外交・防衛について
今日は、外交・防衛・安全保障政策について書きたいと思います。
皆様もご存じの通り、政権交代されてからというもの、政治主導と言いながら、実際はトップの思いつきやら臆病やらで、外交では迷走し、防衛では領土を奪われかねない深刻な事態となってしまいました。
とりわけ多くの国民が驚き、憤慨したのが、尖閣諸島をめぐる中国の圧力と、それに屈する民主党政権の情けない姿です。一回目の尖閣事件では、日本の巡視船にぶつかってきた中国人の船長を逮捕しておきながら、中国から「即時・無条件で解放せよ」と言われ、最後は裁判所のせいにして、中国の言いなりになりました。
この情けない姿勢に、諸外国からも非難や失笑がでてしまい、日本は信用を失ったのです。しかしこの時の中国の姿勢はひどいもので、あろうことか言いがかりをつけて、中国に進出しているフジタの社員4人を逮捕してしまいました。こういうやり方をするのか、と私も驚き、同時に当時は静岡県議でしたので、県庁と協議し、中国に進出している県内企業に連絡して、社員の安否確認、県庁と各企業の情報交換をお願いしたのです。国がまったく頼りにならないので、地方自治体でできることをやろう!と考えての行動でした。
それから、今年の8月には、中国人の活動家が尖閣諸島に上陸します。これは、また上陸を阻止して船がぶつかったらまずい、という政治主導の判断から、あろうことか安易に上陸を許してしまったのです。私はこれもまた、ひどい判断をしたものだと思います。本来、主権国家と言うのは、自国の領土に許可なく上陸させない、というのは基礎の基礎です。それを政治主導で簡単に認めてしまいました。現場の海上保安庁の職員は、沿岸の守りを担ってきただけに、さぞかし悔しい思いをした事でしょう。こうやっているうちに、だんだんと領土は取られてゆくのだ・・・ということを痛感した事件です。
その後も中国は、日本の政府は国を守る気持ちが薄い、と判断したのか、反日暴動を黙認します。多くの企業が焼かれ、中国に住む日本人はいつ襲われるか分からないと言う不安な日々を数ヶ月間もおくりました。私の友人も中国にいますが、一歩も家から出られなくなってしまいました。滋賀県に関わる企業も、平和堂やパナソニックが焼き討ちにあい、日本企業の被害は100億円を超えています。にもかかわらず、今の政府は口で「遺憾です」というだけで、日本人を守る気概も、日本企業を守る気概もないというのが実態です。
私は、なぜ民主党が中国の言いなりになるのか、中国におびえているのか、本当の理由はよくわかりません。しかし結果として、中国に対し卑屈な対応をしつづけて、日本人を不安にさせ、多くの国益を失っています。また今度の選挙を経て民主党が政権に入ってきて、同じような対応をした場合、また中国の言いなりになって、本当に領土を失いかねない、国益を大きく損ないかねないと、強い危機感を感じます。
私たち自民党は、自主憲法の制定と言う大きな目標をもち、憲法草案をつくりました。そのなかに、「主権と独立を守るために、領土・領海・領空を守り、資源を守る」こと、そして、「緊急事態において、在外国民を守る」ことを明記しました。これは言わば当たり前の事ですが、当たり前のことすらできない民主党政権とは大きな違いであり、今回の選挙の争点の一つだと思っています。
また、集団的自衛権の問題についても書いておきたいと思います。私たち自民党は、集団的自衛権には賛成です。一方で民主党は、賛成の人もいれば反対の人もいて、バラバラです。野田総理は前向きですが、元・社民党の辻元さんや横路さんは、いつの間にか民主党に鞍替えされていて、これらの方は思いっきり左翼ですから、大反対です。
最近も沖縄において、米兵が事件を起こしています。そのたびに議題になるのが「日米地位協定」ですが、なぜこれが不平等かというと、そもそも日米安保が不平等だからです。「アメリカ人は日本人を守るために血を流すが、日本人はアメリカ人を守らない。」という条約だからです。私は今や世界の責任を大きな部分を担うまでに成長した日本として、やはり双務的な条約に、本当の意味での同盟関係をつくってゆかなければならないと考えています。もちろん「専守防衛」の理念は守りながら、アメリカや東南アジア、インドなど、日本に親近感を持つ国々にとって、本当に頼りになる国家として自立すべきだと思っています。そのために避けて通れないのが、集団的自衛権です。これは、「自分からは抜かない。しかし、自分の体を挺してでも、仲間を守る。」という、最も日本人的な武士道の姿勢が表れたものだと思っています。
また、増え続けている中国の軍事費にも警戒をしなければなりません。今、日本の軍事費は4兆5000億円程度ですが、中国は9兆円ほどあります。じつに日本の倍の軍事費を使っているのです。当たり前の事ですが、9兆円もの軍事費を使い、しかも何をしてくるかわからない、何を考えているかわからないような国が近くにある場合、しっかりとした備えが必要です。「平和を望むなら、戦いに備えよ」とは先人の言葉ですが、全くその通りです。平和を創り出すためには、軍事的なバランスを取ってゆかなければなりません。
しかし、では日本の軍事費を9兆円にする、ということができるでしょうか。福祉にも医療にも年金にも支出しなければならないときに、軍事費を倍に増やすことなどできません。だとすれば、同盟関係、連携関係をつかって、9兆円の軍事費に対抗できるような、防衛連携を進めることが必要です。かつて鉄人宰相と呼ばれたドイツのビスマルクは、まさにこうした同盟関係を巧みに構築して、ヨーロッパのパワーバランスを取り、戦争に明け暮れていたドイツに平和な時期を創り出しました。片方が強くなると、戦争になります。しかし力のバランスが取れると平和になる。アメリカとソビエトがしのぎを削った冷戦時代に大きな戦争が起きなかったのは、その仕組みによります。私ももちろん、理想とするのは地球上の全ての国が武器を捨て、戦争のない世の中をつくる事ですが、それを実現するには遠く、現実的には軍事バランスを取ることが最善の答えでもあるのです。
外交・防衛・安全保障をどうするのか、というのは、今の民主党政権がひどすぎることもあり、重要な政策テーマの一つです。何やら「自民党が国防軍と言った」とかをあげつらっている人もいるようですが、私としては、名前には関心はありません。自衛隊のままで良いと思っています。それより、中身です。
「頼りになる国家として、専守防衛に徹しながら、仲間が襲われた時には真っ先に駆けつけ、自分の身を顧みずに仲間を守る。」これこそ、私たち日本が目指す、誇り高い東洋の島国の姿ではないでしょうか。凛としたサムライの国、気は優しくて力持ちの国、そんな日本を目指したいと思っています。私自身もまた、そういう人物になりたいと思っています。