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琵琶湖から淀川へ

二期目をむかえて、今まで以上の仕事ができるよう、事務所の強化を進めています。あわせて、大津事務所の引っ越しなどをしていて・・・いそがしさにかまけて、更新を怠っておりました。すみませんでした。新しい事務所は、郵便番号520-0026 大津市桜野町1-1-6 西大津IS2-203号室 です。 電話とファックスは以前と変わらず、電話が077-572-7770、ファックスが077-572-7772です。

さて、いまは来年度予算の衆議院審議の真っ最中です。予算は、衆議院の優越が認められており、参議院で否決されても衆議院の議決の通り決定するのですが、何とか3月のうちに参議院まで通過させるべく、党を挙げて頑張っているところです。(実際には、4月にずれ込む可能性があります。)

この、審議中の来年度予算案の中にも入っているのですが、現在瀬田川の下流にある天ケ瀬ダムの再開発事業を進めています。総事業費は当初430億円を見込んでいましたが、昨今の建設費の高騰や、難工事となる部分が見つかったことなどで、500億円程度になる可能性があります。

琵琶湖の水は瀬田川に流れ、それが宇治川となり、木津川と桂川と合流して(いわゆる三川合流)、淀川となり大阪湾に流れます。琵琶湖という大きな湖は、巨大なダムと同じであり、滋賀県に大雨が降ってもいったん琵琶湖に貯めるので、京都や大阪を大洪水から守ってきました。この琵琶湖の水位の調整と、宇治川の流量の調整を、私の家の近くにある「洗堰」とこの「天ケ瀬ダム」が行っています。今回の再開発で、水の調整の幅を広げ、最近の台風やゲリラ豪雨などの水害に備えようとするものです。

先日、川の上流の議員である私と、下流の議員である京都の宮崎謙介議員、安藤裕議員とともに、天ケ瀬ダムの工事現場を視察し、意見交換や議論をしました。これまでこうしたことはなかったようですが、いざ大雨となった時に、上流は下流のことを考え、下流は上流のことを考えてベストな対応をするためにも、定期的な会議や視察は重要だと思っています。

今回の事業では、それぞれの地元の負担金が発生します。治水力の強化によって恩恵を受けるのは京都府と大阪府、水道水の確保で恩恵を受けるのは京都府、付設してある水力発電の発電量の増加で恩恵を受けるのは関西電力に、それぞれ負担してもらいます。ということは・・・滋賀県は、実は負担金はありません。直接のメリットは受けないということになっていますが、実際には今回の再開発によって、大雨後の水を速やかに流し、より早く次の大雨に備えることができれば・・・それは琵琶湖の水位を安定させることにもつながり、琵琶湖周辺の家や田んぼを守り、河川の排水もスムーズにすることができます。つまり間接的には恩恵を受けるので、この工事には協力し、また今後の運用については、下流のことをしっかりと考えて、対応しなければなりません。日本は古来から、自分だけ良ければいいのではなく、相手のことを第一に考えるという姿勢を美徳としてきました。日本人らしい美徳の心で、お互いに思いやって上流と下流の調整をしてゆきたいと思っています。

いまは、日本で最大級となる「水を流すためのトンネル」を掘っています。このあたりは、ダムに向いた場所らしく、強固な岩盤のようで、発破をしながら掘り進んでいるようです。写真をのせましたが、本当に巨大なトンネルですが、運用時にはここが水でいっぱいになります。今回のバイパストンネルを掘ることで、流せる水の量が毎秒800トンから毎秒1100トンに増えます。つまり、このトンネルの中を一秒間に300トンもの水が流れるということになります。

しかしそれだけ流しても・・・台風の時にたまった琵琶湖を元に戻すのにどのくらいかかるかというと・・・琵琶湖の水の量は、水位1センチ当たり670万トンです。つまり、10センチで6700万トン。最近の台風では1メートル程度上昇することもあり、そうすると6億7000万トンの水を流さなければなりません。それを再整備後の毎秒1100トンで割ると、約170時間。つまり、1週間流しっぱなしでやっと元の水位に戻るのです。そう考えると・・・1週間以内に同じ台風が来ればアウト!ということになりますから、安全上は、いまの排水量(800トン)では危機に備えきれず、再整備をしてやっと安全を保てるレベル、ということに気づいていただけると思います。同時に、琵琶湖の大きさをわかっていただけるのではないでしょうか。

自然に抵抗するのは難しいことです。しかし、滋賀、京都、大阪の共通の財産としての琵琶湖は、多くの恩恵をもたらしています。この琵琶湖の治水の力を強化し、流域の皆様の安全と安心を高めるための事業が、天ケ瀬ダムの再開発です。ぜひ皆様からもお植えしていただきたいと思います。天ケ瀬ダム自体も、非常にきれいなダムですので、是非一度訪れていただければと思います。