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モンゴル外交

昨日まで、知事を団長とするモンゴル使節団のメンバーとして、モンゴルのウランバートルとドルノゴビ県を訪問し、先方の要人といろんな協議・交渉をしてきました。

県として、まずスタート位置に立つための友好提携をまとめてきました。
政治的に友好関係を作って、経済協力、民間進出を進めると言うのが、本来の外交の形です。
その点で、中国はいびつです。政治的に信頼関係がいまだにつくれない状況で、経済のみが突出して交流を進めています。これはもちろん政治の動きが遅すぎたことが原因ですが、そのためしばしば中国政府の原因不明な嫌がらせを受けたり、場合によっては接収されるリスクがあったり、尖閣問題の時にはフジタの社員が拘束されると言う危険極まりない状況になったりしました。

今回の新幹線事故やその前のパクリ問題といい、日本の目から見ていまだに中国政府は信頼できる状況になっていないと感じています。本来は日本の国会議員はもっと交流を進めて、信頼関係を作るか、それとも得体のしれない国・信頼できない国として、民間・経済交流にも支援なり制限なりをすることが、本来の政治の仕事だと思います。

一方で、国会議員が外国に出かけると、「外遊」といわれ、遊びに行っているように思われる風潮も何とかしないといけません。本当に遊びに行っている議員は糾弾し、落選してもらわないと行けないのですが、そういう人に限って大量のお土産を買いこんで地元に配り、選挙は強いと言うこともしばしばです。そんな事をやっているのでいつまでたっても議員が国益にプラスにならないんですね。「国益において議員は百害あって一利なし」、などと、本末転倒というか、すさまじい皮肉を言われているのも・・・ほんとうに残念です。

今回は「地域外交」の一端として、「花も実もある外交」を展開したいと思います。
仲良くするだけでは意味がありません。地域企業がその果実を取れるように、戦略的に進めてゆきたいと思っています。

モンゴルでは、金やウラン、レアメタルなどの資源が大量にあることが分かりました。また、良質の石炭を安く掘ることもできます。しかし、問題は日本までの輸送路です。モンゴルはロシアと中国に挟まれており、輸出するにはどちらかを通らなければなりません。

中国は先ほど申し上げたような状況で、モンゴルとしてもあまり信用していないようです。ロシアは、私はよく知りませんが、モンゴルとロシアの双方に利益があるような交渉が出来るのでしょうか?

今回の使節団には、多くの民間人の皆様もご一緒いただきました。
青年海外協力隊や、オイスカの皆さん、教育関係者や中部電力の役員、NEXCOの顧問の方など、モンゴルとの協議だけでなくこうした参加者の皆さんと時間や経験を共有し、いろんな話を聞けた事は本当に大きな収穫でした。

来年2月にはモンゴルからの使節団が来るようです。その時はしっかりとお迎えしたいと思いますし、多くの日本の施設を視察していただきたいと思っています。特に、今回の課題であった資源とインフラだけでなく、農業なども相当なノウハウをモンゴルに提供できると思います。逆に言えば、日本のノウハウを持ち込んで形にできれば、相当な富を手に入れる事が出来ると思います。

今回の経験の中で、これは明治維新のころを同じだと感じました。アンテナが高く、海外のノウハウを持ち込んで形にした人が、多くの富を手にしました。また政治と連携し、今で言う利権を手にできたら、成功を収める事ができました。

逆に言うと、そういうインセンティブがあったので、公共投資を税金に頼らず、民間投資で進められて一気に近代化できたという側面があります。これは光があれば闇があるという当然の摂理なのですが、当時は発展の速度が速かったので、国民みんなに利益があり、問題にならなかったということでしょう。

いま、まさにモンゴルはその時期に差し掛かっています。インセンティブと公平性をどのようにバランスさせるかが課題でしょう。その点でも県としてアドバイスができると思っています。

かつての日本のように、さらに言えば本来の政治家の仕事として、「国益をひっさげて、静岡県の利益を引っ提げて取り組む」外交を進めてゆきます。これは、私がこれから政治の仕事を進める上で、重要な経験、トレーニングにもなると思っています。