日本の財政を立て直す
私が国会議員を目指した大きな理由が、「日本の財政を立て直さなければ、将来大変なことになる!未来の子供たちに負担を先送りするのではなく、私たちの世代で再建を完了させたい。」という思いを、ずっと持ち続けてきたことです。そのために、産業活性化策や行財政改革、セーフティネットの強化を議論し続けてきました。
国の財政は、企業の財政や、家庭におけるやりくりも同じなのですが、日本のように国力、民力がある場合は一定の余裕があり、言わばある程度の広さがある道を車で走っているようなものです。つまり、景気の変動や政策によって、多少は右に寄ったり左に寄ったりしてもよく、つまるところクルマが道路の上に乗っていて、速い遅いはあるにせよ、国民の期待する目的地に向かって進んでいればよいということになります。
もとより、企業においても、家計においても、財政は良くなったり悪くなったりします。企業は経済の変動や、雇用の状態によって、収益や貯蓄が変動します。また突発的な事故や、商品の回収などで経常的ではない損失も出ます。家計においても同じで、家を建てるとか子供の進学とかで一時的にお金を出すことはありますが、だからといってそうした機会や、さらには災害や事故で一家離散というわけにいかないので、常に一定の蓄え、つまり道路に例えれば、多少風で揺られても大丈夫なように、できるだけ真ん中を走り、それぞれの道路の幅に余裕を持たせて、目的地に着けるように慎重に運転する必要があります。家庭ごとに、所得や資産はそれぞれですが、みなさんよく考え、よく備えながら家計を回しておられるのだと思います。いい加減なことを続けていると、どれだけ資産があろうと所得があろうと、破産したり一家離散したりするというのは、企業も家庭も同じで、そんな事例は世の中にいくらでも転がっています。
国も同じです。日本は民力があり、稼ぐ力がある国です。したがって、いま走っている道は、相当な広さがあります。「日本という国家全体」と「日本政府」とは少し違うものですが、日本全体の力は政府の力の源泉であり、日本全体の方向性を決めるのは政府の仕事、国政の仕事ですので、別々バラバラのものでは決してありません。日本全体は、この例えでは道路でありクルマなので、世界トップクラスの性能ですが、運転手である国政が下手な運転、誤った操作をやり続けると、目的地への到着は遅れ、性能もどんどん削がれていってしまいます。目的地には到着できないどころか、クルマが故障したり、あとの人が大変な出費をさせられるかもしれません。
いま、財政の再建は当初の目標から大きく後退しつつあります。経済の成長や税収の伸びが最初の見込みを下回り、政府の借金は増え続けています。いわば、道路の真ん中からコースアウトの方向に流されていることが止まらない状態であり、早く立て直さなければ脱輪してクラッシュしてしまう、と私は強い危機感を持っています。
一方で、どこからがコースアウトなのか、ギリシャなどはいろいろやっていますが、日本ほど大きな国がコースアウトするとどうなるのか、わからないこともたくさんあります。しかし一つはっきり言えることは、日本は整地されスピードを出せる道路の真ん中を走っているわけではなく、リスクも増えスピードも出しにくい道路の辺縁を走っているということです。税収の確保、無駄な支出の見直しなど、もう一度総点検して、私たちの世代のうちに道路の真ん中に戻したいと考えています。今のままでは、いつコースアウトするかわかりません。慣性力がついてしまうと、あっという間に外に出されます。また、経済危機、災害や天候の変動などがあったら非常に脆弱です。万が一、他国から攻撃され、防衛戦争を戦わなければならなくなったらどうするのか。一定の期間戦い、国を守り抜くための財政的余力は少ないのが実態です。私たちは、政治を担う以上、どんなことがあっても国を守り、国民の暮らしを守り、子供たちの未来を守れる体制をつくらなければなりません。優しくて強い、頼りになる日本政府に立て直してゆかなければなりません。どんどん弱体化する財政の問題に真正面から向き合い、対策を進めることこそ、私たちがやるべき子供たちの世代への責任だと思っています。
そうした中、MMTなど新しい意見が言われ始めています。私は賛同できない考え方ですが、経済の活性化のためならもっと借金を重ねても大丈夫だとする意見です。これは、コースアウトなんてない、エンジンをふかせば目的地には到着する。スピードが重要なので、コースを外れようと関係なく、エンジン出力こそが大事だ、というようなものです。エンジンが吹けなくなる、あるいはエンジンは回っているのにスピードが出ない、そうなったらその時に考えればよい、というのですが、それでは遅いし、回復不能になったら取り返しはつかないと私は考えています。
細かくは、最終的に私たちが取りまとめたものを添付いたしますが、私としては「不承不承納得した」、にすぎず、まだまだ甘いと思っています。これでも足りないと思っています。将来の視点に立ち、効果的な成長政策と共に税収を確保し、無駄な支出を抑えるということを、もっとスピード感と危機感をもって進めるべきだと思っています。政府に財政余力がないと、良いときは良いのですが、何かあったらその政府は極めてもろく、子供たちの世代に苦難を先送りするリスクがあるからです。企業でも、人と人の関係でも、健全な財政状態の人のほうが安心して付き合える、というのは世の道理です。不健全な財政の企業、家計にだらしない人とは付き合ってはいけない、行政から見ると、家計にだらしない人は支援の対象だ、ということです。外国から見て、また国民から見て、日本政府をそのような状態にするわけにはいきません。
また皆様のご意見を聞かせてください。財政は目立たない仕事ですが、国の根幹の仕事、政治家として真正面から向き合うべき仕事として、これからもライフワークにしてまいります。引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願いいたします。