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消費税について考える

正月にいろんなところでご挨拶をさせていただいていると・・・消費税増税について、賛否を求められます。この問題は「さあ、白か黒か」と言われて答えられるほど単純なものではないと思いますが、自分の考えを整理する意味でも、現時点での考え方を書いてみたいと思います。

まずそもそも、税のあり方について、私は消費税を含む間接税の比率を高めることに賛成です。日本はよく直接税の割合が高い(消費税など間接税の割合が低 い)と言われますが、これは主に法人税によるものです。で、その法人税はと言うと、赤字法人が大量にあるため、負担している法人の割合は低いのが日本の現 状です。

それならもう少し平等公平に負担する割合を増やすべきだと言う考えから、消費税を基幹税として税体系を作り直すことに賛成しているのです。同時に法人税を 下げたり、相続税を廃止するべきだと思っています。どうせ高額所得の方々には、累進課税でたくさんお支払いいただいています。まして相続税などは、所得税 を払った残りをコツコツためて、それが死んだ時にはまた半分も持っていかれると言うのは、まさに二重課税以外の何物でもありません。これはむしろ子供た ち、できれば働き盛り、子育て盛りの若い世代に相続してもらって、それを世の中で活用してもらうべきです。相続税については私はもう一つの視点から問題に していて、それは90歳のおばあちゃんが亡くなって70歳の息子が相続して、その資産が活かされるのかどうか。昔は60歳のお父さんが死んで、40歳の息 子が相続したので、その資産を十分に活用することができました。しかし現金にせよ、土地にせよ、農地にせよ、70歳の人がもらったところで、もう使えませ ん。高齢化社会の一つの問題点として、相続しても資産が活用されない、そうした資産が何十兆も何百兆もあると言うことが挙げられます。こうした問題を解決 するためにも、思い切って相続税も贈与税も廃止するべきだと考えています。

だいぶ脱線しましたが、消費税に戻ると、まず今が上げる時期なのかどうか。これは明らかに間違いです。消費が低迷し、デフレが加速しているときに消費税を上げると、本当の意味で日本経済を破壊しかねません。したがって、今すぐに消費税を上げることには反対です。

つぎに、上げる資格があるのかどうか。これはまったくないですね。何の改革もやっていないのに、税金だけ上げるとは何事でしょうか。バラマキにバラマキを 重ね、自分たちの改革、議会改革や公務員改革を何一つやらずに、税金だけ上げるなんていったら、誰が支持するのでしょうか。昨年の暮も、日本全国、47都 道府県のすべてが人事院勧告をベースにして地方公務員給料を下げているのに、唯一国はこれを無視して、国家公務員の給料を一円も下げませんでした。いった い何を考えているのでしょうか?静岡県も下げましたし、浜松市も下げました。国だけは下げませんでした。こんな状態で、消費税を上げる資格など、どこにも ないと思います。

3点目に、上げたらどうなるのか。税と社会保障の一体改革などと、立派な事を言っていますが、消費税を8%に上げても、10%に上げても、社会保障の安定 財源にもならないし、財政健全化にもなりません。多少ましになる、と言うだけの事です。本当に財政再建したいのなら、なぜ徹底した歳出削減をしないのか。 徹底して働かない公務員や不適格教員の削減をしないのか。借金が減るような財政構造と作るのなら、消費税を20%にするか、さもなくば社会保障の見直し、 生活保護や医療費、延命治療などの見直しが必須のはずです。それを何もやらずに、何となくバナナのたたき売りの感覚で8%とか10%なんて、おかしいと思 います。その数字の根拠を示してもらいたいと思います。

4点目に、なぜ2段階で上げるのか。こんなことをしたら、日本中の企業は、コンピューターのシステム修正を2回やらなければなりません。これだけでも膨大 な金額です。さらに、ミスが起きて混乱が起きる可能性も高まる。確かにコンピューター会社はもうかるかもしれません。しかし、日本の景気がひどい状態の 中、あらゆる企業は爪に火をともすようなコスト削減努力をしています。そんな中、コンピューターの修正に膨大な支出を強要する、それも2回に分けて。いっ たい何を考えているのでしょうか?経済や企業の現場の事を何も知らない人たちが、政治主導とか言って意思決定をする事のムダが、ここでも明らかになってい ます。

まあ、さらに問題点を上げればきりがないのですが、一言で言えば、残念ながら消費税増税をお願いする資格がないと言うことだと思います。その前に血のにじむような、それどころか血が噴き出すような努力を見せてもらいたいと思います。

そもそも日本の国会に衆議院とか参議院とか必要なのでしょうか?これだけスピードが求められる時代に、それぞれ足の引っ張り合いをしているだけ。まともな議論をしているならまだしも、出てくるのはスキャンダルと醜い批判合戦、重箱の隅をつつくような議論ばかりです。

消費税を上げる前に、衆議院と参議院を合併してはどうでしょうか?国会なんてひとつで十分です。
そのためには憲法改正が必要ですが、そういう改正なら国民はみんな賛成するでしょう。

とにかく、消費税云々の前に、まずは徹底した議員改革・公務員改革と、デフレからの脱却です。デフレで物の値段が下がり続けている以上は、どんな政策を打っても無効化されます。

言わずもがなですが、GDPは民間消費や民間投資と、政府支出の合計です。いま、デフレが続きGDPが伸び悩んでいる以上、また民間が消費余力も投資余力もなくしている以上、政府支出を増やすしかありません。

そうした中に、東日本大震災が来ました。これは大変な出来事でしたが、ピンチをチャンスに変える意味で、いま行う防災のための投資なら、ほとんどの国民が 理解してくれると思います。将来の壊滅や大量死を予防するための投資ですから、非常に意味のある投資でもあります。こういう時に政府支出を増やさなくてど うするのか。いったいいつ増やすのか。そういう考えで、県としても出来るかぎりの防災投資をしてゆきたいと思っています。

しかし今の政府は・・・それにも二の足を踏んで、復興が遅れています。がれきだけではなく、新しい都市計画も、産業の再生も遅れているのです。こんなとき に出し惜しんでいる場合ではありません。いまこそ国・県・市をあげて政府支出を増やして、GDPを支え、デフレから脱却するべきです。それをやらずに消費 税を上げて民間消費も民間投資も冷え込ませたら・・・最悪の事態であるGDPの下降局面に突入してしまいます。

よく、政府の借金や政府支出を家庭の収支と重ねて説明する向きがありますが、そもそも性質が違う以上、これは誤解のもとです。政府と家庭はまったく別のも のです。それは雨が降ればダムに水をため、日照りが続けばダムの水を流すのと似ていて、ダムが天候と同じように動いていては存在意義がないばかりか、余計 に大きな振れ幅を作ってしまうのです。

これまで政府と家庭を重ねて説明し、バブルで家庭や企業がカネを使えば政府や地方自治体も一緒にバブルで踊って金を使いまくる、逆に景気が悪くなって家庭 や企業が節約したら政府もそれ以上に金を出し渋って景気をさらに冷やす・・・その結果、いまのように極端な景気変動を巻き起こしてしまいました。このこと に気づき、反省するべきです。

書き出すといろいろ伝えたいことがあって、長くなってしまいましたが、とにかくそういうわけで、まずは経済政策、成長政策、デフレ脱却を最優先するべきだと考えます。
そういう視点で、今私は県議ですから、静岡県としてやれることは全てやりつくす決意で、来年度の政策・予算要望を続けています。

今日市内を回っていましたら、根上がり松に差し掛かって、ふと写真を取って一句詠みました。

「値上がり待つ」だけでは、政治の仕事としては不十分です。
政治があらゆる政策を動員して「値上がりさせてみせる」決意が必要だと思っています。