滋賀1区(自民党) 大岡敏孝(おおおか としたか)
2012.11.23 (金)

原子力政策について

今日は原子力政策について、私の考え方を書こうと思います。

実は、この分野に関しての私の意見は「脱原発ではない」ということで固まっているのですが、支援者の中には「原発を争点にすべきではない。脱原発と言っても、脱原発ではないといっても、自民党支持者を二分する。」という声がけっこうありました。

確かに、民主党はバラバラで、一部候補はオモテでは30年代に脱原発と言いながら、支援団体には「選挙が終わったらうまくやります」と二枚舌を使っているようですし、維新の会は脱原発だの容認だのとブレています。その点では、共産党ははっきりしていますね。

そんな中、あるスタッフが、「ひとつひとつの案件に関する考え方を伝えることは、政治家になるっていうときの一番大事な部分だから、選挙を気にして、支持者の心配を気にして、発言を遠慮する必要はないよ。選挙は選挙で、俺たちがしっかり組み立てるから。」と何気なく言ってくれたので、少し安心して、今の自分の考え方をはっきりと書かせていただきます。

私は「脱原発」ではありません。確かに、福島第一の事故を見れば、誰だって心配になりますし、「原発を全部廃炉処理しても十分やっていける。今ある原子力ゴミも全部処分できる。」と言えるのなら、それに越したことはありません。誰だってそう言いたい。しかし現実はそうではないのです。この理想と現実のすき間を埋めるのが、まさに政治家の仕事だと思います。

私はまず、「原発仕分け」をするべきだと思っています。今回の原発事故の分析を進め、新しい基準、しかも最新の知見を集めての基準をつくって、そして「危ない原発は止める。安全な原発は回す。」という作業を粛々と進めるべきだと思っています。いま、点検を終えて、燃料棒を入れた状態で止まっている原発がたくさんありますが、新基準に照らして安全であれば回せばいいと思います。新基準に満たないのなら燃料棒も抜いて廃炉処理に進めば良い。きわめてシンプルな事です。

一方で、民主党政権が「電力不足の危険」をタテに、新基準もつくらず、規制委員会もつくらずに大飯原発を再稼働させたやり方には、明確に反対です。これは「安全だから」回したのではなく、「電力が足りないから」回したことになります。そうなら、電力が足りているいま、すぐに止めなければならないと言う理屈になります。原発事故が発生した時から、「新たな基準が必要」と言われ続けてきたのに何の仕事もしないで、夏をまえにして急に「電力危機だから、停電か再稼働か選べ」なんていうのは、単なる「出たとこ勝負」で、政府のやることではありません。本当にひどいやり方でした。私たちなら、早急に新基準を策定し、それに照らして合格なら、大飯だろうが泊だろうが回せばいいし、不合格なら回させない。それが、本来のやり方だと思います。

私はそもそも、みなさんが「脱原発」になるか、「脱原発ではない」になるかの分かれ目がどこで出るのかと言うと、三つのポイントだと思っています。

一つ目は、「科学技術の進歩や未来を信じられるかどうか。」 二つ目は、「経済の重要性をどの程度重くとらえているか。」 三つ目は「外交・防衛・安全保障とエネルギー資源の関係をどうとらえているか。」です。

一つ目はわかりやすいですね。「科学技術の進歩によって今の原子力を制御できる技術を持てる、あるいはより安全な発電方法が見つけられる」、と思えば、原子力研究を進めるべきですし、それは無理だと思えば、脱原発となります。しかしここで忘れてはならないのは、すでにある原子力ゴミの処分です。この処分のために、さらに進んだ技術も、処分のための費用も必要です。いま原子力をやめれば、ただちに技術はすたれ、財源も確保できず、原子力ゴミの処理はとん挫します。仮にもんじゅなどの再処理に成功できれば、今の原子力ゴミの半減期24,000年が、100年に短縮されるのです。やっと、今の世代で責任の負える年月になるのです。そうした責任を全うするためにも、原子力研究は続けなければなりません。そのためには稼働できるものは稼働させなければなりません。なぜなら、商業化することこそ、技術の進歩にとってもっとも重要な要素だからです。自動車がなぜここまで進歩したか、それは商業化されているからです。携帯電話の進歩を20年前にここまで予想できたか。目覚ましい進歩は、商業化されているからです。利益が生まれ、競争が生まれ、投資が生まれ、人材が投下されるから、技術が進歩する。これは、あらゆる分野の技術について、私たちが経験してきた「進歩の摂理」です。

ここで、「ゴミの処理方法も決まっていないのに、生産を始めたのはけしからん」という方がいるかもしれません。しかし、実は考えてみれば、あらゆる商品はそうなんです。ごみ処理の方法なんて考えないままに、商品はつくられてきました。クルマも、今は100%リサイクルしていますが、昔は適当にバラバラにして、多くをそのまま捨てていました。エアコンも冷蔵庫もテレビも、リサイクルの態勢が出来たのは最近です。その他のもの、家具とか、スポーツ用品とか、食器など、いまでもそのまま埋めています。残念ながらそういうもんなんですね。自動車や家電4品目が経験してきたように、商業化が進み、技術が進み、財源負担の仕組みが出来たら、やっとリサイクルできる。モノをつくる技術よりも、モノを最終処理する技術の方が、高度なものが必要だと言う事なのかもしれません。

二つ目は、多くのことが論じられています。私は、とりわけ今の日本にとっては、経済的な側面は重要だと思っています。1,000年に一度とか、10,000年に一度の地震をおそれ、マグニチュード10が来るかもしれない、11が来るかもしれないといって、今の経済を犠牲にするのは、意味があることなのでしょうか。経済は暮らしに直結しています。それこそ、経済がどんどんダメになれば、教育も福祉も医療も削減せざるを得なくなります。原発で死ななくても、経済や福祉のダメージで死ぬかもしれません。そこまでして、さらに想像を超える大災害を恐れて、安全性が確認され、活用可能なのに使わない、これこそムダです。安定した安価な電気、質の高い電気をしっかりと供給して、日本の産業、日本でしかできないような、高度なモノづくりを支えるべきだと思います。

三つ目は、これも重要な観点ですが、外交・防衛・安全保障上、本当に日本のエネルギーを石油・ガスに大きく依存して良いのか、と言う視点です。

振り返ると、いったいいつから国はエネルギー問題を抱えるようになったのか・・・それは、当たり前ですが、産業革命からです。産業革命は、エネルギー革命でした。最初のエネルギーは何かと言うと、石炭でした。このころは、日本は資源大国だったのです。日本のいろんなところを掘れば、良質の石炭がどんどん出た。船はよく走った。資源の事を気にせずに、どんどん石炭を使えたのです。これで日本海海戦に勝ったと言う説もあるほどです。

しかしその後、石油が石炭にとって代わりました。これは衝撃的だったのです。船は早く走る。クルマや飛行機にも使える。石炭で飛行機は飛ばせませんが、石油なら飛ばせる、ということですね。この瞬間、石油が出ない日本は、資源のない国に転落し、その後石油やくず鉄を止められて、悲しい戦争に走ってゆくことになります。ことほど左様に、エネルギーと外交・防衛は密接にかかわっています。

そして戦後登場したのが、原子力です。石油を持たない日本は、これに飛びつきました。これは過去の経験があったからです。原子力なら純国産エネルギーとして活用できる。石油やガスのように、中東の政治情勢に依存し、ホルムズ海峡からインド洋を数珠つなぎになって日本に運搬し、備蓄しなければならない・・・どこかで何かがあると、日本はたちまち干上がってしまう・・・これは戦争を経験した方々だからこそもった危機感なのでしょう。実際に、いまの石油やガスの備蓄は、国家備蓄と民間備蓄を合わせて、ガスで3カ月、石油で6カ月です。たったそれだけの期間しか、日本は持ちこたえられないと言う事なのです。

以上のような考え方から、私は「脱原発ではない」という結論になりました。ただし、徹底した安全確保を前提としています。まさにこれは、日本が一番得意とする部分だと思っています。

私はかつて、原子力規制庁をつくるとか、規制委員会をつくるとか言いながら、なんにも前に進まない時から、「原子力において世界トップの国は、日本、アメリカ、フランスだ。すでに日本の閉鎖的な原子力ムラに対する国民の信頼は失墜した。だから今回、アメリカとフランスから最高の技術者を招へいし、日本のトップ技術者も入れて、日米仏の英知を結集した世界最高の原子力機関を作り、そこでの議論を経て最新の基準をつくるべきだ。原子力事故を経験し、それを乗り越えようとした日本の基準が世界の基準になる。」と言い続けていました。

いまでもその考え方は変わっていません。世界の人口が増え、貧しかった国が豊かになり始めると、世界的にエネルギーが不足することは明らかです。たしかに風力とか太陽光とか太陽熱とか、積極的に開発は進めるものの、大容量、高品質、安定性など高度な産業で利用できるものは、現時点では、原子力に頼らざるを得ないのが事実です。だとすれば、日本の最高の英知が原子力に挑戦をつづけ、原子力を克服する事は、世界の希望でもあります。

私は、日本人ならきっとやれる!と信じています。

コメント1件

  1. - 引越くん

    引っ越してきて大津から投票するのは始めてになります。
    大津は共産系支持者が多い事もあり、意思を託せる意見代表者がいないと印象を持っていましたが、今回過去のブログを見た上でまっとうな保守意見を持った者が見つかって安心です
    (その意見通りの実行力があるかはまだ審議中。政見公約をわざわざ持って回ったマニフェストという言い方でじいさんばあさんを騙した連中もいましたので)

    原発についてもその通りでいいと思います。
    むしろテレビなどの原発反対、危険だから!とかtpp賛成反対!とかの一向に中身がないアホな議論に食傷しているので
    はっきり具体的にエネルギー自給率果たして原発なしで足りるのか?それを補うために国力が下がらないか?温出効果ガスは目標達成できるのか?核なし大陸間弾道なしなで日本国民を守れるか、と。
    こういう国民の意見を誤らせる事はスイス政府が配る本では「最も安上がりなプロパガンダ方法」ですが、
    リアルな中身で議論できる(する)まともな考えが圧迫されているなかどんどん理説を述べるべきです
    ま、意見のすり替えで
    原発事故があった時真っ先に音信不通になった小沢筆頭に危急の際に逃げまくる連中の責任転嫁です
    有権者として、食料自給率、エネルギー自給率は百を超える事は絶対必要な国策だと断言します。
    戦前の記録からしても(人種差別との戦いだったとも言えますが)全ては資源の不足です。
    この前のレアアース騒動を見ても簡単に危地に陥ることがわかりましたし、(がんばったら中国97パー依存から二年で多角化できましたねすげぇよと思います)そうしていって貰いたいと思います(が、中露韓と油源共同開発とか笑えないギャグは止めてくださいね)
    同じくtppについても過去ブログを見ました。
    これも自給率の問題、っつーかはっきり言って特に対アメリカに関しては姿を変えた奴隷制ですがなぜわかりやすく誰も言わないのか言えないのか歯痒く感じます。
    カナダの事例やラチェット条項は知っていると思いますが極論すれば資源に関する契約されてしまえば日本人を餓死させられるものです。(水源を買う契約を交わす→アメリカからしか自国の水買えなくなる→値段急騰される、のコンボ)
    絶対反対にして可決させないでください
    人権擁護法案もおなじく。

    ながながまとまりなく書いたものですが、保守といえる意見代表者があなたしかここではいないのです。
    なんとかここで踏ん張らないと現状維持すらできない岐路に日本はありますし、数年後中国日本自治省になってチベットと同じ悲惨な運命を辿るか、内部から朝鮮化されるか。
    ブータンのように領土を徐々に奪われていくか。

    過去に書かれたように国政は父性です
    個人的に言うなれば国会議員は国民を守る為に鬼でなくてはなりませんし、その事に全生命を注がなくてはならないと思います。
    そのための議員特権、給与身分保障でょう。
    そういう意味では人ではないと思います。
    汚くても女癖が悪くてもいい。国民の将来を守るために何だってやる。そういう人がもう余裕の無い今そろそろ必要です。

    あと個人的な若者の意見としては無職の人間に国民年金免除でも月合算四万超の税金カンベンしてください、マジで。
    精神障害の女の子を助けて会社辞めるハメになったのは僕の勝手ですが、六年働いて手取り十五超えなかった人間に辞めたら月二十万掛かる生活させるとか無理ですホント
    法人税四割のおかげで年々サラリーマンの平均年収二万ずつ下がってんですけどこれ以上増税されたら敗戦後のドイツですw
    宿無しになったら今度は軽犯罪法で捕まえられて人生終了なんですが…ww

    最後はただの僕の愚痴です

    2012年12月10日
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