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自粛ムードを吹き飛ばそう

今日、県では今回の地震に伴う経済被害が拡大していることから、これまで発動してきた「中小企業災害対策資金」に加えて、「震災対応経済対策枠」を設定して、合計8000万円の融資枠を設けることにしました。

また、同時に県の信用保証協会では、無担保保証枠をさらに1000万円拡大して、合計9500万円とすることを決定しました。

県の融資枠の全体規模については、3月議会で2000億円設定しており、当面はこの枠で十分対応できると考えています。しかし、予想以上に被害が拡大した場合は、6月議会、9月議会がありますので、随時対応してゆきたいと思います。

伊豆地域では、輪番停電を実施している事もあり、宿泊のキャンセルが30万人に上るそうです。その事による経済被害は、宿泊とその他観光に係る支出を単純に一人当たり2万円として、60億円に上ります。

この原因は、「自粛」に伴うものと、輪番停電をしているので旅行先を変更されてしまったことによる、ダブルパンチだと思われます。
浜松の舘山寺地域でも、大震災の直後のキャンセルが6500人になったそうです。浜松は停電もガソリン不足もないので、これらはすべて「自粛」によるものだと思われます。

警察力や消防力、行政職員の動員を必要とするようなイベントの自粛は、現地に支援部隊を派遣する以上、やむを得ないものと思いますが、企業や団体、サークルの旅行や歓送迎会はぜひ自粛せずに、予定通りやっていただきたいと思います。

今日は会社訪問をしていたのですが、「最初はキャンセルしようと思って連絡したら、歓送迎会の会場に泣きつかれた。相当キャンセルが出ているらしい。そこで、看板を出すのをやめて、予定通り歓送迎会をやることにした。」というところが、2社ありました。まったく同じ話を関連のない2つの会社で聞いたのでびっくりしましたが、それだけそういう話がたくさんあるということでしょう。

私たちの地域は被災地ではありません。電気も水もガソリンもあり、通常通りの生活ができています。私は、なんらかの「配慮」をして現地に思いを馳せれば、楽しい会や節目の会を開くことに、躊躇する必要はないと思っています。バカ騒ぎをやめるとか、その場で義援金を集めるとか、地震対策や被災地支援を話題にするとか、ほんの小さな事でいいので、なにか配慮をすればよいことだと思います。

それ以上に、被害を受けなかった地域まで、消費者のマインドが落ち込んで、経済活動が縮小する事の方が怖いのです。
「経済規模の維持・拡大は、復興の一番の原動力となる。一方で、経済の縮小は、復興の最大の障害となる。」ということを、もう一度確認したいと思います。

神戸の地震を現場で経験した人が、「神戸の時も大変だったけど、どんどん復興の動きが始まって、むしろ景気良く頑張るぞと言う雰囲気があった。今回は、どうも暗いムードのままだ。これは、遺体がいまだに現地の泥の中に放置されているのと、原子力発電所の問題が尾を引いているのが大きいと思う」とおっしゃっていました。

確かに原発の事故はいまだに良くなる兆しが見えず、危機状態が続いています。また、「確認中です」とか「確認していません」とかあいまいな発言をする東京電力や原子力保安院の説明を聞いていると、信用していいのかどうか疑わしくなる気持は良くわかります。しかし一方で、「東京電力が悪者」のように公言している国会議員もいますが、東京電力も被害者の一人である事を忘れてはならないと思っています。それ以上に強く求められるのは、国会議員や政府のリーダーシップです。全ての国会議員は、「そういうおまえは何をしているのか」という質問に答えられなければならないと思います。

今回のあらゆる経済被害に対して、現時点で県としては「緊急融資」という形でしか答えられていません。これはあくまで当面のキャッシュフローを改善するだけですので、今後は中期的な売り上げの確保、経済活動の復旧を進めてゆきたいと思っています。

こうした経済被害を減らし、逆に経済を力強く拡大してゆくためには、私たち一人ひとりにできることとして、「過度な自粛をやめる」ことがあります。政府は「買い占めはやめよう」と呼びかけていますが、少なくとも静岡県においては電池などを除いて物資は潤沢ですので、「過度の買い占めはダメだが、各家庭が備蓄品を点検して、必要なものは確保する」ことはぜひ進めていただきたいと思っています。

私は、「東北経済がへこんだ分を、静岡県が取り戻す!」というつもりで、皆様には今まで以上に経済活動を頑張っていただきたい。県もそれを全力で応援してゆきたいと思います。東北3県(岩手・宮城・福島)の経済規模の合計は21兆円です。それに対し、静岡県は1県で17兆円の経済規模を持っています。「東北3県で失われた経済を静岡県が取り返す」、というのは、あながち無理な数字ではありません。

こういう時だからこそ、みんなで元気を出して、被災地の復興に向けた機運を盛り上げ、日本の力、日本人の底力を発揮してゆきましょう!