遠野・釜石・大槌へ
今日は早朝から車を飛ばして、静岡県の現地対策本部のある遠野市に入りました。
遠野市は、柳田国男の遠野物語の遠野です。三陸海岸の各市町村へ向かう道の結節点である
遠野市に、静岡県はベースキャンプを張っています。これは、地理・地勢に高い関心を持っている
川勝知事らしい、適切な判断だと思います。
遠野市の本田市長と面会し、静岡県の支援に感謝をいただきました。また、私の出身である
スズキが軽トラックを10台寄贈したことについて、「現地で大活躍です。鈴木会長にくれぐれも
よろしくお伝えください」とのことでした。
一方で、仮設住宅の建設が遅れていることに大きな懸念を持っておられました。「動きが遅すぎる。
国政が官僚を活用できていれば、全国レベルで手配して、今頃は十分な量が確保できるはずだ。」
とのことでした。
市長も懸念しておられたのが、これからの被災者の生活手段の確保です。5年も10年も保護を
続けるわけには行きません。今後は住宅と仕事をセットで手配することが求められるとおもいます。
静岡県及び県内企業にできることはたくさんあるでしょう。
その後、釜石と大槌を回りました。釜石は鉄骨の建物が多く残っていましたが、大槌は完全に壊滅
した状態でした。住民の1割が亡くなる町というのは、このような惨状になるのだと改めて知りました。
静岡県では、大槌と山田という二つの町を支援しています。大槌は町役場の職員の3分の1がなく
なってしまい、行政機能が麻痺しています。その代行や支援を今やっているのですが、こういう自体に
なると、何でも地方分権、なんでも地方独自というのも課題がありますね。
住民票だの被災証明だの仮設住宅の申し込みだの、あるいは内部の会計処理だのといった基本
事務については、別に市町村の違いを出す必要が無いので、全国統一にすべきです。そうすれば、
他県の市町村からのスタッフでも代行できます。そのことで現場の職員の負担が減り、現場の職員は
現場しかわからないような災害対策に全力投球できるようになるのです。
また、今回役場が壊滅したことで、支援物資がいきわたらなくて餓死者が出そうになったりと、被災地
の行政機関が動かなくなると住民の命にかかわるということがわかりました。私は今後、こうした被害
で市町村役場が機能麻痺を起こした場合、県で直轄する、あるいは他県の市町村とあらかじめ協定を
結び、緊急事態には行政機能を代行するという仕組みを作っておきたいと考えています。
大槌では、避難所の引越し作業が始まるようです。学校などを避難所にしたため、始業ができないよう
です。一方で仮設住宅はまだ十分な量が無いため、避難所から避難所に引越しすることになります。
精神的な面も含めて、被災者の負担は大きいでしょうね。
それと、遠野市役所の本庁舎も地震でやられてしまったため、明日は本庁舎との「お別れ会」だそうです。
今後はショッピングセンターの一角で市役所業務を行うそうです。
ほんとにいろいろ経験して、書ききれないことばかりなのですが、今回被災地の現場にはいって
いろんな方からお話を聞かせていただいたことは、すごく良い経験になっています。
かならず静岡県の防災対策に活かしてまいります。