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集団的自衛権 その2

連続して書かせていただきます。

集団的自衛権の行使を含む、日本の防衛環境や法整備の見直しについて、政府は具体的な事例として15のケース国民に示しました。

これらのうち、代表的な8つの事例について、私の考え方を書いておきます。なお、これらはマスコミや各種団体のアンケートがありましたので、同様の主旨で回答しておきました。

今回のグレーゾーン対応、緊急時の国民保護、PKO活動時などでの民間人の保護は、いわば日本としての行動基準を変更する議論であり、極めて重要な議論です。国民のあいだでしっかりと議論しなければなりませんし、私たちはしっかりと情報提供し、説明責任を果たさなければならないと考えています。

今後の国会審議、さらにはその前の公明党との協議に先立って回答しておりますので、今後党内の議論や国会内での議論があるので、党としての考え方に変更が出るかもしれませんが、少なくとも私自身の考え方、今の時点での考え方を皆様にお示ししておきたいと思います。

具体的な事例について

以下の「武力行使に当たりうる活動」としての事例について、日本が国として対応すべきかどうか、認めるべきかどうか、回答してください。

①近隣諸国で武力攻撃が発生。避難する日本人を含む民間人を輸送しているアメリカ艦船を、自衛隊が防護すべきかどうか。

出動して防護すべき

理由:日本人の命を守るためにアメリカその他の輸送船が活動しているときに、これらを外国の攻撃から守る行動であるので、これに関するオペレーション全体を自衛隊の僚艦とみなして防護すべきである。

②近隣で武力攻撃が発生し、アメリカ艦船(補給物資を乗せた輸送船など、防御力が弱いもの)が公海上で武力攻撃を受けている。防護すべきかどうか。

出動して防護すべき

理由:在日米軍施設への補給線を寸断・破壊することは、在日米軍そのものへの攻撃とみなせる。さらに、在日米軍施設は日本の領土内にあるため、在日米軍施設への攻撃は日本への攻撃に連続するものであるとみなせる。したがって、このような場合には集団的自衛権を発動し、米軍艦船を守ることで、日米同盟の維持とわが国の防衛力の確保に努めるべきである。

③近隣で武力攻撃が発生、アメリカが攻撃を受けている。攻撃国への武器等の物資を輸送していると思われる船がある。その船に停船を要求し、検査できるかどうか。

強制力を持って停船・検査すべき

理由:いわゆる臨検であるが、これは強制的な警察行為であり、怪しい船は「従わなければ撃つぞ」と言わない限り絶対に従わないので、武力を伴う行為となっている。大量殺りく兵器を含む武器を輸送する船を見逃すことは、その直後に米軍の戦死者の増加、あるいは民間人犠牲者の増加につながることが簡単に想像できる。したがってこれを見逃してはならず、集団的自衛権を発動し、大量殺人を目的とする武器の戦場への供給・使用を未然に防ぐべきである。

④アメリカと交戦し、日本へも敵対的声明を出している国が、アメリカに向けて、日本の上空を横切る弾道ミサイルを撃った。迎撃すべきかどうか。

迎撃・撃墜すべき

理由:日本及びアメリカに敵対的声明を出している国からの攻撃であるので、第一撃がアメリカ、第二撃が日本ということは簡単に想像できる。したがって第一撃から集団的自衛権により弾道ミサイルからの防衛を発動することで、日米連携して大量殺りく兵器から両国民を守るための行動をとる必要がある。逆に、第一撃が日本の目の前を通りながら何の防衛行動もせずアメリカに直撃したとすれば、第二撃をアメリカが守ってくれる保証はない。

⑤アメリカを巻き込む武力攻撃が発生。日本に対しても、敵対的声明を出している。アメリカのイージス艦がミサイル対処のため、防衛力が薄くなっている。防護すべきかどうか。

防護すべき

理由:このケースにおいて、アメリカのイージス艦は日本及びアメリカを弾道ミサイルから防衛するために警戒に当たっているので、これは自衛隊の僚艦とみなしてオペレーション全体を防衛するべきである。

⑥アメリカ本土がすでに攻撃されている。日本に対しても敵対的声明を出している。作戦中のアメリカ艦船のうち、防御力の弱い輸送艦や補給艦を防護すべきかどうか。

防護すべき

理由:日本とアメリカに対して敵対的声明を出している国が、まず第一撃目としてアメリカ本土をミサイル攻撃したということは、第二撃は日本であることが簡単に想像できる。したがって、第二撃を抑止するために軍事行動しているアメリカの艦船を防護することは、日本の防護とも同義である。

⑦ホルムズ海峡など、重要な航路において、武力攻撃の一環として機雷が設置された。商業的な船舶が被害を受ける可能性がある。撤去すべきかどうか。

撤去すべき

理由:そもそも機雷は、不特定多数の船舶を攻撃するもので、民間人の死亡や大がかりな通商破壊が起こりうる。また、仮に上陸を阻止するためのものだとしても、浮遊してどこへ行くかわからないことから、早急に除去し航海の安全を守ることは、必要な警察行為である。民間の艦船を守り、わが国の存立にかかわる通商航路を守るために、機雷の除去をすることは、憲法上も当然認められるべきである。

⑧ホルムズ海峡など、重要な航路の周辺で武力攻撃が発生した。すでに民間船舶が被害にあっている。これらの民間船団を、国際的に共同防衛すべきかどうか。

国際的に共同で防衛すべき。

理由:通商破壊による危機、とりわけ資源を持たないわが国にとって、エネルギーを封鎖されることは、わが国の存立にとって重大な危機である。したがって、日本に向かう商船隊を含む艦隊を防護することは、日本の自衛権の範囲内であり、仮に同じオペレーションに参加する他国の艦船が攻撃された時には、日本の自衛隊の僚艦とみなして防衛するべきである。