明日がピークになると思います。私たち衆議院も、明日終日、予定も入れないように、地元にも帰らないように、そして国会あるいは近隣で待機、という指示が出ていますが、参議院の混乱や遅延を考えると、土曜日までずれ込むかもしれません。ここで、なぜ審議の場が参議院に移っているのに、衆議院議員も禁足とかになるの?ということですが、これは3つの理由があります。一つは、終盤国会の常で、内閣不信任案というのが野党から提出されます。おそらく、数時間のうちに出されるでしょう。これは優先的に処理することが決められていて、つまり不信任を速やかに否決しないと、次の議事に移れないんですね。つまり、今回のような場合は、不信任の処理を済ませないと、参議院の本会議が開けない、ということですので、いつ不信任案が出されても、速やかに衆議院本会議を開いて否決できるような体制をとる、ということで延会の手続きと待機をしているということです。二つ目は、参議院の混乱が収まらない場合は、いつでも参議院の対応を否決とみなし、衆議院で再議決できるようにしておくということです。いま、衆議院は3分の2の議席を持っているので、参議院が否決あるいは結論を出さなくても、衆議院で再議決して法案を成立させることができます。私は、それは使うべきではなく、あくまで参議院が答えを出すべきだと思っていますが、それでもいつでも使えるようにしておくというのは衆議院としては重要なことですので、参議院本会議で法案が成立するまでは、衆議院は再議決の構えを崩さないようにする必要があります。これはもちろん、参議院への強力なプレッシャーでもあります。そして3つ目は、衆議院も参議院も、自民党としてチームで取り組んでいる以上、協力や共感が大事だということです。参議院が頑張っているのに、衆議院は高みの見物、というわけにはいきません。できる限りの協力が必要です。もちろん、衆議院議員が参議院側の手伝いをするには限界がありますが、それでもできることはあります。野党ももちろんそうやっていますので、与党である私たちも、同じ気持ちで、同じ思いで、この国会に取り組むべきです。チームプレーとしてやっている、というのが、三つ目の理由です。

この国会も、あと10日ほどとなりました。安保法案については、まだまだ説明が足りない、もっと説明を聞きたいという声があることは、私も承知しています。総理も国民に申し上げており、私も同意見なのですが、法案成立後も、法の目的やその運用については、しっかりと説明してゆかなければならないと思っています。実はこれは、ほかのあらゆる法律についても、国会での議論以上に、法案成立後に国民にどう説明するか、どう理解してもらうかについて、省庁や政治が力も予算も使っているというのが実情です。しかし一方で、「事後説明など意味がない。法案成立前に全国民が理解し判断できる状態でなければ民主主義とは言えない」とか、「今の政治は多数決主義であって、民主主義ではない」などの極端な意見も寄せられています。これは、日本の民主主義は代議制をとっており、国民一人一人が主権を発動できるのは、実は選挙の時だけなんですね。ほかに国民が直接主権を発動できることは、ありません。それほど選挙というのは重要であり、同時に代議制である以上、私たちは常に国民の声を聴き、多数の国民の意見、少数の国民の意見をそれぞれ聞いて、判断しています。また、多数決主義と民主主義は別の考え方ではなく、民主主義の中に多数決主義は組み込まれていて、多数決のない民主主義はありません。中国が民主化されていないというのは、多数決も、その前提となる広く国民を対象とした普通選挙も、実際には行われていないからです。国民の声、それはデモ隊の声だけでなく普通に仕事をし、普通に暮らしている人たちの声をしっかりと代議員が聞いて、そして多数決を正しく使って議論と決定を行ってゆくことこそ、民主主義の基本です。今回の安保法制も、そうした思いで国民に向かい合い、意見を聞いて、進めてきたつもりです。また、成立したから終わりではなく、むしろ始まりだと思って、国民にさらに丁寧に説明をしてゆきます。あわせて、この運用をするためには自衛隊はもとより、海保・警察などの装備の見直しや充実も必要ですので、運用を正しく効果的に進めるための議論も、これからがスタートとなります。

国会の終わりは、国民との対話の始まり。そう思いながら、戦後一番長い国会の会期末を迎えたいと思います。

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