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臨時国会に向けて

暑い夏も終わりに近づいてきました。皆さまそれぞれどのように過ごされたでしょうか?

今年の1月から始まった通常国会は・・・振り返るとちょっと残念な国会でした。日本経済も若干踊り場にさしかかった感がある中で、国民の働き方を改革し、国民の生産性を高めるための議論が必要な国会でした。また、北朝鮮がミサイルを連続的に発射し、軍事技術を蓄積する中で、これまでの防衛に対する考え方では国民を守りきれなくなる恐れがある中、憲法はこれでいいのか、防衛の方針はこれでいいのかということの議論が必要な国会でした。

しかしながら、通常国会の前半は衆議院でも参議院でも森友学園の話に終始し(わたしたちはもちろん別の議論もしていたのですが、マスコミとりわけテレビはこの手の議論にひたすら注目していました。新聞はさすがに、他の議題についても取り上げていた気がします。)、本来議論すべき予算の内容や見通しなどはほとんど国民の知るところとなりませんでした。後半は加計学園がどうのこうのという話ばかりが報道され、本当に国家の方針として議論されるべきことがこれだけなのかな、と残念な思いをしながら、私は地道に財政や経済政策や社会保障、働き方改革などを議論しておりました。もちろん報道からは何の注目もされませんでしたが。

その後東京都議会議員選挙の手伝いに汗を流すことになりました。全体としては負けてしまったのですが、幸い私が応援に入った候補者は皆当選し、私個人としてはうれしい結果となった都議選でした。都議選の結果について、報道関係者や地元の皆さま、地方議員の仲間から尋ねられることが多いのですが、まず、他の地域の国会議員が都道府県議会議員の選挙に奔走するなどということは、今まで聞いたこともないし、私も市議、県議をやってきましたが、経験したこともありません。それだけ党本部は危機感を持ち、やれることを全部やった選挙だったのだと思います。

選挙も勝負のひとつですが、不思議と勝つことはあっても、「負けに不思議の負けなし」と言われます。おそらく敗因はそれぞれで、負けた候補者本人が一番よくわかっているのだと思いますが、一部で「自民党の二期生の不祥事・不始末のせいで負けた」などと言っている人がいることには、違和感があります。私も県会議員をやっていたのでわかりますが、そもそも他の地域の国会議員が不祥事を起こしたところで、それぞれの都議の信頼を損ねたり支援者が離れたりはしません。県会議員や、市会議員は、住民に身近な存在で、その人が4年間何をやっていたのかは、地域の人や支援者は一番よく知っています。4年間現職として仕事をしてきて、最後の2週間に自分と無縁の国会議員が不祥事を起こして、一気に票が減ると言うことは考えられません。実際に、そんな中で当選された都議の先生方がいらっしゃいます。負けた方は、おそらくほかに理由があるのだと思います。負けることは悪いことではありませんので、次に向けて敗因をしっかりと分析し、4年後もう一度チャレンジしていただきたいと思います。

一方で、新人の候補者の皆さまには、申し訳ないことになったと思っています。新人は実績を訴えようもないし、期待を集めることで当選に届くわけですから、その期待値を下げてしまったことは事実だと思います。自民党への期待はおろか、若手の議員への期待値を下げてしまいました。これは、私たちがしっかりと反省し、若手らしく思い切った議論、党内営業や党内接待なしの本音の議論を展開することで、国民の期待にこたえてゆきたいと思っています。

さて、そんな思いで夏を迎えましたが、夏は私たちにとって「仕込み」の時期です。仕込むのは、「政策」と「支持率」です。とりわけ政策は、夏の間に地元を回ったり、いろいろな方の相談に乗ったり、国会開会中には行きにくい関西拠点の企業を訪問したりして、現場の声を集めます。そうするとさまざまな課題が見えてきます。それを次の臨時国会や通常国会の材料として、しっかりと仕込んでいきます。支持率のほうは、地元の有権者の支持率と合わせて、家族の支持率もアップするチャンスです。地元については、政策の仕込みと表裏いったいですが、いろいろなところに出かけ、いろいろな話を聞きました。家族のほうは・・・子どもの送り迎えをしたり、仕事をオフにしてプールに行ったり、料理やお菓子で(はずかしいほど簡単なものですが)釣ってみたり、いろいろやりました。成果は・・・ちょっとよくわかりません。支持率が上がっていればしめたものですが・・・。

いよいよ来月には、臨時国会の召集が予想されます。今週から自民党の部会の活動も活発になってきました。各議員がそれぞれ、この夏に仕込んだものを、どう仕立てて臨時国会に持ち込むか、自民党の各部会でしっかりと議論を重ねたいと思います。

私としては、3つの小分野と、外交防衛国家戦略と言う大きなテーマについて、この臨時国会で議論をしたいと思っています。3つの分野とは、①働き方改革の具体策・とりわけ中小企業の生産性向上について設備や金融分野からの取り組み、②医療・介護の報酬改定に伴って、いかにITやロボットの活用を進めるか、③年末の税制改正議論において、税の合理化効率化と、税から成長を引き出す方策について、それぞれ勉強を進めて議論を深めたいと思っています。

また大きなテーマである外交防衛と国家戦略については、簡単に答えの出るテーマではありませんが、北朝鮮の問題、そして日本の競争力が相対的に低下している問題について、大きくどのように取り組むかを議論したいと思っています。もちろんその目的を達成する重要な方策として、憲法の改正も避けられないと考えています。

先の国会では、獣医学部をひとつ新設すると言うことが日本の国家戦略だなどとして議論されましたが、私はちょっと恥ずかしく思いました。この程度のことが国家戦略だとか、国会をあげて何ヶ月も議論することとは思えないからです。やってもよし、やらなくてもよし、大臣の判断で進めればいいことだと思っています。隣の中国では、一帯一路とAIIBが重要な国家戦略として進められています。アメリカも、ロシアも、ヨーロッパ各国もそれぞれ重要な国家戦略を持っていると思います。それに比べて・・・獣医学部を一つ作るか作らないかが国家戦略とは・・・ちょっと違うのではないでしょうか。日本の獣医さんは世界トップクラスですし、とりわけ途上国では日本の獣医教育や十位分野の支援には大きな期待と感謝があることは承知していますが、国家戦略とは少し違うと思っています。そうではなくて、日本がこれからも世界のトップでありつづけるために、また日本人が豊かな暮らしを保ち、世界中の人々からあこがれられるような文化レベルも社会レベルも高い状態を作り上げるためにはどのような国家戦略が必要なのか、国民の皆様とともにしっかりと議論してまいりたいと思っています。

日本の国会は、恥ずかしながら生産性はきわめて低い状態です。その国会が、自分たちよりもずっと高い生産性を持っている民間企業に「さらに生産性向上を!」と呼びかけるなど、まるで漫才のようですが、わたしたち議員一人ひとりの努力で、これは改善すると思っています。ポピュリズムやおべんちゃら、耳にあたりのいいことだけを宣伝するのではなく、本当のこと、事実をベースに、本音の議論をする国会にしたいと思っています。揚げ足取りはもうたくさんです。国民はそんなことを聞きたいのではなく、本当のことを聞きたいのだと思います。私一人の力はまだまだ小さいのですが、それでも粘り強く、生産性の高い国会を目指して努力を重ねたいと思います。