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社会保障について

今日は、社会保障について書きたいと思います。

その前に、それにしても政界の離合集散が激しいですね。一晩寝ると党の政策が変わり、もう一晩寝ると候補者が変わり、もう一晩寝ると党の名前が変わっている。これ・・・会社だったらどうなるんでしょうか?

一晩寝ると、商品が変わり、昨日までとは逆のことを言っている。

もう一晩寝ると、前の担当者が辞めて新しい担当者がはじめましてとやってくる。

さらにもう一晩寝ると、会社の名前が変わっている。

会社だったら完全にブラック企業ですね。

そんな中で、嘉田知事が小沢さんたちと合流して、党首になられたと言うのも驚きです。政策は小沢さんたちの主張そのままで、脱原発、子ども手当て、消費増税反対が目玉のようです。私は今でも、嘉田さんは「優しい保守」のようなものを目指しておられると思っていて、その点で今回の行動はどういう狙いがあるのか、よく分からない部分があります。

このような状況だからこそ、いよいよ自民党が頑張らなければならない、と思いました。私たち自民党は、確かに派手さはないし、そういうパフォーマンスは苦手なのですが、「ブレない政策」「まじめにひとつずつ実現する力」「今の心地よい言葉より、将来の日本を考える」という点は自信を持っていますので、これからも丁寧な政策活動を続けたいと思います。

さて、話を本題に戻すと、社会保障と言ってもいろいろあって、年金、医療、生活保護、障害者福祉、子育て支援など、あらゆる分野にわたっています。分野ごと、現場ごとに課題は様々なのですが、私はこれまで市議会議員、県議会議員をやってきたので、それぞれの現場に伺い、直接声を聞いてきました。これは、今後国政に挑戦する上で、大変な強みだと思っています。

まず年金については、かつて民主党は「消えた年金」とか言って大騒ぎしました。そして、全ての年金の名寄せをするとか宣言しましたが、結局1500億円もの経費を使ったあげく失敗しました。しかしこれは最初からわかりきったことで、私は絶対に無理だと確信していました。それは、私が市議会議員であった時代は市役所に年金課があって、担当者からいろんな話を聞いていたからです。たとえば、流れ流れて寮付きの警備員の仕事をしているおじさんがいる。名前は本名かどうかわからないが、いろいろ事情があるのだろうから、申請通りの名前で寮の住所で、とりあえず社会保険料を払っている。そういうことなんです。だから、完全な名寄せなんてできっこない。でも市議会も経験せず、○○ブームという風に乗って突然国会議員になったら、そんなことは知らない。理想論だけぶって、政権取って、やっぱりやれない。すると、「そもそも放置した自民党が悪い。」と言い訳する。この3年間は、そういう事の繰り返しでした。

私たちは、今回増税をお願いした消費税を財源として、国庫からの支援を安定させ、何としても年金制度を維持します。もちろん簡単な事ではないし、つねに微修正を重ねながらになりますが、老後の安心を守るために絶対に必要な制度だと思っているので、年金制度は今の仕組みをベースに堅持してまいります。あわせて、後ほど書きますが、一部地域では生活保護費と年金が逆転しています。これは縦割りによる制度的矛盾ですので、年金が生活保護を下回ることがないよう、制度改正を進めます。

医療はもっと難しいですね。私もそれなりに勉強してきましたが、医療改革について体系的に説明できるほど、理論武装がしっかりと出来てはいません。しかし、いくつか課題は明らかになっています。①勤務医の偏在対策と処遇の改善、②看護師不足対策と看護師の処遇の改善、③安易な病院通いをどう抑制するか、④保険の対象をどうするか(延命治療の在り方を含む)、⑤病院と診療所の役割分担と効率化、⑥救命救急体制の合理化、高機能化、⑦医療費にかかる消費税をどうするか、などです。それぞれのテーマごとに、しっかりと対策を打ち出してゆきたいと思っています。

生活保護は、早急に改善を進めなければなりません。最近やっと、不正受給について報道がなされるようになり、多くの方が憤りを感じておられる事でしょう。特に、民主党政権になってから生活保護は40万人ほど増加し、金額では7000億円ほど増加しました。一方で、子どもに関する扶養控除などを廃止していますので、「サラリーマンから集めた税金を、生活保護に投入している」という批判もあながち間違っていません。ある労働組合の方からは、「働く人の味方なんてウソばっかりだ。働く人から税金を取って、生活保護に大盤振る舞いをしているので、民主党は働かない人の味方だ。目が覚めた。もう自民党に期待するしかない。」という激励(?)をいただきました。

実際に、正しく生活保護を受けている人の一方で、とんでもない連中がいるのが実態です。「毎月5日は給料日」とサラっと言ってのけて、指導が必要とされているので市役所に並んで取りに行く。送り迎えは内縁の夫の高級車。なんて、ザラにある話です。こうした不正受給は、徹底して取り締まってゆかなければなりません。私が地方議員をしてきた感覚からは、本当にしっかりやれば半分近くは保護費を減らせると見ています。それだけ、不正あるいは安易な需給が多いと言う事です。

私はこの生活保護の改善は、ドイツの例が良いモデルになると思っています。高齢者や病気の人は仕方ないとして、働ける世代が生活保護に陥る最大の原因は失業です。ドイツでは、失業直後から生活保護を支給します。これは、「資産がゼロになるまで支給しない」という姿勢で、数カ月も無職で「朝寝て、昼寝て、夜寝てる。」という生活をさせる日本の制度とは大きな違いです。ドイツでは支給と同時に就職あっせんや技術向上のための研修などをスタートします。一方で、指導に従わなければ、支給を減らすなどペナルティがあります。数カ月もぐうたら生活をさせ、ペナルティもない日本とは違いますね。

また面白いのは、ドイツでは、就職あっせんをして働き始めても、すぐには支給を打ち切らない事です。給料を少しもらい始めても支給を続け、自立できると見たらスパッと打ち切る。日本では働いたら給料の分だけ削減されて、制度がまるで働いた方が損のようになっているのとは、大きな違いです。

ドイツでは、失業直後から支援をして、早く生活保護から脱出することを狙っているのに対し、日本の制度では要件を厳しく運用するあまり、結果としてぐうたらを定着させてしまい、外観上要件のみは通っていると言う不正を横行させることにつながっています。これは、本当に抜本的に見直してゆかなければなりません。

また、生活保護の連鎖、いわば遺伝のように何世代も生活保護に陥ってゆくことも問題です。これも、今の制度が生んだ負の側面です。親がだらしなくて、子どもを養育させてもロクな事がないと判断されたら、ただちに子どもを施設で預かり、まともな大人になるよう教育してゆかなければなりません。これをしなければ、生活保護の連鎖は止まりません。これは、貧困の連鎖ではなく、道徳や規範意識がないことが連鎖しているのです。

障害者福祉は、全ての分野で力を入れてゆかなければなりませんが、私の経験上、とりわけ知的障害者と精神障害者の対応が大きな課題だと思っています。身体障害者の方々は、もちろん重い方は大変ですししっかりとした支援が必要ですが、それでも話したり思いを伝えたり交渉したりは健常者と同等以上にできますので、本人の意向も含めて必要な支援をすればよいと思います。しかし知的障害者あるいは精神障害者の場合は、なかなかそうもいかない。しかも精神障害者は差別もある。

知的障害者は、どう育ち、どう学び、どう働き、どう家族を持ち、どう死んでいくのかという、人生のサイクル全体を見通しての連続的な支援の在り方を構築したいと思っています。精神障害者については、症状が様々ですので、差別をなくして自己申告、自己受け入れを進めながら、精神障害者が決して事件の加害者にならないよう、予防的な措置が必要だと思っています。正しい意識が持てないときに、犯罪者になるのは避けるべきだし、それ以上に、何の罪もない被害者を絶対に増やしてはならないと思っています。したがって、少し踏み込んででも予防的措置ができるよう、仕組みを構築してまいります。

子育て支援は、私の経験上、地域の政策の工夫が一番活かせる分野ではないでしょうか。地域の市長や市議会議員の知恵次第で、いろんな効果が出せています。また、地域ごとの特性(都市か田舎か、持ち家比率がどうか、一軒家かマンションか)が大きく影響するため、まさに地域の特徴を分析し、人材や場所などにどういう強みがあるのかを分析し、地域ごとに効果的な仕組みを構築するのがベストです。そのためにも、地域に権限と財源を移譲し、地域同士の知恵比べ、政策比べをして、より良いものを波及してゆく、という政策を進めたいと思っています。

すべての社会保障について、共通する重要な視点は、「公平・公正であること」「思いやりがあること」「安定的であること」です。特に生活保護などでは、公平・公正であらなければなりません。障害者福祉には特に思いやりが必要です。また、全ての制度について、安定的でなければ、各家庭が安心して中期的な計画を立てることができません。

社会保障を安定的に確保する事は、各家庭に計画をうながし、それは将来の安心となって、自己投資が増える、消費が増える、それは経済を押し上げる、という効果もあります。また、自分がどのような状況になっても、また、どんな子どもが生まれても、安心感を持って寿命を全うできると言うことは、言わば安全保障です。だから、自分は関係ないと思うのではなく、いつ自分がそうなるかわからない、すべての人が当事者の立場になって考えることが重要です。私たちは、そういうことを広く呼び掛けてゆかなければなりません。

多くの政党が乱立し、迷走している今だからこそ、私たち自民党が信頼される、安定した政党にならなければなりません。世代交代を進めて、過去の悪い部分を洗い落とし、原点である「広く国民の声を基盤とする、確かな国民政党」を目指してゆきます。政治家だけが考えるのではなく、多くの国民に呼びかけ、いろんな立場の国民の声を広く聞いてゆく。これこそ、まことの「国民政党」を目指す、自民党の本来の姿だと思っています。