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社長のブランド力

先日新聞を見ていたら、面白い記事がありました。
日本の社長の「ブランド力」をランキングしたもので、第一位はソフトバンクの孫社長です。

嬉しかったのは・・・第4位に浜松のスズキの鈴木会長がランキングされていたことです。
ちなみに全ての順位は、
1位 孫正義       ソフトバンク 142.4ポイント
2位 豊田章男       トヨタ自動車 127.9ポイント
3位 カルロス・ゴーン 日産自動車 118.6ポイント
4位 鈴木修       スズキ       108.6ポイント
5位 原田泳幸       日本マクドナルド 104.7ポイント
6位 佐治信忠       サントリー       96.2ポイント
7位 柳井正       ファーストリテイリング92.2ポイント
8位 三木谷浩史 楽天        84.1ポイント
9位 岩田聡       任天堂        80.0ポイント
10位 似鳥昭雄       ニトリ        79.ポイント
でした。

これは、社長のブランド力を、「認知度」「好感度」「能力」「魅力」の4つの指標から分析したものなのですが、鈴木会長は「魅力」の点で、トヨタの豊田章男社長に次いで2位でした。ちなみに3位はサントリーの佐治社長でした。

私が卒業後お仕えし、議員になってからもお世話になっている鈴木会長が日本で4位と言うのは、本当にうれしい思いです。

鈴木会長は、最近になって全国的に注目されるようになりましたが、私が就職を決めた平成7年から、すでに独特のオーラを出しておられて、私はひそかに注目していました。まさに今回のランキングにあるように、「一度この人の下で働いてみたい。どういうリーダーシップで会社をまとめているのか、学びたい」と思って、私はスズキに入社しました。

当時の私が注目していたのが、おそらく平成6年頃から始められたのだと思うのですが、「1部品1グラム運動」とかいう運動を社内で展開しておられたのです。
これは、要はクルマはたくさんの部品(2万点と言われています)でできているので、一部品1グラム軽くすれば、クルマも軽くなるし、材料削減につながり、コスト削減にもなる、というものです。

例えば800キロのクルマをあと20キロ軽くしろと言われると、それは無理だとなる。しかし一部品1グラムなら、やれるような気がする。で、実際に一部品1グラムずつ軽くすると、2万部品で20キロ軽くなると言うことなんですね。
これ、本当に分かりやすいので、社員全員が理解し実践できるんですね。

製造現場だけではなく、営業でも実践できます。部品もくそもないんですが、要は何が言いたいのかが良くわかる。だから営業現場でも、ムダをなくそうとか、1日の訪問件数を1件増やしてみようとか、そういうことで応用がきくんです。

今も当時も、社長と言うポストは、勉強も経験も努力も社内でナンバーワンの方がなるわけですから、おっしゃることが簡単じゃないんですね。だいたい難しい話になる。でも当時から、鈴木社長はすごくわかりやすい言葉で社内に呼びかけ、社内をひとつにまとめた「運動展開」に変えて、小さいながらに独立した企業経営をされていた。当時、いろいろ企業研究をしていた私にとっては、本当に魅力的に映りました。

今考えてみれば、これは「政治」だったんですね。鈴木会長の「政治センス」が、社内に分かりやすい言葉で呼びかけ、社員全員が理解し、その理解でひとつにまとめ、運動に変えて突破してきた。私は今こそ、小難しいことばかり言っている割に、何の実績も出せない、国民の心に響かない、国の方向性をまとめられないと言う政治家は、鈴木会長に学ぶべきだと思います。

鈴木会長も今年で81歳。今なおお元気ですので、典型的な「大器晩成型」ですね。

浜松のためにも、静岡県のためにも、さらに元気に頑張っていただきたいと願っています。
あわせて、私も鈴木会長の独特のセンスやノウハウをしっかりと吸収したいと思っています。