滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)

2012年03月の記事一覧

2012.03.22 (木)

静岡の物流政策

今日は、ふじのくにロジスティックスシンポジウムがありました。

これは、来年度から輸送・物流産業を静岡県の企業誘致の対象とすることに伴い、多くの県民や県内企業の皆様にお知らせをし、議論をしてもらおうと開催したものです。

これまで、静岡県の企業誘致は製造業のみを対象としたものでした。私は製造業出身であることからも、県内産業が製造業のみに頼る事のリスクを感じていたので、3年前から「製造業以外のジャンルも企業誘致の対象とすべき。まずは地の利を生かして輸送・物流産業を。」と政策提言し続けており、ようやく実を結んだ政策といえます。
その点で、達成感や充実感はあるし、県当局も良くやってくれたと思っています。ただ、これで終わりにしてはならないと思っています。静岡県の企業誘致の政策には、他にも多くの課題があるのです。

たとえば、企業が資産を持たない経営に変化しつつあること。今の静岡県の企業誘致の制度では、所有者と使用者が異なる場合、補助が出来ない仕組みになっています。製造業が中心の時代、あるいは企業は資産を持つのが当たり前の時代から、今は変化してきています。特に物流の業界は変化が速い。そういうことに対応できるよう、制度の細部を見直してゆきたいと思います。

それから、製造業を含めて、中国やアジアの台頭が著しいことから、国内企業を付加価値の高いものに集約し、高度化して作り直して、生き残りを図ることが今後は増えるでしょう。こうした、新規事業所をつくるものの、それが縮小均衡の場合は補助の対象になりません。いまだに右肩上がりの幻想を持っていて、拡大して従業員が増えることが前提条件になっているのです。

私は製造業に携わっていた経験があり、その後も会社や関連企業と付き合い情報収集をしているので、よけいに製造業の難しさを肌で感じています。どの会社も、どの社長さんも、必死になって生き残りをかけて仕事をしています。その姿勢を見ると、政治や行政が涼しい場所できれいごとを言っていることに、罪悪感を感じるほどです。

これからは、静岡の産業を絶やさず残すためにも、また高付加価値化を進めるためにも、現実を直視した政策が求められています。分かっている人はいるのですが、キレイ事だけを述べ合う議論になったり、現実離れした、正論に見える机上の空論を持ちだされると肩身が狭いため、なかなか政策修正が進まないのが現状です。

しかし、静岡の産業の未来を見通すと、そうは言っていられないので、これからも冷静に、現実に即して議論を重ねて、地域の産業を残し、発展させる戦略を組み立ててまいります。

政府は増税の話ばかりで、何の景気対策も打っていません。苦しい状況ですが、文句を言えば倒産を免れるわけではないので、地元企業と一緒になって生き残りのための政策を進めてゆきたいと思います。また皆様からのご支援をよろしくお願いします。

2012.03.17 (土)

結局、副知事議案は否決

昨日の2月議会本会議最終日、結局は副知事選任議案は否決されてしまいました。

当日の議事進行も変更に次ぐ変更で・・・こんなに何度も議運が開かれるのは、あまりありませんね。
会議時間も延長して・・・私も討論に立ったのですが・・・結局は自民改革会議の姿勢は変わらず否決でした。

何ともむなしいと言うか、力が抜けた議会でした。私たちは何とか可決してもらおうと頑張ったのですが、力が足りませんでした。これは、本当に反省しなければなりません。議会が閉会したのは夜7時、その後事務処理やら報告事項やらがあって、議会を出たのは夜9時でした。密度の濃い一日でしたので、どっと疲れました。

何と言っても、人事でもめたと言うのが一番問題です。県庁で働く6000人の職員の中にも動揺が広がった事でしょう。こうしたことが積み重なると、知事を はじめとする県庁トップや、議会に対する信頼感や求心力が低下します。トップや議会のやる気や情熱があれば、県職員は寝食を忘れて働いてくれます。しかし 逆だと、6000人全体のやる気が低下してしまうのです。

この混乱を早期に収拾しなければならないと言う思いは、私たち川勝知事を支える立場の議員も、自民改革会議の皆様も同じです。この否決を機に、しっかりとなりを直して、前向きな議論が出来る環境整備に力を注ぎたいと思っています。

そうしたなか、早速知事側も動いてくれまして、3月中に臨時議会を開催する運びとなりそうです。おそらく30日になると思われます。そうすると、23日に 議会運営委員会となりますので、それまでにしっかりと対話を重ね、信頼関係を再構築する必要があります。仕切り直すための時間はそう長くありません。祝日 も入るので、実際の稼働日は3日間となります。

いずれにしても、4月からの来年度に悪い影響を引きずらないようにするため、3月のうちにしっかりと処理しておかなければなりません。

「話せばわかる」は、私がいつも肝に銘じている言葉の一つです。自民改革会議の議員さんたちも、望んでやっているわけではありませんし、浮かれたり嫌がら せでやっているわけではありません。県政を良くしたいと言う思いは同じなのに、ちょっとしたことで歯車がかみ合わなかっただけだと思っています。丁寧に対話をすれば、十分解決できることだと思っています。私も限られた時間の中で、一人でも多くの自民改革会議の議員さんと対話をし、理解と協力をお願いしてゆこうと思ってい ます。

2012.03.15 (木)

岩瀬副知事が辞任

今日は午前中に、議会運営委員会で本会議最終日の進め方を決めていたのですが・・・午後になって岩瀬副知事が辞任するとの連絡が入りました。

「はあ?そんなのダメだ!絶対に止めないと!」と思い、形相を変えて知事公室に飛び込んだのですが、職員に制止されてしまいました。そこで返す刀で副知事 室に乗り込んで、岩瀬副知事をつかまえて、辞任を取り消すように説得したのですが・・・残念ながら、私の力では止められませんでした。

いきなりこの部分を読んだらわけがわからないと思いますので、今議会における副知事人事の審議の流れを簡単に説明すると・・・
1.知事はかねてから、地震・津波・原発対策や新東名周辺開発など県政の重要課題が山積しているので、副知事は3人にしたいと言っていた。ちなみに条例上は定数は3人。
2.しかし、自民党系の会派、自民改革会議は、行革を進める観点から、3人にすると費用が3000万円も余計にかかること、さらに昨年末に大村副知事を国 に帰した際に「一人でもやれる」と知事が発言したことから、いきなり3人は認められない。2人なら認めると牽制していた。
3.そこに知事が、「根回しや取引はしない」として、自民改革会議との事前協議もなく2人目、3人目の副知事案を提案。自民改革会議は反発。
4.委員会審議の結果、所管委員会では自民改革会議が過半数割れしているので、民主系・公明党・無所属の賛成多数で可決。
5.本会議では自民改革会議が過半数を占めているため、否決される見通し。その際自民改革会議は、「2人の副知事に優劣はつけられない。否決されるのを分 かっていながらあえて提案した知事への再考を促す意味で、2人とも否決する。出直すべきだ。」としていたので、2人とも否決されることが見込まれていた。
6.本会議最終日、つまり採決の日を翌日に控えた今日、突然現職の岩瀬副知事が辞任。副知事が空席になったので、自民改革会議は2人までなら認めると言っているので、副知事人事案が可決される環境が整ったことになった。
というわけです。

私は岩瀬副知事にあって、
「チーム川勝として議案を出したのだから、このまま一丸となって進むしかない。土壇場になって協議を求めてもダメだ。協議の申し出は、採決を見てから打つ のが筋だ。途中でやめたり、これまでの主張を変更したら、いままで必死で支えてきた民主や公明、無所属の議員たちははしごを外されることになる。それまで は苦しいだろうが、辞任してはダメだ。」
と言ったのですが、
「先生、これまでずっと引き止めてくれたのはありがたいが、私の後輩が目の前で否決されるのを見てられない。3月や4月に臨時会を開いても、このままでは事態を打開できない。私が辞めるしかない。」
と返されたので、
「いや、後輩の立場にもなってもらいたい。岩瀬さんが腹を切った後の椅子に、大須賀さんが座れるわけがないだろう。県庁の組織を壊しちゃいけない。表に出 ていないが、自民改革会議の幹部だって、妥協案を探ろうとしてくれているんだ。もう少しの我慢だ。5月までにはきっと打開できる。」
と言ったのですが、
「二人の後輩は、そんなにやわじゃないですよ。県庁の組織はしっかりしています。私の事を思うなら、先輩面させてください。議案を通してもらうことが、今 の私にとっては一番ありがたいことなんです。知事はよく私を2年も使ってくれました。与えられた立場でできることを、全うさせてください。」
と言われました。私もそれ以上は言葉を継げず、説得を断念しました。

聞くところによると、自民改革会議の幹部も、「岩瀬の思いはよくわかった。そこまで決意しての行動なら、犬死にさせるわけにはいかない。」という武士の情けで、辞任を受け入れ、議案に賛成すると伺っています。

それにしても・・・予想していた中で最悪の結果です。わたしはかねてから、人事を政局にしてはならないと言い続けてきました。かつて国会においても、サブ プライムローンの問題が拡大している中、当時野党であった民主党が日銀の総裁人事を政局に絡めて空転させ、日本の経済に大きなダメージを与えたことがあり ました。これは、民主党出身の故・西岡参議院議長が、やってはならないことだったと深く反省しておられました。

同じことが静岡県議会でもおこったのです。結果として、岩瀬副知事を辞任させると言う、知事も、どの議員も求めていないような結論に行きつくことになりま した。結果として、根回しも取引もしないと言っていた知事は、副知事の首を取引に出したと言うことになってしまいました。失敗も犯罪も犯していない部下の 首を差し出すと言うのは、組織の運営上、絶対にやってはならないことです。

なぜこんなことになってしまったのか・・・知事の無策を責めようと思った瞬間もあるのですが・・・私も知事を支える立場の議員として無力であった、働きが 不十分であったと言わざるを得ません。おそらく知事も孤独だったのでしょう。勢いよく進んではみたものの、打開策が見えず、支援する立場の議員の動きも見 えず、疲れもたまっているところに岩瀬副知事が辞任したいと言ってきて・・・とっさに止められなかったのかもしれません。

ですから原因は・・・と言われれば・・・これは、経済学のゲーム理論でいう「非協力ゲーム」を進めてしまった事としか言えません。非協力ゲームは、「囚人 のジレンマ」といえばピンと来ると思いますが、お互いが非協力状態のままゲームというか、やり取りを進めると、結果としてお互いが望んでいない結果で均衡 してしまうと言うことです。この均衡状態をナッシュ均衡と言います。

知事は経済学者で、このことを重々承知しているにもかかわらず、非協力ゲームを進めてしまい、ナッシュ均衡の罠に落ちたと言う事です。もちろんこれは、自民改革会議も同じ事です。決して望んでいた結論ではなく、自民改革会議も大きなダメージを受けました。

これからは、この非協力ゲームを、協力ゲームに変えてゆかなければなりません。ナッシュ均衡に陥るのではなく、パレート最適と呼ばれるWIN-WINの状態を目指してゆかなければなりません。

そのために、決定的に欠けていたのは、対話です。根回しと言うと、なにかイヤらしく聞こえますが、それは対話と同義語です。対話と言えば、さわやかで堂々としたものに聞こえます。

今回の事件の教訓を生かすとすれば、これからは議会との対話、議員との対話、県民との対話、経済界との対話を重視した県政を進めてゆくことに尽きると、私も反省しました。

あす、本会議で採決があります。私は討論に立つことになっています。今日書いたような反省に立ち、しっかりと討論して、一歩成長する議会を創り上げてゆきたいと思っています。

2012.03.06 (火)

三遠南信道が開通


先日、三遠南信道の一部区間が開通し、その記念として行われた自転車走行会に参加してきました。

当日はあいにくの雨で・・・と言っても小雨でしたので、特に気にせずに走ることができました。
アクセルを踏んで走ると気付かないんでしょうが・・・自分の足で登ってみると、上り勾配は結構な坂です。しかも自動車専用道路ですから、長い下り→長いのぼり・・・というふうに続くので、予想以上に大変でした。

三遠南信道は、ご存じの通り、途中で計画が変更になって、特に浜松北部の区間が「現在ある道を拡幅して対応」となりました。これ、安全上大丈夫なのでしょうか?私は大いに疑問を持っています。

というのも、高架道路区間は80キロ、あるいは現実的には100キロ前後で走ってくる事でしょう。それが佐久間に入った途端、いきなり下道になる。しかも 現在の道というのは・・・ぐねぐねです。どんだけ拡幅しても、限度があるでしょう。すると、曲がり切れなかったりして・・・あのあたりだと谷底や川の中、 ということになりかねません。そういう意味で、非常に中途半端な整備方針です。これは、是非見直してもらいたいと思っています。

今回、一部区間が開通しましたが、これが本格的に効果を発揮するのは、第二東名が開通する4月14日以降でしょうね。これまでにないほどの長い距離が一気に開通するので、私も楽しみにしています。開通したらすぐに走りに行ってこようと思ってるくらいです。

第二東名と言えば、以前から開通が分かっていたので、私は1期目の時から「第二東名の開通に合わせて、インター周辺整備のための都市計画や農用地利用計画 の変更を市町村と協力して進めるべきだ」と言い続けてきました。しかし当時は「まだ先の話だし、土地利用はそう簡単にいかない」という固定観念を打ち破れ ず、政策提言が実りませんでした。

そうした中、この手のことについては天才的な川勝知事が「内陸フロンティア」という分かりやすい造語を発明し、県政の主要政策に位置付けてくれたおかげ で、一気にこの話が進むことになりました。知事はどうやら第二東名しか目に入っていないようですが、私が主張してきたのは第一東名も含めてです。実際に、 第一東名のインター周辺は土地利用が規制されており(具体的には、浜松インターは北半分が開発不可、浜松西インターは周囲全部が農地で開発不可)、こちら も含めて対応が必要なのです。

よく言われるのが、「農地転用をしやすくしてほしい」という事ですが、私はこんな程度の事では解決にならないと思っています。むしろ、思い切ってまちづく りのグランドデザインを書きなおす事です。個別の農地転用を重ねては、これは高度成長期の浜松が悪い例で反省点でもあるのですが、バラバラのまちづくりに なってしまいます。都市インフラを計画的に整備できず、結局まちの経営が非効率になり、行革の効果も出にくくなります。これは、企業において事業所や生産 資産がバラバラに配置されているのと同じことで、節約で対応しきれないほどムダが出てしまうと言うことです。

それに対して、私は県土利用や市の土地利用のグランドデザインを書きなおす作業をしたいと思っています。新しい時代に合わせて、どこを開発し、どこを農地 として保全するのか。またどこに道を通し、どこに社会資本整備を集中させるのか、ということを書きなおすのです。これはまさに、高度成長期を迎えるころ以 来の、大きな変革であり、地域の投資の呼び水となる大きな政策展開になります。

川勝知事は本気で「内陸フロンティア」を形にしようとしていますので、私もこれまで温めてきた政策をどんどん出して、21世紀のふじのくにづくりに積極的に関与しようと思っています。

来年度予算では、以前から主張してきた「企業誘致の規制緩和」、とりわけ「物流事業への拡大」を実現することができました。かねてから輸送業界、物流業界 の方々との意見交換を通じて、静岡県の物流面での可能性を確信しておりましたので、政策提言を始めてから3年ほどかかりましたが、ようやく形にすることが できました。今回の予算では総額22億円の計上となりましたが、あいにく東日本大震災があり、静岡県経済も低迷している中ですので、以前ほど投資意欲がな くなっていると思われます。いまいちど周知徹底して、ぜひ民間の皆様、物流業界の皆様に活用してもらいたいと思っています。

昨日までで本会議の審議が終わり、明日から委員会審議となります。
平成24年度の静岡県の政策の方向性をしっかり議論し、皆様に成長を感じてもらえるような政策を打てるよう、全力を尽くしたいと思っています。

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