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航空政策 その2

みなさん、こんにちは。
県議会での代表質問・一般質問が終わりました。私も昨日の質疑で登壇させていただきました。本会議開催中は、朝議会開会前と夕方には議案研究をしているので、脳が疲れますね。昔、受験勉強をしていたころは・・・もう少し脳にも体力があったのですが・・・。

さて、航空政策の続きを書くのが遅くなってしまいました。

航空行政と言うと、国内線のみならず国際線の動きを把握する必要があるので、まずは世界の航空の動きから。

この10年で、航空需要の伸びは、アジア地域が9割増、ヨーロッパが3割増に対し、北米は2割減です。これは9.11やリーマンショックなどの経済停滞が影響していると思われます。今話題の中東などは3倍近く伸びていますが、もともとのパイが小さいので、やはり重視すべきはアジア地域と言うことになると思います。

また、面白いのは、「ハブ空港化」が果たして正しいのか?と思えるデータが出ていることです。企業別の順位ではサウスウエストが世界一ということなんですが、この会社はハブアンドスポークではなく、ポイントトゥポイントという、直行便主体のダイヤ編成で人気を博している会社です。さらにはLCC(サービスなどを省略した安い航空会社)が台頭しています。もちろん地政学的な要素も多いのでしょうが、必ずしもハブ空港化の需要が高いわけではなさそうです。私も・・・直行便があれば、少しくらい高くても選んでしまう気がします。

で、日本はと言うと、経済的な影響で多少の増減はありますが、2000年以降ほぼ横ばいです。しかし内訳をみると面白いのは、20代の日本人の海外旅行は・・・なんと女性が男性の2倍も海外に行っています。これにはいろんな原因があると思いますが、女性は女性同士でも男性とでも旅行に行くのに対し、男性同士の旅行というのはあまりありませんね。さらには、誰がお金を払っているのかということもあるでしょうし・・・。昨今言われている「草食系男子が増加している」ことが原因ではないことを祈っています。

日本に来ている外国人を見てみると、一位は韓国。二位が台湾と中国です。中国はビザの発行要件が緩和されたので、これからもどんどん増加すると思われます。中国の銀連カードの使用店舗拡大など、中国人の皆さんがどうすれば気持ちよくお金を使ってもらえるかということが、観光振興のポイントになってくるでしょう。一方で、中国人観光客のマナーの悪さが指摘されており、これらの対策も進めなければなりません。

それから面白いデータがあって、これはシティペアと呼ばれる、都市間の航空需要のランキングです。私は一番多いのはロンドン―パリ、ニューヨーク―ワシントン、北京―上海だと思っていたら…なんと世界一は東京―札幌でした。
2位が東京―大阪、3位がリオデジャネイロ―サンパウロです。ロンドン―パリやニューヨーク―ワシントンは圏外で、北京―上海は6位でした。
ちなみに日本が関係する路線の世界ランキングは、さきほどの二つ以外に、東京―福岡が7位、東京―沖縄が18位、東京―ソウルが19位です。この需要を考えると、羽田の拡大は遅きに失しているのでしょう。

このことに限らず、日本の航空行政は抜本的に見直さなければならないと思います。まず、空港建設に金をかけすぎて、着陸料が高くなってしまっています。さらには鉄道などとの連携をあまり考えてこなかったので、トータルでの移動コストと移動時間がかかる結果となっています。日本の飛行場は98ありますが、人口半分のイギリスでは150、フランスでは300の空港があり、利用者のニーズに応じて使い分けられるようになっています。もっとシンプルで低コスト、使い勝手の良い空港にしてゆかなければなりません。

そういう視点から見れば、静岡空港は余分なことにお金をかけすぎたといえます。まあこれは日本の公共事業の特徴なのですが、100億のごみ処理場を作るのにも、50億の地元対策費が必要と言うのが相場です。こうしたことが、公共事業費が膨らむ原因の一つです。また、鉄道その他の交通機関との連携も不十分ですね。静岡空港はできてしまった以上、時代の流れに沿った形で「低コストでシンプルで使いやすい」空港にしてゆかなければならないと思います。余分な金をかければかけるほど、赤字が膨らむと思っていますので、これからも厳しくチェックしてまいります。

今回は航空需要全体からみた分析を書かせていただきましたが、次は個別戦略を見てゆきたいと思います。