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田中法務大臣が辞任

今日、田中法務大臣が辞任しました。

結局一度も国会で答弁する事もなく、何の仕事もせずに辞任したと言う事になります。私も田中さんの人格識見は知りませんが、元民社党の人たちで作っている民社協会のトップ、つまり、私の対抗馬(大物議員に対してこの言い方も失礼な気がしますが、ほかに言葉がないのでご容赦いただきたいと思います。)である、川端元大臣の兄貴分にあたる方です。

人物評はよくわからない以上申しませんが、報道によると、論功行賞で大臣をばらまいて、すぐに辞任、また元大臣が一人増えた・・・というのは、まったく国民を馬鹿にした話です。民主党はいったい何のため、誰のために政治をやっているのか、という根本的な疑問を感じる出来事です。ましてこれが今回だけではなく・・・毎年、毎回この手の話ばかりで、もはや政権を担う、つまり日本と日本人のために働く、気概も人材も尽きてしまったと言う感じですね。

そもそも、代表選挙で自分を支持したとか、選挙で頑張ったとか・・・その手の論功行賞で大臣をばらまくのは、民主党も、もちろん自民党も、やめなければなりません。これは元をただせば、田中角栄さんが栄華を誇った時代に、自民党が作ったシステムです。当選何回で大臣適齢期とか、がんばったから大臣にしてやるとか・・・これが日本の政治をダメにした元凶の一つだと考えています。そういう意味で、あれだけ新しい政治を作るとか言っていた民主党が、いまや昔の自民党の悪い面と同じことをやって、その反面、昔の自民党ほどの政策遂行能力は発揮できずに、どんどん日本をダメにしている・・・というのは、国民から見て悲劇ですね。

いつの時代も、トップの仕事は人事と論功行賞が大部分を占めます。その要諦は、「能力も功績もある人間には職位を与えて、能力はないが功績のある人間には、ポストは与えず金やモノや領土を与える」ことです。昔から、為政者は、こうやって組織をまとめ、政治を進めてきました。一方で今の政治は制約も多く、また為政者の経験もなく実態も知らない人間が、いろいろ論評する時代になったことで、トップの裁量の範囲がどんどん狭められてきました。日本の場合、政治のトップよりも、企業のトップの方が、よっぽど多くの裁量を持って人事や論功行賞を行っています。

あえて自民党としての反省例を書くなら、かつて小泉総裁の誕生に大きく貢献したのが、田中真紀子さんでした。本来はこういう方に報いるには、カネを配るのがベストです。しかし、そんなことをしたらいろいろ言われるから、仕方なく外務大臣のポストを配りました。しかしそのせいで外交は混乱し、国も国民も不幸になりました。結局、為政者がカネを配るのはけしからんという、ちっぽけな正義感のせいで、何億、何兆と言う国益が失われるわけです。全体として考えれば、例えば1000万でも配って済むのなら、大臣は能力のある方にやって、功績があるが能力には疑問がある方にはおカネを配って解決したほうが、結局は国益にかなうと言う事になります。

今回のケースも、報道を見るかぎり、田中慶秋さんに論功があったのなら、田中さん本人なり、民社協会なりに、お金を渡して良しとしてもらって、大臣はそのポストにふさわしい人に担ってもらう方が結果として国益にかないました。それが出来ずに、また日本の政治を混乱させてしまったと言う事になります。

誤解を恐れずにはっきり言ってきましたが、私は政治のトップが勝手気ままに国民の税金を論功行賞で配ればいい、と言っているのではなく、民間企業であれ政治であれ、何らかの論功行賞が必要である以上、現実と国益を見極めながら為政者の裁量を認める何らかのルールが必要だと思っています。逆にこれができずに、結局不透明な経緯でポストをばらまいて国益を失ってきた以上、そろそろ反省し、国政を力強く進めるための仕組みの見直しが必要だと思います。

一方で、じゃあ誰がふさわしいのか、ということになると・・・すでに民主党には人材はいません。もはや政権を担う力を失ってしまっています。

来週から国会が始まりそうな気配ですが、私は自民党は徹底して審議に応じるべきだと思います。まちがっても審議拒否など、すべきではないと思います。結果として、今の時点では、自民党は野田さんにうまく乗せられて、食い逃げをされてしまっています。しかし一方で、このままだらだらやったところで、民主党の支持率は下がる一方です。つまり、自民党の損得だけを考えれば、もはや「早く解散しろ」という動機はなくなりました。

しかし、常に日本の事、日本人の事を考えることこそ、私たちの仕事です。もちろん党利党略も少しは考えてしまうのが人間の常でしょうが、国益に優先することがあってはなりません。これは、厳しい戒めとして、政治家を志す者は心に刻み込まなければならない事です。そこで、国益を考えたら・・・「ただちに解散して新しい政権を樹立し、経済、国防、教育などに全力で取り組める体制を作るべき」ということになります。

世の中には分かりにくい論調や、知ったかぶりの論調が多いので、おそらく誤解も生じると思いますが、私は「日本のため、国益のために、衆議院を解散し、新しい政治体制を作るべき。一方で、解散までの間は、自民党は全ての審議に応じ、採決に応じるべき」と、堂々と主張し続けたいと思います。