国を守る責任とオスプレイ
久しぶりに投稿します。このところ、いろんな事件や出来事や頼まれごとが多く、ゆっくりパソコンに向かって考えをまとめる時間がとれませんでした。申し訳ありませんでした。
さて、いろいろお伝えしたいことがあるのですが、今回はオスプレイが私の選挙区で訓練したことについてお話しします。
オスプレイについては、どういうわけかずいぶんと連続的に、また大きく報道されてきました。日本を守ることについての関心が高まるのなら良いことなのですが、全体としてはそうではない部分での関心だったように思えて、少し残念です。賛成とか反対とか、それぞれの立場や理由を明らかにするのなら理解できますが、公共放送であるNHKまで、墜落の危険だの地域への負担だのと、反対側に誘導するような報道だったと感じました。もちろん報道はそれぞれの機関が責任を持ってやってもらうことですので、抗議するようなことはありませんが、もう一度見直して検証していただければと思っています。
「沖縄の負担軽減のため、本土も負担を分かち合う」ということが言われていますが、そもそも「自分の国を守ること、それに協力すること」が負担なのでしょうか?これは、私たち政治に携わる人間が注意しなければならないことですが、「国民に正しく思いや事実を伝えたいなら、その言葉を正しく使わなければならない」、という事例のひとつですね。私も良くミスをするので、常に注意をしています。
国防は、むしろ国民の義務であり責任です。沖縄県が国防義務、その責任の多くの部分を果たしていただいていることには感謝と敬意を払いつつ、本土である私たちも、誇りを持って義務を果たそう、責任を果たそうという流れで、私はオスプレイの訓練を受け入れました。誰しも、自分の家族や友人や好きな人を守りたいと思う気持ちがあります。その延長線上に国を守り、国民を守り、領土を守り、国益を守ろうという思いを見ているはずなんですね。その思いを、国民みんなが理解して、もちろん基地があるとかないとか場所に制約されるものの、その義務を果たせるだけ果たそうということを伝えてゆきたいし、マスコミも伝えてゆくべきではないかと思っています。この点について、私たち政治の側の説明責任が果たし切れていなかったとすれば、ここは深く反省したいと思っています。
こうした前提に立って、私は今回、高島市にオスプレイを受け入れるにあたって、とにかく現場、つまり高島市の皆様に対する情報公開と説明責任をしっかり果たそうと思い、特に高島市には丁寧に対応を進めました。もちろん一人ひとりにお伝えできないので、市役所と、市民の代表として選ばれている市長及び市議会議員の皆様、県議会議員のお二人、そして地域の役員の皆様には、訓練の内容やオスプレイの機体について、しっかりと説明できるよう段取りしてきたつもりです。こうした会合においては、反対派の人たちも妨害をすることなく、説明をしっかりと聞いていただきました。もちろんその上で、賛成とか反対とかはあって良いものだと思います。反対の方には説明をしないとか、見せない、とかいうことがないように注意してきました。
あわせて、高島市についで、県に対しても同様の対応を心掛けました。県知事からは「琵琶湖の上を飛ぶな」とか、良く根拠のわからない注文もいただきました。これに対して理由をうかがうと、「そういう県民の声もあるので」としかおっしゃいません。どのくらいの人数ですか?と聞いても、「人数はわからないが、そういう声があるのは事実」としかおっしゃらないので、この場でしっかりと説明をしておきたいと思います。
琵琶湖というのは滋賀県にとってかけがえのない財産で、いろんな恵みがあります。水の恵み、環境の恵み、水産や農業を含む産業の恵み、生活の恵みなどがあるわけですが、その一つが、水運と交通の恵みです。水運は観光的な側面も含めて、私は非常に重要だと思っていますが、残念ながら先日の全国の港湾大会には滋賀県庁からは職員も含めて参加はゼロで、港湾や水運、観光の重要性についてはあらためて県庁に説明し、ご理解をいただきたいと思っています。それ以外にも大きく交通上のメリットを生かせるのが、ヘリコプターと水上航空機です。
ヘリコプターにとって、琵琶湖ほど安全に飛行できる環境はありません。私は滋賀県に帰ってきてすぐに、なぜ滋賀県にはドクターヘリがないのか疑問に思いました。滋賀県は、琵琶湖を中心にその周囲に都市が形成されているので、ドクターヘリにとっては最も運用しやすく、最も効果が発揮できる環境なのです。どの都市からも数十分で高度治療ができる拠点病院に搬送できるため、県民の命を守る上で非常に有効です。また、滋賀県なら、他県ではなかなかできないドクターヘリの夜間運行も可能性があります。それは、琵琶湖の上なら夜飛んでも安全性が高いからです。しかしこれらも、琵琶湖の恵みの多面性を理解し、ヘリコプターの特長ならびに有効性を理解できないと、政策になってきません。これらのことについても、県庁にしっかりと説明をしてゆきたいと思います。
そうした視点から、私はかねてから、「オスプレイは、リスクのある山中を飛ぶのではなく、琵琶湖の上を飛んでいただきたい。それが最も安全だし、仮に悪天候であっても、計器飛行で大津に入り、その後目視飛行をするにあたっても、琵琶湖の湖岸線を横に見ながら、今津に入ればよい」ということを、アメリカ大使館に伝えていました。残念ながら県知事はまったく逆のことをおっしゃっているので、大使館としても困ったと思います。ちなみに、「住宅街の上を飛ばないでほしい」というのは、もちろんその通りだし、気持ちもわかるし、わざわざ飛ぶ必要はありませんが、東京では毎日のように都市の上、ビルの上をヘリが飛んでいて、その多くはマスコミのヘリやドクターヘリです。自分たちは何百万人も住んでいる街の上を、平気でヘリを飛ばしておきながら、オスプレイが住宅街の上を飛ぶのは危険だの不安だのとニュースで言いたてるマスコミの姿勢も、どうかと思いますね。余談ですが。
さて、当日は、地元の私と、防衛副大臣である武田良太議員と、オスプレイ部隊の高島入りに立ち合いました。もちろん、自民党から共産党まで、市民の代表として市議会議員、県議会議員の先生方にも、視察として立ち合っていただきました。報道機関にもできるだけ良い場所で見てもらえるようにしました。「百聞は一見に如かず」というので、何よりも代表者にその目で見ていただけるよう、現場に対応してもらったのです。
しかしなんとその日は、台風26号が接近しており、きわめて悪天候でした。オスプレイが来るのかどうか心配しましたが、9時に岩国を出たとのこと。それから10時すぎには高島市の基地に到着しましたので、私もあらためてオスプレイの機体性能の高さに驚きました。さすが軍用機で、砂漠だろうとジャングルだろうと運用している機体だけのことはあります。この悪天候で予定通りの訓練をこなし、涼しい顔をして岩国に引き上げていきましたので、おそらく視察をされた皆さまや報道機関の皆様も、オスプレイの性能を確認し、海兵隊の練度を確認し、安全性を確認していただけたのではないでしょうか?台風で大丈夫なんだから、晴れはもちろん、普通の雨なら全く大丈夫だ、と言っていただきました。
来年度予算で、防衛省でオスプレイの調査費を乗せる予定であり、これから調整、そして国会審議に入ります。残念ながら、機体性能の大きな違いを乗り越えるのに、訓練や気合いでは限度があり、他国の強力な武器に対抗するためには、それを凌駕する性能の装備を整える必要があります。国会審議を通じてそうしたことを考えるうえで、今回の訓練はオスプレイの安全性と機体性能を実際に多くの方に見ていただき、判断の重要な材料になったのではないかと思います。ここ数年、とりわけ島嶼防衛について日本の防衛環境は厳しくなっています。今回の日米合同訓練を、単なるオスプレイ騒動に終わらせず、どう防衛意識の高揚につなげるか、日本を守る思い、そのために果たすべき責任についてどう考えるか、という国民の議論につなげてゆきたいと思っています。
やらなければならないことがいっぱいあります。一つずつ、一歩ずつ前に進めます。がんばります。