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76年目の終戦の日を迎えて

今日、8月15日は、76年目を迎える終戦の日です。

国会閉会後、地元に帰っているので、家族と話す時間が取れるようになっているのですが、子どもたちと話をしていると、「あれ?昨日じゃなかった?」との返事。不思議に思って聞き返してみると、子どもたちは歴史の学習で、「ポツダム宣言受諾は8月14日」「ポツダム宣言に調印したのは9月2日」と教わっているので、それはそれで正しい解釈なのだと思いました。

私たちの世代は戦争を知りません。しかし、政治をやる上で、最も重要な判断力の一つが、「戦争をどうとらえるか、過去の歴史をどう学びに変えているか。」だと思っています。ですので、戦争を経験してきた世代の方々に、その時の経験、その時に思ったこと、今思うことなど、いろいろ教えていただくようにしています。幸いに、私が政治を志したときにはまだ多くの方がご存命でした。多くの話を聞かせていただきました。これは今でも、私の血肉になっていると思っています。

この時期になると、戦争に対するいろんな論説が言われています。ナチスに騙された、米英の策略にはまった、共産主義者の工作、自衛のためにやむを得なかった・・・いろんな論説がありますが、それぞれ根拠をもって話されているのだろうと思っています。ただし、私は先の大戦、世界的な視点ではドイツのポーランド侵攻以降の第二次世界大戦、日本ではそれ以前の満州事変から続く日中戦争や、その後ヨーロッパの動きと連動するように大東亜戦争に突入し敗戦するまでの一連の戦争に対して、当時の日本政府やその指導者たちに対し否定的な考えを持っています。言うまでもないことですが、日本人全員が悪人だったなどとは、まったく思っておりません。当時の指導者層、それは政治家、軍部、マスコミの能力が低かったのだろう、本当の意味で(見せかけの蛮勇はあったと思いますが)自分がどうなってもよいから日本を守る、日本人を守るという気概が結局は足りなかったのだろうと思っています。つまり、すべて政治の能力が足りなかったということです。

では、あなたが考えるその時期の政治の最大の失敗は何か、とよく聞かれます。それは政治が「冷静さを失い」「将来を見通せず」「国民に正しく説明する勇気を持てず」「マスコミのあおりに流されて」「見たくないものから目を背け、聞きたくない声を聞かず」「深く考えず、多くの選択肢を検討せず」「目先のプラスマイナスだけで道を選んで」「権力を使って正当化して国家と国民すべてに博打の道連れにした」ということだと思っています。これは、今の政治にもよく似たことは起きがちですので、私が常に戒めとして心にとどめていることでもあります。

この戦争は、日本の有史以来、はじめて、日本人も、日本という国も、日本の文化や風習、歴史の記憶も、すべてこの地球上から消えてなくなってしまうかもしれない、という危機にさらされました。当時の政治家は、絶対に許されないようなリスクに国民全員を道連れにしようとしていたのです。マスコミも煽りました。多くの人は反対を唱えませんでした。反対を唱えた人は権力によって抹殺・封殺されました。歴史から学ぶべき最大の教訓は、国民と国家をすべて失うようなリスクにさらすことは決してあってはならない。そうならないように、政治は万全の準備をしなければならない。言論は自由であって、政治家は常に冷静であって、あらゆる選択肢を考えて、民主主義の可能性を信じて国民に向き合わなければならないということです。

戦争と政治。「戦争はしてはならない」と語るより、「なぜ戦争をしてはならないのか」を子供にも、大人にも、しっかりと説明したいと思っています。自国であろうと、他国であろうと、多くの人が死に、誰もが不幸になり、民族も、国家も、文化や歴史も、すべてなくしてしまう可能性があるのが戦争。それより前に、それを予想して、他の選択肢を取れたのに取らなかった。ほかの解決法があるはずなのにやらなかった。深く考えず、汗を流さず、気概もない。なぜそんなに能力が低いものが高い地位で政治をしていたのか。そんな批判を受けることがないよう、国政の任にあたらせていただいている以上、私にできる限りの力で、皆様が納得していただけるような仕事を続けたいと思っています。

引き続き、厳しいご指導、厳しいご意見とともに、温かいご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。