滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)

2011年09月の記事一覧

2011.09.30 (金)

ザザシティ中央館再生へ

今日の新聞で、ザザシティ中央館(厳密に言うと、運営会社と再開発組合)が新たに再生に向けた動きを進めることになったと報道されていました。

このこともあって、マスコミを含めていろんな方から連絡があったので、私なりの考えをお伝えしておきたいと思います。

まず、報道によると、ザザシティを浜松の日管さんに売却するとのことで、このことについては本当に良かったと思っています。わけのわからない会社に買い取られたのでは、また同じことの繰り返しになるからです。日管さんなら、地元にずっと貢献してこられ、信頼も実績もある企業ですので、いろんな意味で安心できます。地元企業の中で、再生に協力する会社も多く現れると思いますので、私もしっかりと応援したいと思っています。

一方で、報道の切り口については、ザザを売るとか買うとかの視点しかなく、これは残念に思っています。今回の事件の本質は、誰が買うかとか、誰に売るかということではないからです。これは、情報源がそうだからそうなってしまっているのでしょうが、あくまで「地権者の視点・発想」でしかありません。つまり、ザザシティの下の地面を持っている人が「今度は誰が私に地代を払ってくれるのか」という事だけの話であり、多くの市民にとってはどうでもいい話です。関係があるのは20人程度の地権者だけです。

そんなことより、今回の事件、というか処理スキームにより、浜松市が融資してきた7億円以上の都市開発資金が焦げ付くことになります。つまり、一連の処理に伴って、浜松市民がその処理費用の一部を負担すると言うことになるわけです。このことのほうが、行政監視の視点からも、公共の福祉の視点からも、また多くの市民が関係すると言うことからも、最も重要な視点だと思っています。

さらに皮肉なことに、その責任を今の康友市長が負わなければなりません。康友市長はザザシティの開発を強行したわけでもなく、市民の税金7億円を投入したわけでもありません。むしろ、この5年間、どう処理するかに頭を悩ませ続けてきた事でしょう。市長である以上仕方がないにせよ、この点だけはどうも腑に落ちません。

もっと言うと・・・まあどうでもいい話かもしれませんが、私は康友市長が国会議員の時から応援しているので覚えているのですが・・・ザザシティがオープンした時に康友市長は国会議員でした。でも、ザザシティのオープンには招かれていません。もちろん他の議員は招かれています。野党だったからなのか、理由は知りませんが、オープン時に招かれてもいない施設が破綻して、結果として市民負担が7億も発生して、その責任を負わなければならない。もうこれは悲劇なのか喜劇なのかもわからないような、変な話です。

いずれにしても、この件については、しっかりとした検証が必要だと考えています。これはマスコミの皆さんにもお願いしたいと思います。いったいなんだったのかを市民に伝える必要があるからです。

問題の根本は、バブルの時に立てた再開発の計画を、バブル崩壊後も強行しようとした事です。もちろんやめるタイミングはたくさんあり、私も当時は浜松の市議会議員でしたので、折に触れて反対意見を表明していました。たとえば、ザザの6階と7階に入っているこども館。私の記憶が正しければ、5階のフロアと合わせて40億(くらい。資料が手元になく記憶を頼りに書いているので、違ってればお詫びしたいと思います)の金額で浜松市が買い取っています。ちなみに、地下1階から4階までの5フロアも、同じくらいの値段です。つまり、いかに高く市、つまり市民は買い取ることになったのか。これは理由ははっきりしていて、いわゆる「裏補助金」です。補助金は規定以上出せないのですが、それでは再開発は進まない。バブル崩壊で賃料は下がり、フロアも余る。そこで、余ったフロア、余るであろうフロアを市が高く買い取ることによって、事実上の補助金としているのです。一方市民の立場からすれば、無理な再開発をバブル崩壊後も続けようとしたために、多額の税金を一部の人たちのために使われたと言うことになります。

こども館は浜松の子どものために必要な施設だ、という人もいるし、確かにそうかもしれません。しかし40億の金があれば、保育園なら50くらいは作れるし、学校の教材を充実させたり、公園の遊具を充実させたり、同じお金でいろんな事が出来ます。どちらがいいかを聞けば、一目瞭然ですね。その選択肢を議論するのが政治のはずなのですが、私も反対意見を持ちながら止められなかった当時の力の無さを恥じていますし、市長選にも落選しましたし、大きな意味でも私にも責任の一端があると思っています。

また、ザザに追加資金を投入しようとして、市議会に否決されたこともありました。私も当時の再生スキームを見ましたが、追加資金を投入したところでザザシティの経営改善、赤字体質脱却につながらないような計画、さらにはザザ当事者の負担がないのに市民負担があると言うちぐはぐな計画でしたので、その旨の意見を申しあげました。いろんな議論の末に市議会は否決したのですが、このことで逆に組合は解散できなくなり、今に至っています。市の方も議会に否決されたことで思考停止に陥り、もっと良い案、当事者も応分の負担をする案を検討し、関係者への働き掛けや公開の場での議論を進めるべきでしたのに、市議会否決を機に無関係主義に進んでいったのです。

その後、新市長が誕生し、再生に向けてかなり頭を悩まされた事と思いますが、時すでに遅く、10年前に無理を承知で再開発を強行した時のミスを取り戻す事は既に出来なくなっていました。去年あたりから債務超過に陥ったと聞いていました。また、7億円の都市開発資金の返済開始が迫ってきました。去年から、「そろそろだな・・・」と思っていたのですが、いまだに処理がなされないので「よく持つな・・・」と思っていたところでした。ですから、報道を受けても驚く事はなく、「ああ、やっときたか」と思った次第です。

ただし、これからの処理の方が大変です。まだ今は「再生のためのスタートに立った」だけです。私も中小企業診断士の端くれですので大体わかりますが、どういう形で清算するにせよ、浜松市(つまり浜松市民)を含む債権者との調整も含めて、さまざまな困難が想定されます。しかも、長引かせるとどんどん資産価値がなくなってゆく。

廃墟と化した松菱のようなビルを、その横にもう一本作るわけにはいきません。再生を目指すと言う方向性が出た以上、私も微力ながら応援したいと思っています。

いずれにしても、どこかの時点で今回の事件の検証をしっかりしなければなりませんね。10年以上もさかのぼらなければなりませんが、逆に言うとそれだけの年月、私も含めて対応が出来なかった結果、10年かけて7億円の市民のお金をドブに捨てたと言う事です。市長一人の責任にするわけにはいかないと思っています。

報道関係の皆様にも、ぜひ市民に分かるように、よく取材して分析して、報道していただきたいと思っています。このような状況になった以上、できるだけ公開の場で議論して対応するのが道理だと思いますので。

2011.09.22 (木)

9月議会開会(搭乗率保証)

昨日9月県議会が開会しました。

9月議会は一般的に、国の予算が成立して、それをうけて各省庁がどの県にどれだけの事業を出すか、決めてきます。それを県として受け止めて、静岡県の独自性も入れてどう使うかを決めるために開くものです。もちろんそれ以外に、今年度の事業を進めてみての中間補正(増額・減額含めて)もやりますので、結果として補正予算の中では一番大きい規模の予算を組むことになります。

今回は特に震災対策などもありましたが、この9月議会の最中に国では第3次補正の議論をしていますので、どうも段違い平行棒のような・・・これまでの2次補正までの方向性と、3次補正の議論の両方をにらみながら議論するという・・・やりにくさもありますね。

この議会の報道を見ると、各社は「搭乗率保証の和解」と「天竜川下りの事故を受けた改善」を多く報道しているように見受けられます。もちろん他にも争点があるので、そういうことはできるだけ浮き彫りにしたいと思っています。

搭乗率保証については、私は今回の和解案を見て、「なるほど!」と思ったのと同時に、「こういう議論や提案を、本来はもっと前に県議会がすべきであった・・・。」と反省しました。

今回の和解案の内容は、要は「JALが撤退を表明する前の搭乗率保証分は全額払え。一方でJALが撤退を表明した以降の搭乗率保証分は払う必要なし。」というものです。数字の大きい小さいはありますが、内容はそういう事でした。

この問題に対し、議会はどう対応したのかというと・・・。最初は石川知事が搭乗率保証を議案で出した時には、自民・民主を中心に県議会としては賛成を決議しました。私は、「JALの空席に対して県民の税金からカネを払うのはおかしい」と主張して反対したのですが、蟷螂の斧でした。
しかし県議会として議決をしたので、私の力不足も含めて私を含む全議員が連帯責任を負っていると思っています。

その後、川勝知事に代わり、川勝知事は「県民の血税である以上、このようなものを払うわけにはいかない。金額の多寡の問題ではなく、カネの性質の問題である」と公言し、支払いを拒否したのです。私はこれについては、「議会が議決しているので難しいだろうが、良く戦っておられる」と思っていました。

知事が代わり、知事が姿勢を変えると、県議会の自民や民主も姿勢を変えました。知事は払う気がなかったので、今年の予算には搭乗率保証の支払いの金額を載せなかったのですが、自民も民主も修正動議を出すことなく、知事の姿勢を了として予算に賛成したのです。
もちろん、こうした会派の変節を批判する声もありますが、私は議員が姿勢を変えるのは悪い事ではないと思っています。時期や状況が変わる、あるいは考え直すということだってあるわけですから、自民や民主の姿勢を批判する気はありません。ただし、「考えを変えた理由は説明するべきだし、議事運営を工夫して各会派の説明責任を果たせないか」、ということを議会運営委員会で提案しました。(結果としては特に工夫はなく、各会派の考え方で議会審議を行うと言うことになりました。)

そうした事を受けて、今回は知事が和解をしたいと提案してきたのです。知事はこれまでずっと拒否してきたわけですし、1年間も戦ってきたのです。和解受け入れの決断は、軽いものではないと思います。実際に知事と電話で話した時、相当思い悩んでおられました。「県民の税金ですからね・・・それを預かる立場として、1億5千万の支払いを易々と決めるわけにはいかない・・・。」とおっしゃっていました。

知事は悩みに悩んだ上に和解したいとして議会に提案してきたのですが、その内容は先ほど申し上げた通り、「JALが撤退を表明した日を境にして、それまでの分は全額払え。撤退表明後は払う必要なし。」というものでした。私はこれこそ、今年の3月議会で議論すべき内容だったと思って、反省しています。

今年の3月議会、つまり予算を決める議会では、こうした建設的な議論や、今回の係争の内容を分析して、理詰めでもって必要な予算、納得できる予算の計上を提案するような動きはありませんでした。今回の和解案を見て、「ああ、議会としての仕事が出来ていなかった。私も提案の動きを取ればよかった。」と思いました。

議会はあくまで知事と独立した、県民に代わって議論し、政策提案し、修正し、賛否を表明する機関です。決して知事や県当局にぶら下がる機関でもなければ、ただの野次馬のように、外野から好き勝手な事を言う機関でもありません。

そういう意味で、私も多くの事を気付かされた議案ですし、今議会では私の考え方の総括も含めてしっかりと説明責任を果たせるような審議を進めたいと思います。

県民にたいしても、知事や県庁職員に対しても説得力のある議論を展開するよう努力し勉強しますので、また皆様からのご意見を聞かせてください。

2011.09.17 (土)

新結合とエコ

今日はいろいろ政策関係の相談や提案をいただきながら、市内を走り回っておりました。

そのなかで、驚いたり、気づかされたりしたのが、この洞穴。
これはJRがまだ国鉄だった時代に、国鉄佐久間線という、天竜二俣から飯田線の中部天竜まで結ぼうと建設がすすめられた路線の一部です。

昭和55年までは建設がすすめられたのですが、あいにく途中で断念。ここは、途中まで掘りかけたトンネルの一部です。ですから、1キロ先は行き止まりとのこと。

そこが今は市の資産になっているのですが、今は知恵のある方が市から借りて、ワインセラーとして活用されています。中に入れてもらうと・・・ひんやりしています。夏でもだいたい15度くらいとのこと。トンネルの向こう側が抜けてないと言うのが良いらしく、年中同じ温度が保たれているので、ワインの保管には最高の場所だそうです。

ワインは詳しい方から伺うと、特に高いものほど保管が重要になるそうです。中でも、温度と振動だとか。そういう点では、雰囲気も含めて最高の保管場所ですね。

浜松は、物流の可能性が非常に高い地域です。企業が日本に物流センターを置くにあたって、1か所とした場合、一日で届けられる世帯数が最も多くなるのが浜松周辺だそうです。2か所だと別の地域になり、3か所であればまた浜松は有利になるとのことです。

そうしたなか、来年には新東名が開通します。すると、この洞窟というかトンネルの跡地も、ひょっとするとワインの物流拠点になりうると思います。なにせ長さが1キロ。薄暗くてひんやりした洞窟です。幅の狭いレールを敷いて、トロッコを使って奥の方まで効率的に管理すれば、最高の雰囲気になりそうですね。

これらは、廃線のトンネルを高級ワインの冷蔵保管に使うと言う、新しい結合によって生まれた知恵です。いつの時代も、この「新結合」こそ、新しい発明の生み出す原動力となります。

さらに、電気を何も使わないのに冷蔵保管できる。計画停電も節電協力も関係ありません。また、良いワインにひとつの物語を付け加えてくれます。

こうした新結合から生まれる付加価値や、発想の転換から生まれるエコは、私たちのまわりの至る所に転がっていると思いました。新しい気付きをいただきました。

これからも、ただ街を歩くのにも、車で移動するのにも、そういう目でいろんなものを見てゆきたいと思います。ボーっと見ていても、新結合はひらめきませんので。

政策も、同じだと思います。常に問題意識、課題意識を持って、いろんな角度から眺め直してみて・・・新結合による新しい政策を創り出したいと思います。

2011.09.10 (土)

地熱発電所

先日、県議会の委員会視察で鹿児島県の地熱発電所に行ってきました。

ご存じの通り、地熱発電は火山国日本では非常に有望視されている発電方法で、特に九州や東北などでは開発可能な発電所です。実際、東北や九州には天然の温泉がたくさんありますしね。こういう風情のあるところが発電に適しているようです。

写真は、霧島で行われている地熱発電の施設です。NEDOから、地熱発電ということで補助金が出ているのですが、実際には温泉発電です。
厳密に言うと、ちがうらしいですね。温泉発電は、既存の温泉の水路から余分な熱を取り出して(つまり、100度で出てきた温泉を実際には45度くらいで使うので、55度分が余分な熱)、これを発電に回すという考え方です。
一方で、本物の地熱発電は、温泉の層よりもさらに深く穴を掘り、さらに高温高圧の蒸気を取り出すもののようです。実際に、霧島では九州電力が本格的な地熱発電を展開しており、こちらは30000キロワット。今回見に行った、温泉発電的地熱発電は100キロワットです。規模が全く違うことが分かりますね。

しかし、じゃあどちらが静岡で実用可能かというと・・・これは温泉発電です。静岡には、伊豆を中心に豊富な温泉がたくさんあり、この余熱を利用して発電が出来れば、計画停電も怖くないし、またこれが観光になると言う可能性も秘めています。

いまもどんどん技術が進んでいて、私が個人的にお世話になったOBがいる富士電機さん(浜松にもゆかりがあります)が積極的に開発しています。水よりも低沸点のペンタンとかブタン(家にプロパンガスってありますね。これと似た組成の有機物です。)を使って、低温でも蒸気を作りだしてタービンを回す、バイナリー発電がもうすぐ実用化されるようです。私はかつてアンモニアを使うと聞いた事があります。ペンタンやブタンは可燃性があり、アンモニアは爆発の危険があると言うことで、一長一短のようです。
いずれにしても、こういう水以外の物質に熱を伝え、その物質の特性を利用してタービンを回す発電をバイナリー発電と言います。水の経路と発電媒体の経路が二つあるので、バイナリーなんですね。
(ちなみに、原発で同じような事をやると、PWRという発電方式になります。浜岡をはじめ日本で多く利用されているのは、BWRという1系統のものです)

私たち県としても、この将来性に注目して、県の企業局で温泉発電の実験を今年から始めようと思っています。何とか実用化にこぎつけて、伊豆地域の発展やエネルギーの確保、新しい観光要素の開発と地域企業の振興に役立てたいと思っています。

所で話は変わりますが、さきほど鉢呂経済産業大臣の辞任が報道されていました。
いったい何をやっているのでしょうか?
今の日本の状況をみると、最も大事な分野である経済産業の、日本の責任者です。
そもそも就任された時から、私は「鉢呂さんで大丈夫なの?本気で日本の経済を再生するがあるの?」と思ったのですが、ひどいことにというのか、良かったことにというのか、経済政策とは全く関係のない失言で失脚されました。

大臣になって嬉しくて浮かれていたのでしょうか?やっていることは、まるで小学生です。
そのあとの言い訳も見苦しい。

本当に、今の国政は人材が枯渇しているのでしょうね。日本で最も貧困が進んでいるのは、政治の世界です。その政治の世界で「若者の貧困化」だの「格差社会」だの・・・そんな事を議論できる立場なのか?と言いたくなりますね。

いずれにしても、辞任されたのですから、次は本気で経済再生、来たるべき時代の勝ちぬけるような日本の経済構造を作り直せる、変化させられる人物を大臣に任命していただきたいと思います。
ダーウィンの進化論じゃないですが、勝ち残るのは強い経済・強い企業ではなく、変化できる経済・変化できる企業だと思うからです。

私も今は県議会におりますが、研鑽を進めて、皆さんの期待にこたえられる政治人材に成長できるよう、全力で頑張りたいと思います。

2011.09.05 (月)

石炭火力発電所

先日、中部電力の石炭火力発電所を視察してきました。
これは愛知県碧南市にあって、中部電力唯一の石炭を使った発電所です。

ご存じの通り、石炭発電は今のところ、原子力発電所と並ぶ最もコストの安い発電方法の一つです。
原発については、特に安全性に課題が出ており、さらには使用済み燃料や放射能を浴びた構造物の処理など未解決の問題があることは皆さんご承知の通りです。これを解決する事はコストにつながり、再計算すると、価格的には石炭が一番安い発電になると思われます。

しかし石炭にはCO2という課題があります。最もCO2をたくさん排出する発電方法なのです。かつて鳩山総理がCO2排出削減を高らかに宣言して以来、 CO2削減が産業界の重要テーマになったことで、石炭発電は肩身の狭い思いをしてきました。しかし3.11のあと、CO2?そんなことより安全性と、安定 的な電源の確保だろ!という意見が主流になり、さらに日本の競争力低下が懸念されることから、低コストで発電できる石炭が再評価されつつあるのです。

石炭発電所は、そのコストと燃料確保の安定性から、原発と同じく電力のベース部分を受け持っています。つまり、24時間連続で発電して、基礎的な電力消費 に対応しているのです。そして、昼間に伸びる部分については、LNG火力や石油火力、水力が対応すると言う構図になっています。つまり、原発が止まってい る今、原発と同じ機能を担う石炭火力の重要性が増しているのです。

そうした中、私には狙いがあって、石炭(あるいはLNG)の火力発電所を静岡に設置できないかと考えています。原発が止まっている今、静岡県は電力のほと んどを他県に依存しています。これでは、産業県として、あるいは日本のなかでも雄県として認められてきた静岡県として、十分な責任を果たしているとは言え ません。仮に今後も浜岡が止まり続けるとすれば、当然、代替電力を確保する責任があります。そもそも、静岡県には火力発電所がなく、浜岡がフル稼働してい る時でも電力を大量に輸入していたのですから。

その候補が清水港です。清水港には中部電力がかつて火力発電所を設置しようとした場所があります。しかし、かつては石炭火力の環境対応に疑問があったため、県の意向で中止になりました。

そこに、現在中部電力は「メガソーラー」を設置しようとしています。メガソーラーとは、広い敷地に太陽光パネルを敷き詰めて発電すると言うのですが・・・私はこれには、
「そもそもソーラーのメリットは、住宅などに小分けにできる事と、屋根などに設置できること。広大な土地は他に利用価値があるので意味がない。平時なら、 そういうパフォーマンスもいいかもしれないが、今や寝ぼけた事を言っている場合ではない。原発を再稼働できる状況にないので、安定電源をどう確保するか、 真剣に取り組まなければならない」と発言し、メガソーラー設置には反対しています。

そもそもこのメガソーラーでどのくらい発電できるのか。中部電力の資料によると、一年間に発電する量は840万キロワット時で、これは・・・浜岡原発5号 機なら6時間、碧南石炭火力全体なら2時間で発電する量と同じです。つまり・・・発電所というより、誤差の範囲のようなものです。

私は、電力というのはひとつの方法に依存するのは大変危険で、それぞれの長所を生かした発電ミックスが望ましいと思っています。そういう視点では、メガ ソーラーは、聞こえがいいだけで短所が浮き彫りにされる発電なんですね。これにかかる40億の費用は、いずれ私たちの電気料金に転嫁されます。パフォーマ ンスのためにそんな費用を使っていいのか、そういう意味でも、真剣に議論しなければなりません。

それからすれば、やはり清水の広大な敷地は火力発電所がふさわしいと思います。石炭は粉じんや排気の問題が心配なのですが・・・当然ですが、昭和の時代か ら技術は進歩しており、日本の最新技術と繊細な管理で、粉じん問題は皆無とのこと。もちろん排気も徹底的に管理されており、地域に影響が出ることはないと 思われます。

とはいえ、環境アセスメントはしっかりやらなければならないので、急いでも5年程度はかかるのではないでしょうか?そういう点でも、早く意思決定をし、先手先手を打って行かなければなりません。

今後もう少し調査・研究を進めて、県の産業力を安定的にするためにも、安定電源の確保に貢献するためにも、さらにはポスト浜岡の発電所を確保するために も、県内に火力発電所の設置を進めたいと思っています。県政は地味ですが、仕込んだ政策は確実に地域の力になります。これまでも、政策の実現にこだわっ て、大小いくつもの政策を形にしてきました。これからも、近い将来を見据えた政策を作り、その実現にこだわって活動を進めてまいります。

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