TPP対策(その2)
先日途中まで書いたTPPの続きです。
静岡県の重要なTPP対策として、豚肉対策があります。
それにさいして、やはり現場主義で行かなきゃいけない!と思いまして、国産豚肉と外国産豚肉の比較をしようということになりました。味については、いちばんあてにならないのが私の舌なわけですが、それでも比較的食べ慣れている「とんかつ」なら、違いが分かるに違いない!ということで、とんかつ三昧の日々を送ったわけです。
ここで豚肉の関税についてですが、豚肉は少し特殊な関税がかけられていて、それは「差額関税」というものです。
普段、関税と言うと、価格の50%とか、300%とか、そういうのが一般的な感じがしますね。国内価格が500円の商品について、輸入だと150円で調達できる。しかし300%の関税がかけられて、150+150×300%=600円となって、国内産業を保護するというケースです。
しかし豚肉は差額関税です。つまり、国内の標準的な価格が500円とすると、100円で輸入したら差額の400円が関税。300円で輸入したら差額の200円が関税と言うものです。つまり、どうやっても標準価格に合わせられてしまう。こうして国内産業を保護してきました。
私も関税の歴史は知りませんが、考えてみると原始的ですが基本的と言うか、標準的な制度ですよね。通貨制度が成熟していないころは、基本的にはこのような考え方で関税をかけていたのではないでしょうか?そういう意味では、何パーセントとか言うよりも根幹的な仕組みなのかもしれないと思いました。
それはさておき、豚肉ですね。やはりまずは味の違いがあるのかどうかが重要です。味が明らかに違えば、消費者は味の良い国産品を選択する事が増えます。以前にGATTで大騒ぎした「牛肉」も、味の違いが明らかなので、国産品と輸入品はそれなりにすみ分けています。
では豚肉はどうか。正直言って、私はメキシコ産、カナダ産と、国産の標準品の違いはわかりませんでした。
すこし肉質がざらついていると言うか、スジっぽいのが外国産ですが、肉そのものの味はほとんどわかりません。脂の味も、違いが分かりませんでした。さすがに地元の金華豚は脂が甘く、しかも脂の割合が非常に多いので、これならすみ分けられると思いましたが・・・。
普段食べ慣れたとんかつで、この違いなら、これは間違いなく市場に変化が出ると思いました。
TPPについて、政府は「結論を6月に先送り」と言う結論を出しましたが、これはまだどうなるかわかりません。
そもそも産業立国を進めなければならない日本にとって、あるいは国民生活をどう守るかについて、どういう選択をすべきかと言う議論も、国会議員の認識も、希薄な気がしてなりません。
私は「TPPにどう取り組むか」、さらには「日本が国際貿易にどういう姿勢で臨み、国をどういう産業で支えるのか。さらには国内の農業政策をどう進めるのか」というテーマは、これからの日本をどう進めるのかと言う基本的かつ最重要の問題ですから、総選挙をして国民の信を問うても良い問題だと思っています。
そういう点で、民主党も自民党も、明確な姿勢や、具体的な政策推進手順を示せないのは、ほんとうに残念だと思っています。
地元の農林水産業対策について、私は国が結論を出してから対応を進めてるようでは、遅いと思っています。
静岡県では、国の決定を先取りして、あるいは国がどういう結論を出そうと、農林水産業の競争力強化を進めるべきだと考えています。
静岡県がその先頭に立てるよう、私も全力を尽くしたいと思っています。