労働者か、社員か。
やはり解散になりました。おかげで選挙に向けた準備を急ピッチで進めることになりました。
幸い、ある程度は覚悟していたし、それなりに準備していたので、比較的スムーズに立ちあがったのではないかと思っています。16日金曜日に解散しましたが、前日には選挙事務所を確定しましたし、月曜日には事務所セットが運び込まれます。電話も数日のうちにひかれるので、あっという間に選挙に向けて稼働が可能な状態になります。こうした点は、私自身が自分の選挙を何度もやってきているし、友人の選挙でも立ち上げから支援してきているので・・・経験値をそれなりに蓄えてきたことが活きました。うちのスタッフもまた、経験者ですから、手慣れたものです。
ということで、この土日から積極的に活動を展開し始めましたが、同じように、報道関係の記者さんたちの動きも、にわかに活発化してきました。どうやら報道機関にとっても電撃解散・電撃選挙だったようで・・・みなさん泡を食って取材内容の整理やら、アンケートの用意やらに追われているようです。
それと同時に、インタビューの回数も一気に増えてきました。そうしたなかで一番回答が難しいのが、「○○対策はどのように考えているのですか?」と言う質問です。例えば、「無党派対策は?」とか、「維新以外の小政党対策は?」などなんですが・・・その中でも、答弁が難しいな、と思ったのは「労働組合対策は?」という質問です。
というのも、そもそも労働組合と言うのは、組合の一形態ですね。私は中小企業診断士ですから、いろんな事業組合の支援の経験もあり、商工業の現場では「組合」といえば、事業組合であったり、LLPであったりなんです。しかし、政治の世界では、組合=労働組合=民主党の実体部分、と言う扱いになっています。しかし、本来は労働組合と言うのは、労働者の福利厚生を向上させることが本来の目的であって、いつしか一部の政治家がうまいこと言って政治利用した、というのが正しい実態です。
ですから、労働組合対策、と聞かれても、私は人事労務担当者ではないので、ある企業の労働者の福利厚生については方針を持ち合わせていないんですね。したがって、「民主党の支持組織と一体化している労働組合の幹部対策」という意味でお答えするようにしています。
ご存じの通り、滋賀1区は労働組合が極めて強固な組織をつくりあげています。これは、労働組合が強いから、民主党の川端さんのように、8期も議員を続け、もう企業では定年をとっくに超えているのに、これから9選目をめざせるほどの実力のある議員が作れたのか、それとも川端さんがいるから労働組合が強いのか、卵が先か鶏が先か、そういうことはよくわかりません。しかしいずれにしても、政治的、選挙的な労働組合の存在感と実力はケタはずれです。
しかし一方で、本来の業務である、労働者を守る、ということについては、何をやっているのかよくわかりません。実際に、大津とかかわりが深いものだけを見ても、サンヨー電機はなくなってしまいましたが、旧サンヨーの社員は整理されたり中国企業ハイアールに移籍させられたりという、非常に残念な結果になりました。ルネサスは政府系再生ファンドから全体で5000人規模の人員整理を指示されていますし、パナソニックは本年度1年間で10000人規模の整理を発表しました。こうした実績を見ても、労働組合の本来の業務は手薄となっています。むしろ、一部の政治家が選挙利用ばかりやってきて、本来の仕事はなおざりになっているのかもしれません。
私はこれは、労働組合が悪いと言うより、政治が労働組合を利用しすぎたのだと思います。騙されたのは労働組合の方ではないでしょうか。政治家に、選挙をやれば労働者の待遇が良くなる、選挙を手伝えば給料が増える、と持ちかけられれば、そうなってしまうのも仕方ありません。しかし実態は、民主党政権の間に、子どもたちの扶養控除が廃止され、すべてのサラリーマンの手取りは減ってしまいました。さらに、中小企業も倒産が増え、政府系ファンドも人員整理を指示するに至り、解雇者・失業者が増え続けてきました。つまり、労働者の働く場所も、給料もなくなってゆくなか、党あるいは政府が必死で守るということもなく、見て見ぬふりを決め込んできたのです。
それと連動して、増えたのは、生活保護です。ある方は、「働く者の味方とか言っているが、ウソだ。働く人からどんどん税金を取って、生活保護をバラまいている。これでは、働かないものの味方だ。」として憤慨していました。まったくその通りだと思います。
私はこうした実態に多くのサラリーマンの方は気づいていると思っています。ユニオンショップ制を敷いている企業では、全員が労働組合に加入しなければならないわけですが、かといってみんなが労働組合の方針に共感しているとは思いません。労働組合の役員さんでさえ、おかしいと思っている人は多数おられると思います。
そういう考えから、サラリーマン、とりわけ大企業の従業員の方々が民主党を支持するか、自民党を支持するかは、それぞれのサラリーマンの方が自分の事をどう規定しているかによる、と思っています。それは、「自分は労働者である」と思っているか、「自分は社員である」と思っているかによる、ということです。
自分自身を「労働者」であると規定し、労働者は団結し闘争すべきだと思っている人は、労働組合の方針通り民主党を支持すると思います。しかしそういう思いが強ければ強いほど、いまの民主党政権には失望しておられる事でしょう。
自分自身を「社員」であると規定し、会社の発展のために働くという姿勢、そのためのマネージメントの発想をもっておられる方は、自民党を支持してくださるのではないかと思っています。とりわけ管理職の方、あるいは管理職を目指す方はそういう考え方の方が多いです。私たち自民党は、経済を活性化し、企業の利益を増大することで、社員の雇用と給料を高めてゆこうと言うアプローチを進めるからです。
以上のようなことから・・・上記の質問の答えはつまり、「労働組合対策はない」し、「できない」ということです。私たちから何らかの対策をするというよりは、自民党らしいマネージメントの発想での経済政策をはっきりと提案することで、支持するかしないかは、それぞれの従業員の方の内面で決まると言う事です。「労働者」と思っていれば民主党、「社員」と思っていれば自民党に、なりやすいと思います。
私たち自民党は、いまの日本の経済を危機的なものととらえていて、最重要政策として経済・産業・雇用対策を挙げています。金融緩和と成長戦略を連動して進めることで、成長分野に集中的に資金が回るようにします。また、とりわけ防災対策について、公共事業を積み増して、将来のリスク回避と景気の底上げを狙います。さらには、投資効果の高い事業を官民連動して進めることで、デフレから脱却し、力強い日本経済をつくりあげてまいります。
選挙の日程も決まりました。12月4日公示、12月16日の投票という事になりました。あと1カ月を切りましたが、組織で強制するとか、泣いてでもお願いするとかいう選挙ではなく、判断材料を提供し、有権者から選んでもらう選挙を展開したいと思っています。そのためにも、できるだけ多くの方に私たちの政策を説明してゆきたいと思っています。そして、基本的な考え方、政策をつくる力、政策を実現する力、政策を理解する力で選択していただけるよう、全力を尽くしてまいります。
しばらく世の中が選挙で騒がしくなりますが、どうかご理解いただき、ご協力賜わりますよう、よろしくお願いいたします。