大岡敏孝 Official Site

経済(TPP含む)について

いよいよ4日から衆議院総選挙が始まりますので、選挙期間に入るとホームページが更新できなくなります。本来は選挙戦に入ってからの方が、更新が必要だと思うのですが・・・これもおかしな話ですね。いまだに古い公職選挙法が改正されないまま使われているので・・・国民の要請や視点とは逆のルールになってしまうんですね。しかし、悪法も法なり、ですから、ルールは守らなければなりません。したがって、これが最後の更新になると思います。

さて、政策の最後は、経済についてですが、先日内閣府から、GDPの速報値が発表になりました。四半期でマイナス0.9%、年率換算でマイナス3.5%です。つまり、年率では一年間で約15兆円以上の国の富を失ったことになります。ここでいう富とは、GDPですから、昔習った「三面等価の原則」によって、各部門の生産(付加価値)の合計であり、民間および政府の消費と投資の合計であり、個人の給料や所得と企業の利益の合計でもある、ということになります。いずれにしても、給料や企業利益などが合計で15兆円なくなったと言う事ですね。

こうなったのは、ある意味必然と言えます。これまでの政権は、ひたすらバラマキばかりで、何の経済政策もやって来ませんでした。バラマキは経済効果がある、とか、政権交代そのものが経済対策だ、などと、とんでもないことまで言い出す始末でした。思いつきで言葉遊びをしたあげく、日本の経済は後退し、企業は苦しみ、解雇や失業が増え、生活保護が増えました。この3年間のあいだに、生活保護は40万人も増え、保護費は7000億円増加しました。余計に税金を使う事になったので、さらに経済政策を打つ財源がなくなり、借金が増えて次の世代にツケを回す・・・悪循環に陥ってしまっています。

私たち自民党は、まずこの悪循環を断ち切りたいと思います。残念ながら、経済政策に「これだけやれば全部良くなる」という特効薬などありません。個別に丁寧に、資金需要にこたえ、規制を見直し、企業の利益を出し、日本人の雇用を増やす・・・ねばり強く作業を進めなければなりません。民主党が言うように、口先だけ、思いつきでやれるようなものではないのです。

政権公約的に言うと、「金融緩和と成長戦略を並行的に進める」という事になるのでしょうが、これも経済の現場を知る者がひとつずつ丁寧に進める必要がありますね。成長分野の選定、資金需要の見極め、各企業の成長可能性の分析、必要とされる規制緩和の検討など、まさにコンサルティングの世界です。その点では、私自身、中小企業診断士でもあり、大企業のような全世界にまたがり様々な事業分野を持つ企業体は手に負えませんが、中企業までなら具体策で答えられるのではないかと思っています。

私はこれまで地方議員をやってきた経験から、政策は細部を詰められないと、モノにならないと確信しています。細部の詰め方、つまりは民間やお客様と向かい合う最前線の部分をしっかり組み立てられないと、政策効果は発揮できません。狙いは良いけど手法がダメというのは、これまでの政策にはよくある話でした。

それと、経済の話では必ず触れないといけないのが、TPPに関してです。私はTPPには反対しています。それは、メリットに比べてデメリットが多すぎるからです。

メリットについては、経済効果が、10年で2.7兆円のGDPを押し上げる、とのことですが、つまりは1年間で2700億円です。こんなのは、ほとんどないに等しいですね。同列には比べられませんが、規模を比較すると、先ほど言った生活保護費の増えた分だけで7000億円ですから。

一方で、デメリットは、農業、医療、保険、労働など、本当に様々な分野に及びます。私は労働組合がなぜ、労働市場を脅かすTPPに邁進している民主党を応援しているのか、いまだによくわかりません。まあそれ以前に、この3年間、何の経済政策もせずに、ひたすら企業を苦しめ、解雇や失業を増やし、派遣社員の比率を増やし続けてきた民主党政権を、なぜ労働組合が応援しているのかが、全く意味不明なのですが。だまされているのか、それとも自虐的なのか・・・多くの人が組合にお金をはらっている以上、皆さんのためにもそろそろ気づくべき時期が来ていると思うのですが。

それはさておき、そもそもTPPは言わば「強いクスリ」です。確かに、競争力や生産性が遅れている分野があり、目を開かせるためにもTPPという意見もあります。しかし、それは乱暴すぎる手法で、いま日本は病気の状態です。そんな人に強い薬を飲ませれば、死んでしまうかもしれない。多くの人の暮らし、子どもたちの将来などが関わってくる決断に、「いちかばちか」はダメです。橋下さんなどがバッサバッサと思い切ったことを言っていると、小気味よく聞こえるのかもしれませんが、私はそういうやり方はしません。

それに、企業経営の世界では、「改革は成長しているときにやれ」が鉄則です。後退期に入ってあわてて改革すると、いたずらに混乱し、後退しているせいでごまかしやフォローがきかず、そのまま倒産というのはよくあるパターンです。だから、企業が成長しているときが改革の好機なのです。その点からいっても、明らかにTPPはやるべき時期ではありません。かといって、改革をやらないのではなく、丁寧に、目標管理をしながら改革を進めると言う事です。弱っている人を治すには、少しずつ確実に物事を進める必要があるのです。これは、国の経済の立て直しと国の政策の改革もおなじことです。

また、私は日本の将来ビジョンとしては、海洋立国、技術立国を目指すべきだと思っています。海洋立国であるからこそ、よけいに、関税を安易に手放してはなりません。関税こそ、国の主権の一つであり、相手と自分をよく分析して上手に使ってゆくツールなのです。原則関税撤廃など、海洋立国にとっては、帆も舵もとられたようなものです。まさにこの関税の使い方こそ、国益をかけて、政治家や官僚の腕の見せ所なのです。

そうしたことを踏まえて、私は日米同盟を修復・強化し、経済連携については個別に協議を進める。そして、親日的な東南アジア諸国と経済連携、防衛連携を強化して、経済的にも、安全保障的にも、日本はアジアで最も頼りになる国家を目指すべきだと思っています。

一方で、農林水産業の保護育成は継続的にやってゆかなければなりません。日本の農業は、ただ単に食糧を生産すると言うだけではなく、食の安全や食文化として一家の団らんや経済の交渉を支え、緑の風景として日本の環境を支え、食糧自給率として安全保障を支えています。つまり、農家だけが農業政策を考えていてはなりません。全ての人に関わっている以上、全ての人が農業政策を考えるべきです。自分が一次的に関わらない事は考えないし、意見しないし、意見も聞かない、という姿勢では、日本の政治はよくなりません。

他分野も含めて、みんなでみんなのことを考える。その仲介役になる。これこそ、自民党が目指す「国民政党」のあり方だと思っています。だから、農家以外の人も農業を考え、自衛隊以外の人も国防・安全保障を考え、技術者以外の人も技術立国のあり方を考え、若い人も年金問題を考え、高齢者も子育て支援を考える。これらの思いの交わる場所に、国民政党である自民党、あるいは私が位置すればよいと思っています。

冒頭にも書きましたが、いよいよ選挙がスタートします。選挙戦に入ると、選挙カーや法定ビラ、ポスターなど「法に決められたこと」しかできなくなります。これは、金のあるなし、組織のあるなしに関わらず、できるだけ平等な選挙を目指すと言う点で、理解できる面もあるのですが、選挙においてはインターネットこそ最もお金のかからない、私たち新人(新人はだいたいお金がない)の武器であることから、やはり選挙のやり方、使える道具を抜本的に見直すべきだと思っています。

今回の選挙は、まさに国の命運をかけた選挙となります。この3年間の失敗を見て、もう風まかせの選挙、なんとなく流行りやムードに乗った選挙、根拠のない甘い話・聞こえのいい約束にだまされる選挙にしてはならないと思っています。こうなってしまったことには自民党にも反省があって、やはり外に立って、あるいはホームページなどで、自分たちの政策をもっとしっかり説明しておかなければならなかった。他党の根拠のない思いつきをもっと指摘して、国民に呼びかけなければならなかった。そういう意味で、政治活動において流した汗の量が足りなかったし、丁寧さや謙虚さにかけていたし、他党の政策の勉強不足だったと言う事だと思っています。

こうした点をしっかりと反省して、世代交代を進めた自民党、これからの日本を担う世代の私たちが、現実を見据え、将来を見通して、必要な政策を進めてゆかなければなりません。国民にも負担や努力をお願いしてゆかなければなりません。信念を貫いて、「それでもなお」と確信したものは、国民に理解してもらえるまで、訴え続けなければなりません。覚悟を持って、この選挙を乗り越え、日本の立て直しに奔走したいと思います。